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星の英雄 ゲズとリオン

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星の英雄 ゲズとリオン

29 - 第29話 「黒き英雄、ウカビルの目覚め」

2025年05月27日

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第29章:黒き英雄、ウカビルの目覚め
地球・南極圏――

氷の下に広がる古代遺跡の中心部。そこに、巨大な“黒い柱”が突き立っていた。

カティナが最後に放ったその柱こそが、彼女の奥の手。


カティナ「さあ……目を覚ましなさい、“星を救った英雄”――

その力を、今は私たちのために」


雷の嵐の中、柱から波動が溢れる。

空間が裂けるように割れ、一人の男の姿が現れた。



【1. 伝説の英雄・ウカビル】


180cmを超える体格。

白銀の髪に、深紅のマント。

しかしその瞳は無感情に凍りついており、胸には黒い刻印が光る。


セレナ「まさか……! あれが、ウカビル……!?

昔、たったひとりでルシフェルの軍に挑んだ“英雄”……!」


ゲズ「……でも、何かが違う。あれは――もう“人”じゃない……」


カティナは嘲笑する。


カティナ「そうよ。彼は“もう戻れない”。

神の黒血に染まり、忠誠を上書きされた。

今の彼は、私たちの“最強の剣”!」



【2. ゲズ VS ウカビル、開戦】


ゲズが構える間もなく、ウカビルが瞬間移動のように突進。

重力を歪める剣撃が、ゲズを地に伏せさせる。


ゲズ「……クソッ、速い……!」


彼の動きは、これまでのどの敵よりも“静か”で、そして“正確”だった。

一切の感情も叫びもない。あるのはただ、「破壊」という命令の実行のみ。


セレナも援護しようとするが、


カティナ「だめよ、サポート系が前に出るなんて――甘すぎ」


セレナに向けて魔弾を撃ち込み、動きを封じる。



【3. “想い”の雷】


ウカビルの剣が、ゲズに迫る。


セレナ「逃げて……ゲズ!!」


だがゲズは動かない。

代わりに、胸に手を当て――小さく、つぶやく。


ゲズ「お前が……ウカビルか。

ルシフェルと戦って、すべてを賭けて、誰よりも人を守った男……」


その瞬間、雷が全身に集まり出す。


ゲズ「だったら……俺は、今“お前”を守るために、戦う――!」


雷が再び覚醒し、彼の体を包む。

その色は今までと違う、“黄金の雷”。



【4. 対峙する、ふたつの英雄】


ゲズとウカビル、ふたりの英雄の剣が激突。

轟音とともに地が割れ、空が雷光に染まる。


ゲズはあえて殺さず、動きを封じる戦法に出る。

攻撃を避けるたび、心の中で呼びかける。


ゲズ「ウカビル……! お前の中に、まだ……“意志”は残ってるんだろ!」


ウカビルの剣が止まった、ほんの一瞬。

その目に、小さな揺らぎが見えた。


セレナ(……今、彼は迷ってる!)



【5. 黒き支配の崩れ】


カティナは焦り、再び命令を下す。


カティナ「従え! ウカビル! お前はルシフェル様の剣!!」


しかし――

ウカビルの動きが止まる。


ウカビル「……ルシ……フェル……

……わたしは……誰だ……?」


その瞬間、胸の黒い刻印が砕けた。

ウカビルの体から黒い霧が抜け、彼はその場に倒れる。


ゲズが駆け寄り、抱きとめる。


ウカビル「……私は、何を……していた……?」


ゲズ「……何も悪くない。俺たちは、これから“共に”戦える」


しかし――


セレナ「ダメ、彼の意識が……!」


ウカビルは、そのまま深い眠りにつく。

息はある。だが意識は戻らず、まるで時間ごと封印されたかのように。



【6. カティナ、撤退】


カティナは激怒するも、雷に圧され撤退。


カティナ「……ふふ、いいわ。もうすぐ、“あのお方”が直接動く。

遊びはここまで――次は、“世界の終わり”よ」


黒翼を広げ、空へ消えるカティナ。

地球の戦火はひとまず収束した。

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