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夜10時を少し過ぎた頃。
都内の道路は昼間より静かで、街灯がやけに優しかった。
ハンドルを握るのは、
向井康二。
助手席には
ラウール。
↑(ラウちゃんに運転させようと思ったけど、
ここは、リアルにしました☺︎)
🧡「好きな曲流してええで」
🧡「ラウのBluetooth繋げてあるから」
🤍「いつもありがと」
そう言いながら、康二の好きな曲をさりげなく流す。
車内に流れる音楽は小さめで、
エンジン音のほうがよく聞こえる。
🧡「……また喧嘩してもうた」
信号待ちで、康二がぽつりとこぼした。
視線は前。
でも声は、もう泣きそうだった。
🧡「帰り遅いって言うたらさ、
“仕事だから”って…
わかってるけど……わかってるけどさ」
語尾が震える。
ラウールは横顔を見る。
見慣れたはずの横顔が、今夜はやけに遠い。
🤍「寂しいよな」
それだけを、静かに返す。
本当は――
“俺ならそんな思いさせない”って言いたい。
でも言えない。
康二には“彼氏”がいる。
赤信号が長く感じる。
康二の目から、涙が一筋落ちた。
手を伸ばせば、触れられる距離。
握れる。
抱き寄せられる。
でもできない。
代わりに、ティッシュを差し出す。
🧡「……ありがと」
受け取る指先が少し触れた。
その一瞬だけ、
ラウールの鼓動が跳ねる。
“こんな顔させるやつより、俺のほうが――”
飲み込む。
🧡「もうちょいで着くで」
そう言う声は、いつも通り明るい。
泣いたことを隠すみたいに。
🤍(着かないで…)
🤍(このまま時間が止まればいいのに)
マンション前に車を止める。
エンジンを切ると、
急に静かになる。
その沈黙が苦しい。
🧡「今日は付き合ってくれてありがとな」
ラウールは、数秒迷ってから言う。
🤍「……康二もちゃんと休むんだよ?」
それが精一杯。
本当は。
“帰りたくない”
“俺のほう見て”
“抱きしめたい”
全部、言えない。
康二は笑う。
少し赤い目で。
🧡「優しいなあ、ラウ」
🤍「じゃあ、また明日ね」
ドアが閉まる。
ラウールが見えなくなってから、
向井はやっとハンドルを強く握った。
🧡「寂しいな…」
静かな住宅街に、その声は溶けた。
つづく。Next🧡🖤