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#おんりー
ゼオ氏
165
202
#おおはらMEN
ドズル社好き
107
#おんおら
ドズル社好き
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1.いつからだったんだろう
最初は、本当に小さな違和感だった。
胸の奥が、きゅっと縮む。
息を吸うと、少しだけ痛い。
でも、しばらくすれば治まるし、日常生活に支障が出るほどでもない。
だから、おんりーは気にしなかった。
ゲームのしすぎかな。
疲れているだけかな。
そう思って、いつも通りに過ごしていた。
――あの日までは。
「おんりー!」
聞き慣れた声がした。
振り返ると、おらふくんがこちらに向かって手を振っていた。
「おー、どしたん?」
「いや、今日一緒にゲームできるかなーって思って!」
「いいよ。何する?」
「やった!」
ぱっと笑顔になるおらふくん。
その顔を見た瞬間。
おんりーの胸が、きゅうっと締め付けられた。
「……っ」
ほんの一瞬。
呼吸が止まりそうになる。
けれど、おらふくんは気づいていない。
「ん? おんりー、どうしたん?」
「……いや、なんでもない」
「ほんま? なんか顔色悪ない?」
「大丈夫。ちょっとぼーっとしてただけ」
そう言って笑うと、おらふくんは少し心配そうにしながらも頷いた。
「ならええけど。無理せんといてな?」
「うん」
――無理なんて、していない。
そう言いたかった。
でも、本当は。
おらふくんが心配してくれることが、嬉しくて。
自分のために笑ってくれることが、どうしようもなく嬉しくて。
そのたびに、胸の奥が苦しくなる。
おんりーは、まだ知らなかった。
その痛みが、ただの疲れなんかではないことを。
そして。
この恋が、身体にまで根を張り始めていることを。
2.見つけてしまったもの
数日後。
おんりーは、自室でひとり、服の裾をそっと持ち上げていた。
「……なんだ、これ」
胸元。
鎖骨の少し下に、細い線が浮かんでいた。
最初は、傷跡かと思った。
けれど違う。
肌の上に浮かび上がっているのは、緑色の細いツタだった。
まるで植物が皮膚の下を這っているように、一本の線が胸の中心へと伸びている。
おんりーは、指先でそっと触れた。
痛みはない。
ただ、触れた瞬間、胸の奥がかすかに疼いた。
「……は?」
思わず声が漏れた。
慌ててスマートフォンを手に取り、症状を調べる。
そこで、ひとつの言葉を見つけた。
花締病。
想いを伝えられない恋心が、胸にツタとなって現れる架空の病。
相手への想いが強くなるほどツタは広がり、やがて胸を締め付ける。
そして、想いを伝えないまま進行すれば、命に関わることもあるという。
おんりーは、画面を見つめたまま動けなかった。
「……うそ、だろ」
指先が冷たくなる。
そんなの、創作の中だけの話だと思っていた。
まさか、自分の身体に起きるなんて。
いや。
本当に、そんなことがあるのか?
おんりーはもう一度、胸元のツタを見た。
夢ではない。
そこには確かに、緑色の線が浮かんでいた。
そして、頭に浮かんだのは。
ひとりの顔だった。
いつも楽しそうに笑っている人。
何かあるとすぐに自分の名前を呼んでくれる人。
一緒にいると、時間があっという間に過ぎてしまう人。
「……おらふくん」
声に出した瞬間。
胸が、きゅっと痛んだ。
おんりーは、息を止めた。
「……まじかよ」
わかってしまった。
自分が誰を好きなのか。
いつから好きだったのか。
どうして最近、あの笑顔を見るたびに胸が苦しくなっていたのか。
全部。
全部、つながってしまった。
「……最悪」
そう呟いたのに、口元はほんの少しだけ笑っていた。
好きだった。
ずっと。
気づかないふりをしていただけで、ずっと前から。
でも。
「……言えるわけ、ないじゃん」
おんりーは服の裾を戻した。
誰にも見られないように。
誰にも気づかれないように。
この気持ちごと、隠してしまうように。
3.「おんりー、最近変やで?」
「おんりー!」
「ん?」
「今日、元気なくない?」
翌日の通話。
おらふくんの言葉に、おんりーは思わず背筋を伸ばした。
「……そう?」
「うん。いつもより静かやん」
「そんなことないと思うけど」
「あるってー!」
おらふくんは笑った。
「なんかあったん?」
「……何もないよ」
即答だった。
あまりにも早すぎる返事。
自分でも、少し不自然だったと思う。
けれど、おらふくんは追及しなかった。
「……そっか」
少し間が空く。
「でも、しんどかったら言ってな?」
おんりーは、キーボードに置いた手を止めた。
「……うん」
「俺でよかったら、話聞くし!」
――俺でよかったら。
その言葉が、胸に刺さった。
話したい。
本当は、全部話してしまいたい。
胸にツタが生えたこと。
好きな人がいること。
その相手が、今まさに自分を心配してくれている人だということ。
でも。
「……ありがと」
それしか言えなかった。
「おう!」
おらふくんは、いつもの明るい声に戻った。
「ほな、今日は俺が勝つからなー!」
「いや、無理でしょ」
「なんでやねん!」
ふたりで笑う。
いつもと同じ。
何も変わっていない。
少なくとも、おらふくんから見れば。
けれど、おんりーは気づいていた。
笑うたびに、胸の奥が少しずつ苦しくなっていることに。
そして。
おらふくんの声が聞こえなくなった瞬間、無意識に胸元を押さえていることに。
4.ひとりになった夜
通話を終えたあと。
おんりーは椅子の背もたれに身体を預け、ゆっくりと息を吐いた。
「……疲れた」
楽しかった。
今日も、おらふくんと話せて嬉しかった。
でも、嬉しければ嬉しいほど、隠し続けるのが苦しくなる。
服の裾を少しだけ持ち上げる。
昨日より、ツタが伸びていた。
胸の中央から、細い枝のようなものが一本。
昨日はなかったはずの線が、肌の上に静かに広がっている。
「……進んでる」
おんりーは、じっと見つめた。
告白すればいい。
そんなの、自分でもわかっている。
想いを伝えれば、この病気は治るかもしれない。
でも。
もし、断られたら?
もし、おらふくんが困った顔をしたら?
もし、今までみたいに笑い合えなくなったら?
その先を考えただけで、喉が詰まった。
「……無理だよ」
誰に言うでもなく、呟く。
「今のままで、いい」
恋人になれなくてもいい。
特別な存在になれなくてもいい。
おらふくんが笑ってくれるなら。
これからも、一緒にゲームができるなら。
それだけでいい。
そう思いたかった。
けれど。
胸元のツタが、じわりと疼いた。
おんりーは、そっと服を戻した。
「……大丈夫」
自分に言い聞かせる。
「まだ、平気だから」
その言葉は、静かな部屋に消えていった。
誰も聞いていない。
誰も知らない。
おんりーが、どれほど怖がっているのか。
どれほど好きなのか。
そして。
その恋を諦めることも、伝えることもできずにいるのか。
コメント
1件
うわあ……ツタがちゃんと身体に現れる設定の小説って初めて読んだけど……切ないなあ。おんりーが「今のままでいい」って自分に言い聞かせてる場面、すごく苦しかった。好きが強くなるほど締め付けられて隠そうとして隠せなくなってる心情の丁寧さ、めちゃ伝わった。おらふくんが気づかってくれてる優しさと同時に胸痛む瞬間の描写が、でもそれでも隠そうと決めてる……。