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午前2時30分。
警察の調査は、ジュンサイ池の観察小屋で見つかったメモと装置を基に、動物園の裏側に迫っていた。
山科刑事は、市川市動物園の元研究員、黒川博士のことを調べていた。
黒川博士はかつて動物園の特別研究室に所属し、パンダの遺伝子操作実験を極秘に行っていた。
「この博士は……動物の遺伝子と人間の遺伝子を融合させるという、倫理的に問題のある研究をしていた」
山科が日下部に説明する。
一方、動物園の研究室の隠し部屋では、使われなくなった試験管や注射器が無造作に置かれていた。
その中には、メイリンのDNAサンプルが保存されている。
山科は慎重に資料を読み込む。
「『メイリン第2形態』――これは単なるパンダではない。人間の遺伝子を組み込んだ、次世代の生物だ」
突如、研究室のパソコンが点滅を始めた。スクリーンには、見慣れない映像が流れ出す。
映像は夜の動物園。
パンダ舎の映像だ。そこには、白い巨大な影がゆっくりと歩いている。
その姿は、まるで……人間のように動いていた。
「……これが、メイリンの“変身”か」
日下部の声が震えた。
その時、山科のスマホに連絡が入る。
「山科さん!動物園の防犯カメラに、新たな異常が確認されました。今度は、ほかの動物舎で不審な動きが……」
次回:第6話「かつての飼育員」
失踪事件の背後に隠された過去と秘密。かつてメイリンに関わった飼育員の証言とは
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