テラーノベル
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目が覚めた。周りを見渡した。
辺りは真っ暗な…何も無い空間がただ 広がっているだけだった。
不思議と恐怖心は無く、だからといってワクワクもしなかった。
私は立ち上がり、何かに引かれるように暗闇を進む。
…その途中、カラン…と何かが足に当たった。
音のした方に目線を移す。
そこには鋭く輝くナイフがあった。
暗闇の中で私は自然とナイフを拾い上げていた。
前を見る。私は息をのんだ。
目の前に居るのは中学時代に私を虐めた
いじめっ子のリーダーだった。
いじめっ子は言う。 「ブス」と。
ちくりと心が痛んだ気がした。
いじめっ子は言う。「デブ」と。
ズキンと心は重さを増した。
いじめっ子は言う。「キモイ」と。
ジクリと心は軋み悲鳴を上げた。
ズキンズキンと心の痛みが全身に響いた。
私はいつの間にか横にあった鏡を見た。
その姿に恥ずかしくなって私は体を丸めた。
耳を塞ぎ、目を塞ぎ、何も感じないように。
…出来る限り気にしないように…。
不意に誰かに声をかけられた。
クラスメイトだった。「大丈夫?」
私は「大丈夫。」と答えた。
不意に誰かに声をかけられた。
クラスメイトだった。「今度遊び行こうよ 」
私は「今は都合が悪くて…」と答えた。
不意に誰かに声をかけられた。
クラスメイトだった。「何をしてるの?」
私は「あなたには関係ない。」と答えた。
限界だと思った。 父と母に相談した。
「虐められて学校が怖い。
学校に行きたくない。」
2人は驚いていた。しかし2人はこう言った。
「先生に手紙を書くからとりあえず今日はいこうよ。サボり癖がついちゃうよ。」
絞り出した声は無視されてしまった。
私は両親には頼れないと実感した。
違う。
違う。
違う違う違う違う違う!
そうじゃない。
そうじゃなかった。
私は何か行動したのか?
していないよな?
全部人任せだ!
他人に助けて貰おうとする!
他人が救ってくれると信じてる!
他人を理解しようとせず
自分から心を閉ざした癖に!
お前が悪い!
お前がダメなんだ!
お前が死ねばいい!
私は右にある鏡を見た。
そこにいる私は血だらけで
ナイフから血が滴っていた。
その時、1番私を傷付けていたのは
私だったと理解した。
…ごめんね。さようなら。
過去の私へ。
未来の私より。
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