TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

春のあの人

一覧ページ

「春のあの人」のメインビジュアル

春のあの人

12 - 第12話

2025年10月06日

シェアするシェアする
報告する

──一月。



校舎の窓から差し込む冬の光は、冷たいけれど澄んでいた。

空気に少し張り詰めたような静けさがあって、 その分放課後の図書室はより居心地がよく感じられた。


先輩は、冷たい空気に溜息を吐いた。


「やっと、終わった…」

「受験?」

「うん。これで肩の荷が下りた感じだ」


机に肘をつき、笑顔を見せる先輩。

いつもより少し柔らかい表情で、肩の力が抜けている。


「久しぶりにゆっくりできるな」

「はい。よかったです」


静かな図書室で、ふたりで向かい合うだけで、

何も言わなくても安心できる時間が流れる。


「この冬休み、何してた?」

「家で本を読んだり、少しだけ勉強したり…」

「へぇ。俺も、合間に好きな小説読んでた」

「先輩も?」

「うん。あんまり勉強漬けじゃつまらないだろ」


笑いながら話す先輩の横顔が、いつもより少し大人に見えた。

長かった緊張が解けて、肩の力が抜けたからかもしれない。


窓の外では、冬の光が机にまぶしく反射している。

影が長く伸びて、ふたりの距離を少し近く感じさせた。


「…紬、放課後少し歩くか?」

「はい」


校舎を出ると、冷たい空気が頬を撫でる。

冬の空気は透明で、呼吸するたびに心がすっきりする。


先輩の横を歩くと、肩が少し触れる。

その瞬間、昨日までの緊張や不安が嘘のように、

ただ優しい気持ちだけが胸の中に残った。


受験が終わった今、

ふたりの時間は、またゆっくりと動き出す。

春までの残りの季節、少しずつ距離を縮めながら、

静かに心を通わせていくのだろう。

loading

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚