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どこまでも続く白い雪の中をずっと北の方に進むと、遠くにモミの木が見えてきます。
それを目指してもっと進むと、そのモミの木はだんだん大きくなって、やがてそれを見上げる頃には、雪の中にひっそりと建つ真っ赤な屋根の家も見えてくるでしょう。
家の前の郵便受けとそのすぐ側に置かれた木のソリ。よく見ると、雪の上に丸まった三頭のトナカイの鼻までも真っ赤に色づいています。
大きな四角い窓を覗くと、すぐ側には子どもが五人横に並んでも十分なほど大きいベッド。パチパチと音を鳴らす暖炉が作り出しているのは、温かいオレンジ色の光と揺らめく影。
部屋の真ん中にある木のテーブルには子ども達が一生懸命書いた、何十、いや何百枚もの手紙。その一枚一枚を優しい笑みで眺めるのは……そう、サンタクロースです。
え? 本当に彼がサンタクロースなのかって? まあ確かに。少し色あせたストライプのパジャマを着て、鼻の上に小さなメガネを乗せた彼は、傍から見たらどこにでもいる白ひげのおじいちゃんのように見えるかもしれません。
でも、そこにある大きな木のクローゼットを開けてみてください。一見普通のクローゼットのようですが、よく見ればきっと見慣れたあの赤い服が一着ハンガーに……
ほら、あったでしょう? それは彼が特別な日だけに着る、特別な服なのです。
これは正真正銘、本物のサンタクロースのクリスマスまでの物語です。