vlt/knt.hbr(mb.hb)
――――――――――
mb side
――――
いつも笑顔を見せてくれた大切な人は、最近どうも様子が可笑しい。声を掛けても帰って来る答えは「ちょっと待って」とだけ。雲雀を好きになったのはカフェで定員と客の関係だった事から俺は常連になり、名前を呼んでくれた時はとても嬉しかった。付き合ってまだ1年も経たずに雲雀は冷めてしまったのか。そんなに世の中は甘く無い。ともう一度脳に叩きつけられたみたいだ。こちらから告白をし、雲雀はお願いしますと言った。よく考えてから告白するべきだと思った。雲雀に好きな人を聞いたことがなかったから。好き、大好きと言ってくれたことはあったがあの言葉達は嘘だったのか。でも雲雀が今俺のことを好きでなければ別れても良いが、正直あの満面な笑顔で話しかけてくれた時や甘えて来てくれた時、一つ一つの行動すら可愛いと思った。そんな何気ない行動がこの先見れなくなるのか。人間と言う生き物は感情が大きく揺さぶる人が多いらしく、こんなことを思っていると鼻が痛くなって来て手が震える。雲雀自身が、これから一生を歩む人を決めるんだ。と、思っているとインターフォンが鳴り、雲雀が咄嗟に階段からドタバタと降りて来た。「はーい!」と元気に玄関へと向かう雲雀。ガチャと音が聞こえ、誰かと会話する声がこちらにまで耳に入る。それから数秒後雲雀がリビングへ戻ってくると、口を開き真剣な眼差しでこちらを見つめる。
「…ごめん急に、」
「…」
「あの……今まで約一年くらい、」_
「…俺も好きだった、けど、ごめんほんとに…」
「雲雀が好きになった人と残りの人生を楽しむといいよ、俺は否定なんてしない。」_
「勿論、雲雀のことが俺も好き、だった…」
「俺が悪いのに…ごめん、、好きになった人がいて……」_
「男性なんだけど…」
「……?」
「女の人を好きになるのはやっぱりトラウマがあって、…」
「男性でも女性でも、俺も分かってたよ最近冷たいなって、」
「なんか…冷めちゃって…俺もずっと好きでいたかったんだけど……」_
「……ごめんね、、」
「大丈夫だから、謝らなくていいんだよもう」
「…ありがと」
「こちらこそありがとうね」
「…今までありがとうね、、お元気で…」
「そっちこそ、」
ニカッと笑う顔と、目に涙が溜まっていくのが見える。その涙の分は俺のことが好きだった分だと思う。俺の知らない男性と幸せに暮らせることを祈ってるよ。お元気で。雲雀、好きだったよ。
――――――――――
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!