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すると美咲さんは彼女の手を引いてリビングに連れて行くと、ソファーに座らせた。
そして僕と美咲さんはテーブルを挟んで彼女の向かい側に座った。
「お久しぶりです」
お久しぶり?
「私です。覚えていませんか?」
不思議そうな顔をしている僕に彼女はそう問いかけてきた。
「すっ‥すいません。ちょっと…」
何処かであった事があるような気がするが思い出せなかった。
「はるちゃん…私の事、何も言ってませんでした?」
「えぇ…」
「言っといてくれれば良かったのに…」
「紺野くん、彼女に何度か会った事があるのにわからないの?」
「すいません…あった事があるような気はするんですけど、全く思い出せません」
「仕方ないですよ。最後に会ったのは20年位前ですから」
笑顔で言った彼女は間違いなく何処かで会っていた。
どこだ?
どこで会ったんだ?
僕は20年前の記憶を呼び起こそうと必死になって頭の中の情報を引っ張り出していた。
【まだ、わかりませんか?】
「えっ!?」
それは言葉ではなく直接脳に語りかけてきた…。
テレパシー…‥
【私ですよ…】
「もっ‥もしかして…」
「やっとわかってもらえました」
「・・・・・」
「茉奈です」
「まっ‥茉奈ちゃん…本当に茉奈ちゃんなの?」
僕は興奮のあまり茉奈ちゃんの手を握りしめると、茉奈ちゃんの顔をマジマジと見つめた。
「そんなに見られたら恥ずかしいですよ」
「そうだよねぇ。“スケベじじいっ”て言ってやりなよ」
「そんな…言えませんよ」
茉奈ちゃんは顔を赤くして、恥ずかしそうに笑った。
そんな茉奈ちゃんの表情を見るだけで、真面目で純情で良い子だというのはわかった。
きっと両親にとても大切に育てられたに違いない。
「それじゃあ、茉奈ちゃんが遥香に色々教えてくれてたんだね?」
「えぇ、まぁ…」
「そうだったんだ…。どうもありがとう。遥香を長い間ずっと見守ってくれて」
僕は茉奈ちゃんの手を握りながら何度もお礼を言った。
「はるちゃんは、私の命の恩人なんです」
茉奈ちゃんは目に涙を溜めて僕を見た。
「命の恩人?」
「はい。はるちゃんは私の為にかこっ…」
キィ―――――ン……
「うっ…」
突然物凄い耳鳴りと頭痛に襲われた。
ドンッ…バンッ…ガッシャーン…‥
外で何かがぶつかり壊れるような音がした。
茉奈ちゃんは能力を使って何かを感じ取ろうと目を閉じていた。
千里眼…‥
確か、茉奈ちゃんの能力の1つにそんな物があったような…。