ジーク「ふわぁ〜…。アリィお疲れ〜。」
アリィ「あ、ありがとう」
ジーク「体調とか大丈夫か?」
アリィ「うん、眠気もないよ!」
(悪魔なんて拾ったから
眠気吹っ飛んだよ…!)
アリィは自分の焦りを隠すように
焚き火の後を誤魔化す。
構えた拠点を片付けていると3人の男の青年が
話しかけてる。
「やぁ、ちょっといいかな?」
ジーク「…アリィお前は下がっていろ。」
アリィ「う、うん…。」
ジークはアリィに男達に聞こえないように
耳打ちすると、アリィを庇うように前に出る。
ジーク「どうかしましたか?」
すると男達は答える。
「お兄さん達、ちょ〜っと生活に困ってて…
そこにあるもの全部くれないかな?」
そう言って男達はジーク達の荷物に指を指す。
ジーク「…分かった。 」
アリィ「ジーク…!」
ジーク「アリィ、落ち着いてくれ。 気持ちは分かる。でも、今はこうした方がいい。事を荒立てたくはない。」
アリィ「…でも…。」
ジークはアリィの制止を聞かず荷物を渡す。
ジーク「ほら、これでいいんだろ?」
男達「は?足りねぇよ。俺達は全部って
言ったはずだ。そこの女も寄越せ。」
そう言い男達はアリィを指す。
ジーク「…は…?…悪いがいくら何でも…」
男達「お前ら、指名手配者だろ?」
アリィ&ジーク「ッ…!」
男達「大人しく渡せば黙っといてやる。なぁに、女の方も悪いようにはしない。」
ジーク「ッ……。」
(どうすればいい…?)
アリィ「ジーク…私…」
ポルポル「ギィー」
アリィがジークに言いかけていた時だった。
ポルポルが食べたのだ。男の1人を、そう
人間を食べたのだ。正確には咥えていた。
ジーク「は…?」
アリィ「ああああああああぁぁぁ!!」
ジーク&男達「はあああああああああぁ!?」
ジーク達が叫ぶ前に、アリィが一足先に叫んだ。直後それに続くように4人の悲鳴が上がった。
アリィ「そっ、そんな汚いものペッしなさい! 」
男達「おい!誰が汚いだ!」
巨大化したポルポルはあっという間に
一人の男を飲み込んで口の中で依然モゴモゴさせていた。
ポルポル「ギー!」
顔の表情は変わらないため、正確には分からなかったがどうやら鳴き声の調子からして 怒っているようだった。
アリィ「ポルポル!食べちゃダメ!!」
アリィが大きな声をあげ、叫んだ。
するとポルポルはギ…としょんぼりした鳴き声をあげて、まるで唾を吐くように男の一人を吐いた。噛み跡は一切付いてないが、食われた 男は恐怖のあまり気絶し失禁していた。
男達「お、覚えていろよ!」
そう言って男達は逃げていった。
ジーク「典型的な悪役の言葉だな…。
さて…アリィ?話をしようか。」
思わずアリィから滝のような汗が吹き出す。
アリィ「ハイ。」
ジーク「捨てろ。」
アリィ「そんな殺生な!!」
ジーク「問答無用。」
アリィ「ああ!ジークの掴み方、ポルポル歪んでる歪んでる! 」
ジーク「構うものか!」
アリィ「お願い!私の話を聞いて!」
ジーク「何を言われようが俺の考えは変わらないぞ。 」
アリィ「この子は、私達を守ろうとしたんだよ!悪魔は本能のままに生きる生き物だよ。普通人間を1人食べたらまた一人一人と食べる。それに口に含めるだけなんてありえない。あの人には一切噛み跡が付いてなかった。ジーク、狩人なら分かるはずだよ。 」
ジーク「…。」
アリィ「この子には、理性がある。」
ジーク「…俺達を食いかけたらすぐ、捨てるからな。」
アリィ「ありがとうジーク!ジークの私に甘いとこ好きだよ。」
ジーク「おい。…それとお前が何を考えていたのか本当のところは、分からないが…ありがとう、ポルポル。助けてくれて。」
ポルポル「ギー!」
ジークが感謝の言葉を言うと、ポルポルは嬉しそうに鳴き声をあげる。
アリィ「…意外。」
ジーク「感謝と謝罪が出来ない人間にはなりたくないからな。」
アリィ「なるほどね。」
ジーク「さっ、出発するぞ。それと予定の町はスルーする。 」
アリィ「えっ!?なんで!?」
ジーク「さっきのやつら俺達が指名手配者なのを知ってただろ?ここから予定の町は近いし、あいつらがあの町に逃げた可能性は高い。 」
アリィ「あー…そういうことか…。んでも、物資は?もう大分厳しいよ。 」
ジーク「だから、ひとつ向こうの町に行く。 長居は出来ないだろうが、休むことくらいなら出来ると思う。」
アリィ「それなら大丈夫かな…。」
ジーク「…なぁ、ところで…。」
アリィ「ん?なあに?」
ジーク「ポルポルって人間以外に何食べるんだ…?お前、前に分かったって言ってたけどまさか人間を…。」
アリィ「違う違う!そんな事しないから!前にね、花を食べてたの! 」
ジーク「花?」
アリィ「実は…昨日の夜ポルポルがね、花を覆ってその後元に戻ってきたんだけどポルポルに覆われた花が枯れてたんだ。その後満足気にしてて…。 」
ジーク「いや怖っ!!??」
「一体どうなってるんだぁ?この布の中身は…」
そう言ってジークが布をめくると一面に闇が広がるのを認識した途端、ジークは突如気を失い倒れる。
アリィ「ジークううううぅぅぅぅぅ!!!!」
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