テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
柔太朗side
気づけば時計は16時45分。
片付けも終わった。
みんな帰る準備をしている。
その時だった。
🩷「柔太朗」
振り返る。
勇斗だった。
いつもより少しだけ真面目な顔。
🩷「17時になったら教室来て」
🤍「え」
🩷「二人で」
世界が止まった気がした。
17時。
教室。
その言葉だけで。
あのジンクスが頭をよぎる。
🩷「じゃあ待ってる」
そう言って勇斗は行ってしまった。
🤍「……」
待って。 なにそれ。
どういう意味。
期待していいの?
ダメなの?
心臓がうるさい。
息が苦しい。
それでも。
足は自然と教室へ向かっていた。
17:00
夕日で染まる教室。
誰もいない。
いるのは。
窓際に立つ勇斗だけ。
🩷「来た」
🤍「……うん」
沈黙。
数秒なのに永遠みたいだった。
勇斗がゆっくり近づいてくる。
🩷「柔太朗」
呼ばれる。
何度も聞いた名前なのに。
今日は特別だった。
🩷「俺さ」
🤍「うん」
🩷「ずっと言えなかったことがある」
柔太朗の喉が鳴る。
夕焼けが二人を赤く染める。
そして勇斗は
勇斗side
ずっと考えていた。
今日言おうって。
体育祭の日。
17時。
教室。
そんなジンクス、普段なら信じない。
でも。
今日だけは少しだけ背中を押してほしかった。
夕日に染まる教室。
柔太朗が目の前にいる。
いつも通りなのに。
全然いつも通りじゃない。
🤍「ずっと言えなかったことがあるって…」
柔太朗が不安そうに笑う。
その顔を見るだけで緊張する。
情けない。
幼馴染なのに。
こんなに好きなのに。
🩷「柔太朗」
🤍「うん」
🩷「俺さ」
一度深呼吸する。
逃げるな。
今日だけは。
🩷「お前のこと、好き」
静かだった。
外から聞こえる部活の声だけが遠い。
柔太朗は固まっている。
目を丸くして。
信じられないものを見るみたいに。
そりゃそうだ。
男同士だし。
幼馴染だし。
急すぎるし。
🩷「ごめん」
🤍「え?」
🩷「困るよな」
🤍「な、なんで謝るの」
🩷「だって」
🩷「俺、お前のこと幼馴染として見たことないから」
言ってしまった。
もう戻れない。
でも不思議と後悔はなかった。
ずっと苦しかったから。
🩷「中学の時も」
🩷「高校入ってからも」
🩷「ずっと好きだった」
🩷「誰かと仲良くしてるだけで嫉妬した」
🩷「文化祭で女子に囲まれてるの見て機嫌悪くなった」
🩷「全部好きだったから」
柔太朗の瞳が揺れる。
今にも泣きそうだった。
🤍「……ばか」
🩷「え」
🤍「なんで」
🤍「なんでもっと早く言わなかったの」
頭が真っ白になった。
🤍「俺だって」
声が震えている。
🤍「俺だって勇斗のこと好きだったのに」
その瞬間。
心臓が止まったと思った。
🩷「……え?」
🤍「え?」
🩷「ほんとに?」
🤍「いや俺も聞きたい」
🩷「夢?」
🤍「知らない」
二人とも混乱していた。
告白した側も。
された側も。
そして。
少しずつ。
少しずつ。
実感が湧いてくる。
🩷「好き」
もう一度言う。
🤍「……俺も」
柔太朗が泣いた。
ぽろっと。
一粒。
🩷「え、泣く!?」
🤍「だって!」
🤍「嬉しいじゃん!」
その言葉で俺まで泣きそうになる。
🩷「じゃあ」
🩷「付き合ってくれる?」
🤍「……うん」
夕日が差し込む教室。
体育祭の終わった校舎。
17時。
ジンクスの時間。
勇斗と柔太朗は恋人になった。
でも。
教室の扉の向こうでは。
💛「……そっか」
仁人が静かに立ち尽くしていた。
最初から分かっていた。
勝てないことくらい。
それでも。
好きだった。
本当に。
💛「終わったな」
そう呟いた時。
💙「終わってない」
振り返る。
そこにいたのは。
息を切らした太智だった。
💙「仁ちゃん」
💙「俺がおるやん」
仁人の止まっていた恋が。
少しだけ動き始めた。
コメント
2件
わあ、ついに告白が……! 体育祭の日の17時、教室っていう舞台設定がもう胸熱すぎました。勇斗がずっと隠してきた想いを「好き」って言葉にした瞬間、一緒に息を止めてしまいました。柔太朗の「なんで言わなかったの」からの両想い発覚、最高すぎます。 でも最後に仁人と太智のシーンが来て、え、ここからも物語が動くんですね? この終わり方、めちゃくちゃ続きが気になります。仁人の気持ちも大事にしてあげてほしいなあ……!