第六話:お互いの気持ち、確かめ合う
陽翔は、朝の光に目を覚ますと、隣に寝ている真白の存在に気づいて、ちょっとだけ驚いた。
あれから何度も夢のような夜を過ごして、ついにこうしてふたりが同じ布団で眠っている現実が、まだ信じられないような気分だった。
「先輩…?」
真白はぐっすり眠っている様子で、あまりにもリラックスしているその姿に、陽翔は思わず顔を赤らめた。
「ほんとに、好きだなぁ、先輩」
小声で呟いたその言葉に、真白はほんの少しだけ反応したのか、寝返りを打って陽翔に腕を回した。
「ん……お前、何してんだ」
「あ、起きた?」
「お前、朝からうるせぇんだよ」
でも、真白の目はまだ半開きで、明らかに寝ぼけている。
陽翔はその姿を見て、心の中で微笑んだ。
そして、真白が完全に目を覚ます前に、そっと真白の手を握る。
「先輩、好きだよ」
「はぁ?」
「ほんとに、好きだって」
その言葉に真白は顔をしかめたが、すぐに陽翔の手を握り返してきた。
「お前、急に何言ってんだよ」
「だって、ほんとに好きなんだもん」
「だからって、いきなりそんなこと言われると恥ずかしいだろ、バカ」
「……でも、言いたかったんだよ。先輩のこと、ほんとに好きだから」
その時、真白が少しだけ笑った。
その笑顔が、陽翔の心をきゅっと掴んだ。
「お前、ほんとに素直だな。嫌いじゃねぇけどな」
「え、好きってこと?」
「……バカか、お前」
真白は陽翔の頭を軽く叩いて、そのまままたゆっくりと布団に沈み込んだ。
「お前、やっぱり面倒くさいけど、そんなお前が好きだよ」
その言葉に、陽翔は嬉しさが込み上げてきて、思わず真白に顔を近づけた。
「先輩、俺も先輩のこと好きだから」
そして、そのまま真白に軽くキスをした。
そのキスは、甘くて優しく、でもどこか強くお互いの気持ちを伝えているような感覚がした。
⸻
午後、ふたりは部屋で一緒に過ごしていた。
陽翔は、今日は真白と一緒にいる時間がどれだけ幸せかを、改めて感じていた。
「先輩、今日はどこ行きたい?」
「んー、特に決めてないけど…」
「じゃあ、少し散歩でも行こうよ」
「……お前、どんだけ俺と一緒にいたいんだよ」
陽翔は少し顔を赤くして、けれど嬉しそうに笑った。
「だって、先輩と一緒にいると、すごく落ち着くし、楽しいんだもん」
「……お前、ほんとに俺にベタベタするな」
でも、真白は少しだけ恥ずかしそうに顔を背けた。
「そう言いつつ、なんだかんだ一緒にいると楽しいんだろ?」
「…まあな」
その言葉に、陽翔はまた顔を赤くして、真白の肩にしがみついた。
「先輩、ほんとに好きだよ」
「…わかってるって。お前がどんだけ好きだって、俺にはわかる」
ふたりは、ほんの少しだけ笑い合った。その後、手を繋いで一緒に歩き出した。
⸻
夕方、帰ってきたふたりは、リビングで一緒に映画を観ることになった。
陽翔が選んだ映画は、少しロマンチックな内容で、真白は途中から少し照れていたが、それでも嫌がらずに最後まで一緒に観てくれた。
「お前、ほんとに恋愛映画とか好きだな」
「だって、先輩と一緒にいると、そういう気分になるんだもん」
「…お前、甘ったれすぎだろ」
「うるさい!だって先輩が、こうやっていつも優しくしてくれるから!」
「…俺、甘いって言うより、面倒くさいんだけどな」
「でも、面倒くさいって言っても、なんだかんだ付き合ってくれるじゃん」
その言葉に、真白は少しだけ顔を赤らめた。
「…仕方ないだろ、俺もお前が好きなんだから」
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その晩も、ふたりはお互いに心地よい空気の中で一緒に眠りについた。
陽翔の隣で眠る真白の存在が、こんなにも安心感を与えてくれることに、陽翔は心から幸せを感じていた。
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