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第七話:心の距離、少しずつ縮まって
陽翔は、朝、いつものように目を覚ますと隣に寝ている真白の顔をぼんやりと見つめていた。
あの夜、ふたりはお互いの気持ちを確かめ合って、今まで以上に近くなったように感じていた。しかし、それでも心の中に少しだけ不安が残っていた。
「先輩、起きてる?」
陽翔は静かに真白に話しかけるが、真白は少し眠そうに目をこすりながら答えた。
「んー、もう少し寝かせろよ」
「でも、先輩…なんか、ずっと一緒にいると、もっと近くにいたくなるんだ」
その言葉に、真白は目を開け、陽翔の顔をじっと見つめた。
「お前、ほんとに素直だな」
陽翔は少し照れくさそうに顔を背けると、真白は軽く笑って言った。
「素直だから、嫌いじゃねぇけどな」
その言葉に、陽翔の胸はドキドキしてきた。真白の言葉が嬉しくて、思わず手を伸ばして彼の腕に触れる。
「先輩、ほんとに好きだよ」
「…あぁ、俺もだよ」
真白は軽く陽翔の頭を撫で、彼の顔に微笑んだ。その微笑みが、陽翔の心にじんわりと染み渡る。
⸻
昼過ぎ、ふたりは一緒に買い物に出かけることにした。
陽翔は真白と並んで歩くことが幸せで、でも心のどこかで彼にもっと頼りたい気持ちが強くなっていた。
「先輩、今日は何買いたい?」
「んー、特に決めてないけど…お前が欲しい物があれば付き合うよ」
その言葉に、陽翔は少し照れながらも、真白の手をそっと握った。
「僕、先輩と一緒にいるだけで楽しいから、何でもいいよ」
「お前、ほんとに甘え上手だな」
真白はそんな陽翔に笑いながら、買い物の途中で時々手を握り返してくれた。陽翔はその度に心の中でドキドキして、真白との距離がどんどん縮まっていくのを感じた。
⸻
帰宅後、ふたりはリビングでソファに並んで座り、映画を観ることになった。陽翔は、いつものように真白の隣に座り、少し緊張したように手を膝の上に置いていた。すると、真白がふっとその手を取って、陽翔を軽く引き寄せた。
「お前、なんか固いな」
「え、そんなことないよ」
陽翔は顔を赤くして答えるが、真白はにやりと笑って、陽翔の手を握りしめた。
「お前、俺の手、もう少し離したいと思うか?」
その言葉に、陽翔は少し驚いた。
「いや…そんなことないよ。先輩といると、安心するし」
その瞬間、真白は少しだけ真剣な顔になり、陽翔の顔をじっと見つめた。
「お前、ほんとに素直だな。でも、素直なところ、嫌いじゃない」
陽翔はその言葉に胸がいっぱいになり、思わず真白を見つめ返す。
「先輩、僕、やっぱり先輩が好きだよ。すごく好き」
「お前、もう、どんだけ俺にベタベタすんだよ」
「ベタベタって…でも、先輩が一番だから」
その言葉に、真白はほんの少しだけ微笑み、優しく陽翔の顔にキスをした。
そのキスは、優しくて、どこか心が通じ合ったような感覚を残した。
⸻
夜、ふたりはベッドに一緒に横たわり、静かな時間を過ごしていた。陽翔は、真白の胸に顔を埋めながら、心の中で確信していた。
このままずっと、先輩と一緒にいたい
「先輩、明日も一緒にいたいな」
「もちろんだよ、バカ」
その言葉に、陽翔は安心して、真白の腕の中で眠りについた。お互いの気持ちが少しずつ通じ合ってきたことを感じながら、陽翔は静かな眠りに落ちていった。