シェルブリットVS絶影!!真昼の青空が戦闘の鐘を高らかに鳴らす。HOLY部隊が散りゆく中、アルター狩りが再開した。君島のワゴン車が去ってゆく。残された劉鳳は手刀を風に翳す。陸橋の上で二人が見つめ合う。やがて。
「夢で会った時と瓜二つのイケメン君だ」
「?」
「いいぜ……真っ向勝負!ここなら邪魔も入らねェ!」
「フッ」
劉鳳が不敵な笑みを浮かべる。美麗な顔立ちからは想像できない闘志だった。
「俺はお前みたいな輩を五万と見てきた。社会のならず者、敗北者、クズ……粋がってみせろ」
「言うねえ。女々しい口喧嘩かい?」
「逃げ場所なんて必要無い。明日の飯もろくに食えない堕落人が幸せを貪るな」
「かなみの事言ってんのか!?」
カズマが覇気を飛ばす。
「だからロストグラウンドは統制されなければならない!揺るがぬ信念の礎の矢が未来を切り拓く新時代の到来を!!」
絶影が蹴手繰りを噛ますと同時に彼は宙に舞う。人気の居ない街の郊外に地面を叩きつけられたカズマは前のめりになる。劉鳳は追い風を奥歯で噛み締め勝利を確信する!!
「駄馬が」
「ククク。これだから止められねえ。あんたみたいないけ好かねェHOLY野郎をブッ飛ばせる力なら俺にはある」
「見せてみろ。光に手を伸ばす哀れな一抹を」
「やってやるぜ!!」
撃滅のセカンド・ブリット!!扉なら叩き割る!現実は強引に変えてやる!俺の、俺達の道標の為に!!
「くだらん。金も知性も無い野良犬ごときが俺に勝てると思うな」
「まだあんたの名を聞いてなかったな!喧嘩相手の友達になってくれるかい!?」
「暇人が放け」
「カズマ!劉鳳!二人のアルター使いを確認」
絶対知覚。イーリャンが監視下に置かれた戦況は芳しくない。我々の圧勝、余興も終い!
「カズマ!引導を渡してやる」
「劉張!!手前ェは絶対泣かす!!」
激しい火花が辺りを天変地異にうねりを上げて焼き焦がす!煮え滾るマグマがカズマの背中を熱く語っていた。
「時間だ」
絶対知覚を聞いた劉鳳は全身を一回転させて風の中に消え去っていった。カズマの叫びは儚く白昼堂々のビル群に埋もれて無意味に堕ちてゆく……
「劉張!!」
ロストグラウンドは暗雲渦巻く終末のエデンの園を物語り新世界の足音をいつまでも聞かせていた。君島の車が見えた。他のネイティブ達も無事だったみたいだ。敵。HOLY……あれが俺の超えるべき壁!カズマは怒りと悲しみの声を荒げた。
「……」
「弁えろ。屑が」
幻聴がこだまする帰りの車内でカズマは男泣きした。君島は目線を逸らさず前を向く。かなみが待つ家へオレンジ色の夕焼けが荒野の詩を歌っていた。
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