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「そんなんなのに、外に出たら上品ぶりやがって。女って本当に怖いんだ」
どうやら有夏のコミュ障の原因はそのあたりにあるようだ。
ついでに彼女じゃなくて彼氏がいるのも、恐ろしい姉たちの存在が大きく理由を占めているように思われる。
「……だから、幾ヶ瀬に初めてチューされた時、やさしくて死ぬと思った」
「有夏……」
どちらともなく指を絡めて互いの唇をついばむ。
「いく、せぇ……」
「ん……駄目だよ、有夏」
「いくせ、舌いれて」
鼻が触れ合うくらいの間近に有夏の弛緩しきった顔を見て、幾ヶ瀬は狼狽えたように視線を逸らせた。
「だ、駄目だよ、有夏。掃除しなきゃだろ? あれほどのゴミ屋敷、けっこう時間かかるよ? それに明日、俺早番だし……あひゃ」
有夏が幾ヶ瀬の唇を舐める。
「だ、駄目だって。俺、風呂入ってない……じゃなくて! 遅番の次の日が早番ってどんなシフトだよ……じゃなくて……有夏ぁ」
幾ヶ瀬の制止を完全に無視して、頬に舌を這わせ耳たぶを噛む。
尻の下で幾ヶ瀬のモノが固くなる感触に、有夏は笑みをこぼした。
「幾ヶ瀬、しよ」
「有夏……俺、明日は早番だから! ディナーの仕込み終わったら帰れるから。それから一緒に大掃除しよ? ね? だから今日は……はぁんっ!」
布越しにモノを押さえられ、幾ヶ瀬はたまらず悲鳴をあげる。
「幾ヶ瀬の仕込みはもうできてる」
「そ、そういうこと言うんだ、有夏!?」
まさかの下ネタに、観念した様子。
しょせんは無駄な葛藤から解放された幾ヶ瀬は、両手で有夏の背を支えると、そのままベッドに押し倒した。
してやったりという表情で、有夏も彼の腰に腕を回す。
「きもちい。幾ヶ瀬に乗っかられるの。重くて、動けなくて……」
「有夏ってさ……」
「んぁ?」
「前から思ってたけど、ベッドじゃ甘えただよね?」
「なにがぁ?」
「気付いてないならいいけど」
すでにトロンと目を潤ませている有夏に、余計なことは言うまい。
幾ヶ瀬は有夏の短パンを下ろすと、大きくなったそれを握る。
有夏が切なげに呻いた。
「有夏……今日はこうしよ」
もう片方の手で、幾ヶ瀬が自身のモノを持つ。
「幾ヶ瀬? ヤだっ、挿れてっ……んっ!」
肉棒同士を擦り合わせる。
「そこじゃ、なくて……うしろっ、挿れ……あぁっ」
容赦ないスピードに有夏もビクリと身体をのけぞらせる。
「あり、かっ……明日に体力、残しておかなきゃ、ね」
互いの汁が幾ヶ瀬の手の中でベトベトと絡み合う。
滑りが良くなるにつれ、2人は押し黙った。
漏れるのは激しい呼吸と、濡れた肉が擦れあう音だけ。
「ありかっ、きもちい……俺、もうっ……」
「ふぁっ……やあっ! いくせっ、イキたくないっ」
圧し掛かる男の首筋に両腕を回して有夏が首を振る。
「挿れてって言ってる、のにっ! いくせっ、ん、んっ……んんっ」
反射的な動きで幾ヶ瀬がティッシュを当てがい、双方の精液を受け止める。
ブルッと全身を震わせて、有夏の全身から力が抜けた。
「有夏、明日掃除終わったら……いや、多分無理か。日曜の夜にちゃんとしよ。ね?」
身を起こそうとした幾ヶ瀬の腕を、有夏がしっかりつかむ。
「だぁめ。挿れろって言ったのに。罰としてずっと有夏の上に乗ってろ」
ぐいと引っ張られ、幾ヶ瀬の身体が有夏の上に倒れ込む。
「で、でも重くない?」
「重いけど、いい。あと、ギュッてしろ」
「有夏ぁ?」
「早く!」
まるで脅されたように怖々と有夏の身体に腕を回すと、花がほころぶように有夏が微笑した。
「幾ヶ瀬、なんか言うことない?」
「好きだよ、有夏」
「ん。よし。」
抱き合ったまま2人は顔を見合わせ、笑みを交わした。
「そうだったのか、胡桃沢家」完
読んでくださってありがとうございます。
次のお話は、今週末から連載します。
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