この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません
岩本→「」
深澤→『』
______________________________________
深澤side
『とりあえずなんか頼もうよ、ここのパフェ美味しいんだってさ』
なんかわかんねえけどあのときのムキムキくんと二人きりでカフェに取り残された。こんなシチュエーション初めてでどうしたら良いのかわかんないけども、天下のモテ男である俺ならきっと何事もなくこの時間を終えることが出来る。謎の自信に満ち溢れた状態で彼に話しかけた
「え、あ、はい?パフェ?」
『そ、パフェ。え甘いもん嫌い?』
「いや、好きです」
コイツも多分モテるんだろうなぁ、俺とは違うタイプのモテ男な気がする。なんだったら男からも好かれそうな、というか。人間に好かれそうなタイプなのかな、てかこのナリで甘いもん好きなのかよ。ギャップすごいな
『んで?君何頼むの』
「あ、俺これで」
『ん、じゃあ注文しちゃうよ?』
「っす、」
『あい完了~』
彼が指したのは期間限定の葡萄のパフェ。それなら俺はと柑橘系のパフェをタッチパネルで頼んだ。これだけで注文できるなんて便利な時代になったな
「え…、と。深澤…先輩、は、ここよく来るんですか?」
『ここ?何回か来たことあるよ、お昼時にね。日替わりランチに外れがねえのよ』
「え、凄いですね。俺も今度来てみようかな」
『なら木曜がオススメ、でっかいハンバーグとエビとかアジとか、そういうフライ系が一緒に出てくんの』
「…ふは、でっかいハンバーグかぁ。そういうの好きなんですか?」
『ん?うん』
「かわいい、笑」
可愛い、?コイツ今俺のこと可愛いって言った?珍しいこともあるもんだ、男なんて大抵俺のこと嫌うのに。まあその理由なんてとっくにわかってんだけど
『…そういやーさ、名前聞いてなかったね。何て言うの?』
「ひかるです、岩本ひかる」
『ひかる?』
光って書くのかなって思った。真っ直ぐな目をした、真っ直ぐな彼にはとても似合ってるとも思った
『なんかお前ひかるっぽいわ、笑』
「まじすか?最初”てる”って間違えられがちなんすけどね笑」
『てる?』
「あそっか、漢字…照らすって書いてひかるなんです。”照”の一文字で、ひかる」
『ひかる…照、か。』
なんか昔の記憶が蘇ってきた、というか。同じ名前の男の子と小さい頃に会ったような気がする。
“みんなをてらせるようにーっていみなんだって”
あの子、なんだろうか。そんな奇跡起こんないよな、ひかるなんて名前いっぱいいるし。…でも照でひかるって読むなんて、そんな子はあの子しか知らない。出会ったことがない。何万分、何億分の一の確率に期待してあのとき彼がつけてくれた呼び名を伝えた
「…先輩?」
『ふっか、』
「へ?」
『ふっかでいいよ』
「は、?え、いやでも先輩…」
『いーのいーの、俺そういう堅苦しいの嫌いだからさ。年も1個しかかわんねーんだからタメでいいし』
「…じゃあ、ふっかで。タメ口も、ちょっとずつなら…」
違ったのか、覚えていなかったのか。まだ俺のことをふっかと呼ぶことに抵抗があるらしい。真面目な彼らしいなと思った、あの時の子と同一人物かもしれないと思ったのも、滲み出る人柄が原因だったのかもしれない
“お待たせしました~”
俺のつまらない考えを遮るようにして目の前に現れたのは大きなパフェ。こんなでかいの食えるんか、?そう思ったけれど、真正面でアメジストのように煌めいているゼリーを頬張る彼が見えるとなんだかどうでもよくなった。ふとポケットに入れていたスマホを取り出す
『ちょっと写真撮るわ』
「ん、俺邪魔すか?」
『んやそのままでいーよ』
カシャ、と乾いたシャッター音が響くと共に、幸せそうな彼が俺の手元に残った
コメント
4件
さいっこう…… ふっかさん、どんどん堕ちるんだ、いけ、いけぇ、‼️