やぁまた会ったね。僕はココ。ピエロさ。
僕は今、ステージに立っている。
とは言っても、ただの観客席の人達に“おもてなし”?をするだけなのだけれど。
「わー!まま!すごいよー!」
「そうねぇ、」
「ばあさん、これはすごいのう、」
「ねぇ、じいさん」
「きゃー!象だー!!すっごーい!」
わいわいと賑わう観客席。
僕はここが一番大好きだ。
そして僕は一人観客に目を向ける。
(…あ、)
その観客は、夏菜みたいな素敵な子だった。
(わ、綺麗な子だな…、夏菜みたい…♡)
僕はじっと見る。するとその子は気付いたようで、手を振ってくれた。
僕も手を振る。するときゃー!と歓声があがる。
なんか五月蝿いなぁ。
そう思いながら、もう1回その子を見てから、
(…今日はこの子にしようかな…♥)
僕はその子を頭の中に記憶した。
え?浮気だって!?僕はそんなことはしないよ!僕が好きなのは夏菜だけなんだ!
じゃあなんでこの子にしようかななんて、って、そんなの、決まっているだろう?
*
「いやっ、嫌だ、近寄らないで…いやぁああぁぁぁ!」
「ふふ、夏菜…♡嫌がらないでよ…寂しいじゃないか…♡♡」
「な、なにを言っているの!?私はなつなじゃ…!」
スパンッと、僕の包丁がこの子を切り裂く。
切り裂いたら血が僕の顔や服に飛び散った。
(…うーん、なにか違うなぁ)
僕は汚れた顔や服を洗おうと、外へ出ようとした。すると、
「おい、ちょっと待てよ。血だらけで行ったらビックリしちまうだろうが」
「おや」
急に男性に、いや、ここの管理人と言った方がいいかな。
「どうしたんだい?」
「いや『どうしたんだい?』じゃねぇーよ。つかまず死体置いていくな馬鹿野郎。」
この人はサーカスの管理人の、“井藤晴生”(いとうはるお)さん。
皆からは井藤さんと呼ばれている。僕を招待したのもその人だ。
見た目?見た目は…センター分けでちょっとイケメンみたいな感じかな。君たちの言葉から言うと、
やさお?かな。よく分からないよ。
「あぁ、ごめんね。片付けるから」
「あぁ、いやいいよ、それよか顔と服、洗ってこいよ」
そう言って、僕がさっき“愛した”子を抱き抱えた。
え?なんで愛したって言い方を?それはその方が愛があるじゃないか
あ、言っておくけれど、浮気では無いからね!
「あぁ、井藤さん、いつもありがとね。おかげで助かっているよ。」
僕は何気にそう言った。
「ははっ、お前ってちゃんとありがとうって言えるんだな!」
井藤さんはニヒっと元気な笑みを浮かべている。
僕はその言葉を聞き逃さない
「なんだって?僕だってありがとうぐらい言えるさ。馬鹿にしないでもらいたいね」
そして井藤さんはまたもや笑って悪かったよと言って、
「だってさ、他のメンバーはありがとうなんて言わねぇからさぁ。ちょっと不思議に思っただけ。」
すると井藤さんはさっき愛した子を持って行った。
「…ふぅ、疲れたなぁ。でも楽しかった。」
あ、そう言えば僕以外にもメンバーはいるよ。
だって、そうじゃないとサーカスは成り立たないからね。
まぁ他のメンバーとは話したことは無いけれど。
いい人たちなんじゃない?
その人たちも人を殺めているけれど
そうして僕の一日は終わるのだ。
その後、何があるかも知らずに。
*
「…みーつっけた♪」
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