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錆の都送り

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錆の都送り

第43話 - 第43話　過去編５

45

2024年11月04日

#ダークファンタジー

#錆

#黒蜜の賞金付きコンテスト

伊琉夏

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伊琉夏

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鋼谷は、権力を持つ政治家の暗殺任務に向かうため、夜の街を駆け抜けていた。彼の心には未練を抱くことなく、確固たる決意が宿っている。政治家の所業を知った今、彼を放置することは許されない。人の命を何よりも軽視するその者には、厳しい報いが必要だった。

薄暗い錆の都の街並みを背に、鋼谷は目標の建物を見据える。その高層ビルは、外観からは華やかさが漂うが、その内部には邪悪な力がうごめいている。警備は厳重で、数多くの部下たちが出入りしている。だが、鋼谷には「鉄鎖」がある。彼の霊具は、すべてを貫く力を秘めている。

鋼谷は、ビルの裏口から忍び込むことにした。周囲の警備が薄いタイミングを見計らい、静かに進む。彼は心の中で、政治家の過去の行いを思い浮かべる。赤子を食らい、自らの命を守るために無実の者を犠牲にする。その罪を、今こそ償わせる時が来たのだ。

内部に入ると、薄暗い廊下が広がり、静寂が支配している。鋼谷は一歩一歩、確実に前進しながら、警備員たちの動きを見極めた。彼は、一瞬の隙を突いて通り抜けることに成功した。ついに目的のフロアに到達する。

「お待ちしていました、鋼谷さん。」突然、目の前に現れたのは、執事だった。彼の冷たい笑みが、鋼谷の心に恐怖を抱かせる。だが、鋼谷は怯まなかった。

「あなたを連れていくつもりはない。政治家の罪を償わせるために、私はここに来た。」鋼谷は宣言した。執事は不敵な笑みを浮かべて言った。

「あなたが来ることは予想済みです。すでに囲まれていますよ。」その言葉が鋼谷の背筋を寒くさせる。

彼は一瞬、引き返すことを考えたが、その決意が揺らぐことはなかった。執事の言葉は脅しに過ぎない。鋼谷は「鉄鎖」を取り出し、周囲を警戒する。戦いは避けられない。

鋼谷は「鉄鎖」を振りかざし、周囲の壁に打ち付けた。金属音が響き渡り、警備員たちが駆けつけてくる。彼の心は高鳴り、全身が興奮で満たされていく。

「来い、全員かかってこい！」鋼谷は自らの決意を示すため、大声で叫んだ。その声は、彼の内に秘めた怒りを爆発させる。執事は一歩後退り、鋼谷の行動を見守る。

次の瞬間、警備員たちが一斉に鋼谷に向かって突進してきた。彼は「鉄鎖」を巧みに操り、相手の動きを封じ込める。重たい鎖が宙を舞い、敵を捉え、鋼谷はまるで舞うように戦い続けた。

戦闘は激化し、警備員たちが次々と倒れていく。しかし、鋼谷の心には一瞬の迷いがあった。目の前の敵は、自分の仕事を全うしている者たちだ。彼らもまた、自分たちの家族を守るために必死に戦っているのだ。

「止まらない！」鋼谷は自らを奮い立たせる。彼は背後の影に目を向け、冷静さを取り戻した。執事はいつの間にか後退し、彼を見下ろしている。

「あなたには無理です、鋼谷さん。彼を守るために、私たちは全力を尽くします。」執事は冷たく告げ、鋼谷は今度こそ決意を固める。

「この手で必ず、お前の主を裁く！」彼は再び「鉄鎖」を振り回し、敵の動きをかき消す。戦いは続くが、鋼谷の心に迷いはもうない。赤子の命を奪った者に、何の慈悲も必要ないのだ。

ついに、鋼谷は政治家のオフィスへと辿り着いた。ドアの前には一人の警備員が立ちはだかっていた。鋼谷はその場で躊躇うことなく、突進した。彼の異能が全てを貫く瞬間が訪れる。

「さあ、覚悟しろ！」鋼谷は叫び、鉄鎖を突き刺した。彼の思いは一つ、未練を抱かせることなく、真実の裁きを下すために。