「……我らは、突撃の合図とともに洞窟に突入した。そこまでは…良かった。」
ここからは、羅夢から聞いた惨劇だった。まず、ギガノトゾンビは、我らの軍の想定よりもはるかに賢く、戦闘力の高い生き物だったのが分かった。泊年隊は、洞窟がだんだん狭くなっていることに気付かず進み、次の瞬間、水攻めというシンプルはシンプルなのだが、今までモンスターが使うなどと予想されてこなかった戦術で、泊年隊は散りばめられ、後はギガノトゾンビとのタイマンのような形で、それぞれ殺害されたようだ。1回死亡すると、セーブポイントに戻るが、アイテムは死んだ場所にドロップ。また、ミッションに参加することもできなくなる。つまり、ミッション開始早々、頼みの綱の八操将軍の隊の半数以上を失ったことになる。しかも、泊年も生死不明となっている。
「……儂は、とりあえず泊年様を探しながら、ゾンビ達を狩っていこうと思う。主らはハルン将軍たちを探して、合流しながら、ボスの印、暁の模様をつけているモンスターを探して討ってくれ。そうすれば、戦況は大逆転だ。」
「りょーかいー!」
相変わらずこのような絶望的な状況でも、クロヱの明るい性格は変わらず、ー能天気といったほうがいいのかもしれないがー羅夢将軍も呆れ顔を浮かべながら別の方向へと去っていった。
「さて、……ルイ、聞いたか。ここのゲームのモンスター、おそらくいまだかつてないほどの思考プログラムを重ねて作ったAIが搭載されてる。俺、正直このゲーム舐めてたわ」
「私もだよ。こんなに高度なゲームだと思わなかった。……あやめが来るまであと2時間半。2時間半で戦争を終わらせよう!」
一方、課題を終わらせ、寝落ちしていたアリスは、ふにゃっ!?という情けない声を出して目を覚ました。隣でキリトが寝ているのを見て、ようやく自分が寝過ごしたのだと自覚をする。
「全く……キリトの奴、起こしてくれれば良いものを…」
もちろん、キリトは起こそうと努力した。しかしアリスは相当深い眠りについており、涎を垂らしながら幸せそうに寝ていたので、キリトは一人でゲームにダイブした。
それにアリスは満足せず、ぷくーっ、と顔を膨らませ、連絡を確認するために、自身の携帯を開く。その瞬間、アンブレラウォーズのネット記事が目についた。
「……えっ!?」
その記事にはこう書かれていた。
ーアンブレラウォーズ、ボス級に挑むのは百人以上がおすすめ!ー
「ひゃっ…!?」
今すぐキリトに伝えなければとダイブを試みるが、彼はミッション参加中だ。途中参加をすることはできない。
「キリト……!死なないでくださいよ…、」
キリトが斬撃を複数個所入れ、ルイとクロヱがとどめを刺していく。こうすることでキリトは剣の感覚を鋭くしていき、ルイとクロヱは経験値を貯めることができる。これが、キリト流の最大効率厨のゲームクエストの進め方だ。実際、キリトは剣士スキルが5。ルイとクロヱはLevel4だ。そして剣技、ビーパーチカルを獲得し、単独でゾンビを倒せるほどの実力をつけた。結局、ハルンたちと合流することはできなかった。しかし、ボス部屋の前に、2人の影があった。
一人は先ほど一緒に戦ったユウキ。そしてもう一人は、八操将軍の一人、ザンギンだった。
「ぬ!先ほどの若造たちか!儂らはこれからボスを倒して戦況を一気にひっくり返す!」
ザンギンの勇壮な様子に安泰を浮かべながら、キリトが提案する。
「ザンギンさん。俺とあんたで攻め、ユウキとルイとクロヱがサポート役でいいんじゃないかな」
「うむ!儂は異論なしじゃ!」
「僕も。サポートに徹するのは得意なのでね!」
「沙花叉も頑張るー!!」
「後ろから、絶対支えるから!」
こうして、5人は、結束を固めボス部屋へと足を踏み入れた。
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クロたんかわええ〜!! 長文お疲れ様です🫠