テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
少し時を戻し、地下通路。
守と皇后崎のは火葬場で花魁坂に火葬の場所と仕方を教えてもらっていた。
「これが火葬の仕方。質問ある?」
「なーい!」
「…」
元気良く、勢い良く返事をする守と何も喋らない皇后崎。
緊張感が幾分か解れ、その空気感のまま皆の元へ戻ろうとしている。
その間、花魁坂と守は皇后崎にダル絡みをしていた。
「ねぇねぇ、さっきブレスレット見てたけど…、誰から?ねぇ皇后崎君~!」
「…」
「彼女の一人や二人居るんじゃないの?ねえねえねぇ」
「…」
「無視~?でも、あっきらめなーい!」
そのダル絡みにも屈さず無言で抵抗し続けていると、守がぴくりと足を止めた。
「京兄」
振り返ると、花魁坂にナイフが刺さっている。
すぐそこにいたのは桃太郎_桃宮唾切の姿があった。
皇后崎に目を向けると、黒い箱のようなものを皇后崎の腕に作り出そうとする女_桃草蓬がいた。
守は反射的に皇后崎を突き飛ばしたが、守の右腕が犠牲になる。
「うぁ…ッ!」
腕をだらんと垂らし押さえて呻いている守に皇后崎は駆け寄って支えた。
「な、お前…腕…!」
「皇后崎君、逃げて…ッ。出来れば…京兄連れて」
狼狽える皇后崎に、歯を食い縛りながら守はあくまで冷静に告げる。
その言葉に、花魁坂は無言で首を振ってから言った。
「俺は残る。…時間稼ぎにはなるっしょ」
その言葉に言い返そうとした守だったが、はくはくと言葉にはならず、覚悟を決めた様にナイフを左手に構え、言った。
「…オッケー。悪いけど、皇后崎君」
せめて、と皇后崎を満面の、精一杯の笑顔で送り出す。
「皆を、頼んだよ」
笑って言う守に皇后崎はマスク越しでもわかる程の苦虫を噛み潰したような顔をしながら返した。
「…死ぬなよ」
「当然。…ね?京兄」
「そうそう!トーゼンだよ!」
軽口を叩き、皇后崎が去ったことを確認してから、守はナイフを再び、花魁坂はトリカブトの毒が入った注射器を、各々構える。
唾切は嘲笑うように笑っている。
(絶対死ぬなぁ…。京兄も、俺も)
虚勢を張ったような笑みを貼り付け、少し花魁坂の前に出る。
笑い終わったのか、唾切は「怖くないわけ?」と二人に聞いた。
「怖いよ?でも、俺もう引けないからさ」
「俺も守と同じく。…時間、稼がないとさ」
その瞬間、何かが二人の間を通った。
守の首から鮮血が吹き出す。
(あ、え…あれ?)
唾切は血の付いたナイフを持っていた。
「あっそ」
首を押さえるが、勢いは収まる気配がない。
ぐらりと守の体が揺らぎ、うつ伏せの状態になって倒れる。
「まも…!」
花魁坂の守と呼ぶ声は、言葉にはなってくれなかった。
守よりワンテンポ遅れてナイフで頸動脈を切られたのだ。
天井にまで飛び散った血は雨のように落ち続ける。
唾切は二人を操る死体にしようとしたが、止めて、何かを運び込んでいった。
あとがきです。
こんにちは。寒暖差にやられました。作者です。
いきなり寒くなってきましたね。皆様はどうでしょう。
さて、雑談はこれくらいにして今 回のお話はいかがでしたか?次回もお楽しみに。
いいねやブックマーク励みになっております。
これからもよろしくお願いします。