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それは、まるで溶岩が体内を駆け巡るような、止めどない熱の奔流だった。
全身の血が、沸騰しているかのようだ。
「っ、はぁ……はぁ……なんだ、これ……」
熱い。ただひたすらに熱い。
体が、内側から燃え盛る炎のように熱い。
皮膚は粟立ち、鳥肌が立つ。
毛穴という毛穴から、熱い汗が噴き出す。
心臓は激しく脈打ち、その鼓動が耳の奥で轟音のように響く。
ドクン、ドクンと、まるで体の中で別の生き物が暴れているかのようだ。
呼吸は乱れ、酸素を求めて喉がヒューヒューと鳴る。
視界が歪み、世界がぼやけていく。
意識が朦朧としてくる中で、もう一人の男の下卑た笑みが
ぼやけた視界の端に、しかし鮮明に焼き付いて映った。
「へへ、効いてきたみたいだな」
その声には、嘲りとはしゃぎが混じっていた。
その声が、俺の耳の奥で反響し、頭蓋骨を直接揺らすような不快感を与えた。
さらに別の男が、いやらしい光を宿した濁った目で俺の顔を覗き込むように近づいてくる。
「よく見たらこいつ、可愛くないですか……ぐへへ」
その言葉が、俺の尊厳を土足で踏みにじる。
全身の血が逆流し、胃の底から吐き気がこみ上げた。
吐き出したいのに、体が言うことを聞かない。
「殺す前に、俺らでヤっちまおうぜ」
「いいじゃん。にしてもこいつもバカだよなー」
男たちの声は、耳障りな雑音となって俺の意識を苛む。
彼らの言葉の一つ一つが、俺の心を深く抉る。
媚薬のせいで体は熱く、汗が全身に滲み出す。
震えが止まらない。
意識は朦朧としているはずなのに、男たちの言葉だけはまるで耳元で囁かれているかのように鮮明に聞こえてくる。
その声が、俺の恐怖を増幅させる。
恐怖と屈辱が、俺の全身を支配し
身動き一つ取れないまま、思考を麻痺させていく。
このままでは、俺は汚されてしまう。
その絶望が、全身を硬直させた。
「や、やめろっ……!」
必死に叫んだ声は、掠れてほとんど聞こえない。
喉の奥から絞り出した声は、ただの呻きとなって虚空に消えた。
誰にも届かない、無力な叫び。
男たちは俺の上の服に手をかけ、乱暴に引き剥がし始めた。
生地が裂ける音、ボタンが弾け飛ぶ乾いた音が、やけに大きく耳に響く。
無理やり引き剥がされたシャツが、冷たい空気に晒された俺の肌を撫でる。
「っ……!!」
冷たい空気に晒された裸の上半身に、男たちは下品な笑い声を上げた。
その視線が、まるで獲物を品定めするかのように俺の体を這う。
その視線が、俺の肌を這う虫のように不快だった。
「へへ、結構いいカラダしてるじゃん」
「おいおい、楽しみすぎんなよ。まだ時間はあるんだからよ」
冷たく乾いた男たちの手が俺の体に触れる。
その不快な感触に、俺は身を捩って抵抗した。
だが、両腕を吊るされた体勢ではろくに動けない。
手足は鎖に繋がれ、わずかに揺れることしかできない。
俺はただ、この耐え難い屈辱に耐えるしかなかった。
媚薬のせいで体の熱は増すばかりで、息は荒くなり、額には脂汗が滲む。
視界の隅では、長官がそんな俺を
まるでゴミでも見るかのような、感情の欠片もない冷酷な目で見ていた。
その視線が、俺の絶望をさらに深く、深く突き刺す。
「っ……くそっ……!」
歯を食いしばり、呻き声を上げる。
この屈辱を、この痛みを、誰かに止めてほしい。
「さっさと始めろ。あまり時間をかけるな」
長官の冷たい言葉が響く。
その言葉は、俺にとって死刑宣告よりも冷酷に感じられた。
それは、俺の存在そのものを否定するような、絶対的な命令だった。
男たちはニヤニヤと笑いながら、まるで玩具を扱うように俺の肌に手を這わせてくる。
その指先が、俺の敏感な部分をなぞるたびに、全身が粟立つ。
「やめ、ろ……っ、は、ぁ……っ…」
俺の悲鳴は、静まり返った空間に虚しく響き渡った。
誰にも届かない、絶望的な叫び。
喉が焼け付くように痛む。
「へへへ、そんなに嫌がんなよ」
俺の顔が、熱と羞恥で真っ赤に染まるのがわかった。
恥ずかしさと怒りで頭がどうにかなりそうだった。
このままでは、俺は汚されてしまう。
その恐怖が、全身を震わせる。
「媚薬効いてんなぁ。へへへ」
男たちは下品な笑い声を上げる。
その笑い声が、俺の精神を蝕む。
必死に抵抗したが、吊るされた体ではろくに動けない。
男の一人が俺の脚を掴んで、無理やり大きく広げさせてきた。
その瞬間、俺の絶望的な叫びが、静まり返った部屋に虚しく響き渡る。
男たちの手が俺の肌を這い、ズボンの中に手が入ってきた。
冷たい指先が、肌を直接撫でる。
もう、終わりだ。
そう思った、その時だった。
ドォォォンッ!!
突如として、部屋の扉が爆音とともに吹き飛んだ。
耳をつんざくような轟音。
木っ端微塵になった扉の破片が、木屑と埃を巻き上げながら室内に散乱する。
視界が白く霞むほどの煙が立ち込め、その向こうには逆光を背負った男が立っていた。
そのシルエットは、まるで闇の中から現れた救世主のようにも
更なる絶望の使者のようにも見えた。
心臓が跳ね上がった。
「……遼くん」