けじめとして聞いておいた方が、
明那の言葉ではっきりと言ってもらった方が、諦めがつくのかな。
そう思う一方で、分かっていても、やっぱり怖い。
『返事……まあ、いや、うーん……そうだよね、……』
なかなか煮え切らない私に、明那は歩幅を合わせて歩いてくれている。
答えが分かっているのに、わざわざ言葉にさせるのは
明那にとって負担になるかもしれない。
ただでさえ、私からの好意で困らせてしまっているのに。
そうすれば諦めがつくんじゃないか、
というのは、私の身勝手なエゴでしかない。
返事がないのが答え、とも言うし。
私がぐるぐる思考を巡らせていると、
akn「俺さ、」
明那が切り出した。
akn「俺さ、菜央のこと……本当に、すごい大事な友達だと思うんだよね」
あ、きた。
『うん』
頷きながら、私は、目の奥に力を入れる。
明那が夜空を眺めて話しているのを横目で見て、私も同じようにする。
akn「面白いし、一緒にいて楽しいし。」
「おいしい店見つけたら、菜央と行きたいって思う。大切な友達だから。でも、」
そのとき、火球が落ちていくのが見えた。三秒くらい。
『あ!』
akn「火球!」
声はほとんど重なっていて、
私も明那も空を指さしながら顔を見合わせた。
akn「火球見れたのラッキーすぎる」
『ね! 良いことあるかも』
akn「待って俺さ、願い事言うのまた忘れたわ」
『あ!! 単位単位単位!!!』
akn「遅すぎやろ」
火球のことでしばらく笑って、
また沈黙へと戻っていったが、
先ほどよりも雰囲気がやわらかくなっていた。
akn「でも、のあと、なんて言おうとしたんだっけ……」
明那は少し唸ってから、
akn「その、俺、まだ自分の気持ちが言語化できてないから、」
と言った。
『火球見たら忘れたよね。いいよ、返事は』
いつでも、無くても。
明那の思う方を選んで、と伝える。
ゆるやかに落ちていく火球を見て、なんとなく、
私は大丈夫になったのだと感じた。
コメント
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可能性あり?? 楽しみにしてる~!頑張って!東雲ちゃん!
可能性大あり