テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
卒業生やその家族・知り合いにたちよる私立天成中学校を襲った暴動事件。
この事件による死傷者の数はゼロだったが、重傷者は十数人にも上った。うち九割は同学校の教員とのこと。残りの一割は同学校に在籍する生徒たちだったがその中にも偏りがあり、2のAの生徒だけが重軽傷を負う被害となっていた。
暴動は三十~四十分で鎮圧された。駆けつけた警察隊による活躍で暴徒たちは全員逮捕されたが、彼らは皆、満足げな表情をしていたとのこと。
暴動によっていちばん被害を受けたのが同学校の校長と教頭だった。二人とも全身に麻痺傷害が残っており、顔は数度にわたる殴打によって醜く腫れ上がり、手足は鈍器を使った殴打で数か所の骨折、その他多数の蹴撃による内臓の損傷が数か所と、人体を徹底的に壊された。
他にも、2のAの担任教師の青野も数か所の骨折や内臓の損傷をいくつか負うなどの被害、同クラスの生徒の数名が骨折や裂傷などの重軽傷を負い、傷を負った者全員が病院へ運ばれた。
この一連の暴動事件の報道は世間を大変賑わせ、一週間以上にもわたってニュースやワイドショーのトップを飾った。
暴動事件から数日後…私立天成中学校の校長…硲、教頭、理事長、同学校の二年生クラスの担任全教員が懲戒免職の処分が下された。
虐めという許されない社会問題を意図的に隠蔽したこと、虐めの被害者を蔑ろにして加害者を庇い贔屓したこと、何よりも教育者としてあるまじき発言をしたことが大炎上の種となり全国から大バッシングを呼び寄せて、彼らへの然るべき社会的制裁措置の決め手となった。
教職員や生徒の被害も深刻だが、校舎の被害も甚大なものとなっていた。多くの暴徒たちによる破壊活動で、窓はほぼ全て割られ、職員室は壊滅的状態、教室の机や椅子がいくつか破損、その他いくつもの部屋が荒らされる被害を受けた。
暴動鎮圧した翌日から当然学校閉鎖となったが、このまま廃校となる線が濃厚であるとのこと。
全て、シュートが描いたシナリオ通りとなった。彼が目論んだ天成中学校そのものへの復讐は成ったも同然だった。
「はっはっはっは。あーはっはっはっは!あ~~ははははは!!」
シュートは笑った。
「ざまーみろ!!俺に散々理不尽をぶつけて、俺という人間を貶めた罰だ!!ははははは!!いい気味だぁ!!」
シュートは笑い続けた。物理的手段でだけでなく社会的にも学校の人間たちに復讐が成せたことに、シュートはこれ以上ない悦楽をかみしめた。
「あ~~~~~。あのクソ私立中学校はもう終わりだな。来年からあんなところを受験する生徒なんて、未来永劫現れねぇ。廃校確定だ。
校長と教頭、それと理事長も、この件で地位も職も失って、惨めな失業者ライフを送ってどん底を這い回るんだろうなぁ。
あのクソ中学校に勤めているゴミ教員どもも、リストラ半分転勤半分ってところだろうけど、どの学校もあんなゴミどもを受け入れることなんて無いも同然だろうなぁ。どいつもこいつも教員資格剥奪、教師廃業だ!
そして2のAの連中も、別の学校へ転校するなら、当面はその転校先で多くの新しい生徒たちから、冷たく蔑んだ目を向けられるんだろうよ。虐めを見て見ぬフリしたり笑ったりもした最低なクズ、ってレッテル貼られて、あいつらにもどん底ライフが待ってるんだ………ぷくくくっ」
学校とそこに勤めている教員たち、そして元クラスメイトたちの末路を想像しては、愉快げに笑うのだった。天成中学校に関わる人間全員にとてつもない不幸が降りかかることを、シュートは心の底から願った。
「落ちろ堕ちろ、おちろぉ!どいつもこいつも堕ち続けやがれぇええ!!」
―――
――――
―――――
「………………ふぅ。これで虐めの主犯連中、元クラスメイトども、クソ担任教師、校長と教頭、そして…私立天成中学校に関わる人間全て。
その全てへの復讐が、成った。成功した。終わった……。
終わってみれば、あっという間だったなー。そんでもって毎日が凄く充実してた。虐められる前の学校生活よりも充実してたかも」
これも全部異世界の力のお陰かぁ、とシュートは心の中で思いをこぼす。次いで異世界のことに意識を移す。ユアチューバー活動している間は一度も異世界へ転移していない。シュートにとって異世界は学校での復讐の為の手段に過ぎなかった。復讐が終わった今、積極的に異世界へ移る意味は無いとも言える。
「とはいえ、あの渦巻きもいつまで地下室に存在するのかも分からないし、そのうちまた行ってやろうかね。向こうで鍛えて力をさらに得るのも悪くないかも」
異世界へまた行くことを決意した後、シュートは平日の昼間であるにも関わらず眠りに落ちた。復讐を達成したことで力が抜けて、休みたいと思った瞬間に眠気が襲い、睡魔に導かれるままに眠った。既に地元の中学校への転校最終手続きの時が来ているが、シュートにとって学校などもうどうでもよかった。
きっと時が癒してくれる。長い月日・年月が経つことで忘れさせてくれる。すべてを解決してくれる。
しかし、そうは思えなかった。人によっては確かにそうなるのかもしれない。けれども自分はきっとそうはならないだろう、と何となく予感した。
目を覚ましたシュートが最初に感じたのは、自分を虐げて貶めた連中への憎しみの再燃だった。復讐は成した。自分がしたいこと全てぶつけて、復讐対象全てを壊し、どん底へ叩き落とした。
だがシュートの復讐の欲望はまだ満たしきれていなかった。ふとした時にあの苦痛と屈辱にまみれた日々を思い出しては、連中を殺したいという衝動に駆られてしまう。
( あいつらを 中里たちを 殺しにいくんだよ )
中里たちに復讐する前…紅実に言った自分の言葉を思い出す。あの日彼女が予想した通り、実際に殺すつもりはなかったものの、殺したいという気持ちは本当だった。あの日本当に殺しに行こうと考えに至ったこともあったが、理性がそれを止めさせた。
しかし今でも中里たちや教員たちへの殺意は残り続けている。
「やっぱり殺すか………?いや、あいつらには殺されるまでのことはされていない。自分の気が済むまでやり返すのが復讐だとしても、殺すまでするか?殺してこの世から消してしまうのは確かに気持ちいいことかもしれない。でもそうしたらあいつらを襲う生き地獄はそれまでになる。もう苦しめることができなくなる……」
冷蔵庫から2Lのペットボトルを取り出して、水をがぶ飲みしながらさらに思考する。
(あいつらには死ぬまで地獄を味わって欲しい。その死ぬ時ってのは、俺に殺される時か?違う………俺があいつらの生き地獄を終わらせてしまってどうするんだ。
高校生になって、成人して、そこからさらに年を取って、老いて寿命で死ぬその時まで、あいつらはずっと苦しみ続けるべきなんだ。あんな一日だけの地獄だけで終わらせてたまるか)
インスタント食品やお菓子袋を取り出して、それらを貪り食らう中、シュートは良いことを思いつく。
「そうだ……!あいつらが退院して外へ出られるようになった時に、また同じ拷問をしてやればいいんだ。あの日と同じように徹底的に壊して、また寝たきり生活へ逆戻りさせてやるんだ。で、また退院したら駆けつけてまた壊す。それを延々と繰り返してやるんだ!そうすればあいつらは一生地獄を味わい続けてくれる!一生消えない傷を負い続けてくれる……!
あんな奴ら、一生外へ出るべきじゃない、社会に出るべきじゃない、一生病院のベッドの上にいれば良いんだ!」
今思いつく限りで最高の復讐プランを思いついたシュートは、人生の新たな楽しみが出来たと歓喜するのだった。
体が大きく成長したせいか、インスタント食品やお菓子だけでは足りないと感じたシュートは食料を沢山買うべく外出する。外は既に夕陽が差しており、帰宅しようとする社会人たちもちらほら見える。サイズが合う服を着ている為以前よりは目立たなくなったシュートだが、その整った顔を目にした女性たちから相変わらず注目されるのだった。
どうせ沢山買うなら多種類の商品が揃っているスーパーへ行こうと考えたシュートがスーパーへの道を歩いていると、
「君は……!?三ツ木柊人君、かい?」
驚いた声で自分の名を呼ぶ女性の声がして、シュートは思わず立ち止まって声がした方へ顔を向ける。
「あ……」
私服姿の花宮菫が、思わぬ人物と遭遇したと言わんばかりの表情でシュートを凝視していた。
カイガ
1,432
#魔道具職人
こはる
135
コメント
1件
おお、ついに復讐が一区切りついたね…!でもシュートの「♡♡♡たい」って気持ちがまだ消えてなくて、さらに永久拷問ループを思いつくところ、めっちゃゾクッとしたわ。復讐が成功したのに満たされない空虚さと増幅する憎しみ、すごく生々しく描けてて引き込まれた。最後に花宮先生との遭遇で終わるのも気になるー!続き待ってる🔥