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???「また負けてしまった……」???「でも段々と強くなってきてますよ」
???「……すぅ……すぅ……」
???「ダメだこいつ。全然起きない」
ここは、橙の家。珍しく休暇を貰えた「兎白」と「不山橙」は一緒にチェスをやっていた。それをスマホをみつつみている「桃時」と、チェスという頭を使うゲームをみて眠くなってしまった「紫雲雨花」だった。
橙「雨花さんはそのまま寝かせておきましょう。絶対安静と言われているのに全く休めていませんから。」
絶対安静と言われて、もう少しで一ヶ月。一向に雨花の怪我は治っていく気配がない。身体中包帯ガーゼまみれである。
兎白「やっと休暇が取れたから雨花に会いに来てみたが、やっぱり疲れているんだな。」
桃時「このまま……沈んで消えていかないわよね?」
橙「そう想う気持ちは分かります。何だかふらふらっとどこかへ消えていってしまいそうな危うさがありますよね。雨花さんは。」
兎白「大丈夫だ。二人とも。ちゃんと呼吸もしているし。……と言っても雨花は死んでいるから臓器は動いていていないのだが」
桃時「でも食べることも呼吸もできてる。不思議よね。」
橙「あの世に来た者は、そういった神通力にかかると言われています。詳しいことは伏せられていますが」
桃時「きっとその力を悪用しようとする奴がいたんじゃない?」
兎白「…………雨花がしようとしていることも、力の「悪用」と言って良いんじゃないか?」
橙・桃時「…………」
《もうやめて!!!!わたしの邪魔しないで!!!!わたしは……消えたい……もう罪も罰も戒めも責任も……全部全部全部全部放り投げて楽になりたいの!!!!もう離れてよ……わたしの前に……現れないでよ……もう……もう……わたしは……許されないの……もう……人を傷つけたら……もう遅いんだよ…………もう何も取り返さない…………どうすることも……できない……次しないように……するなんて……わたしが傷つけてしまった人は……どうなるの?その人たちは……ずっと……その傷を負って、生き方を変えられて……生きていかなくちゃいけなくなる……わたしのせいで…………その責任の取り方なんてもの……ない……罰を貰って楽になるのもダメで……でも何もしないのもダメで……誰も罰してくれないなら……自分で自分を罰するしかなくて……でも…………本当はそれにも…… 疲れてて……だから……もう楽にさせてよ……お願いだから……》
雨花は……
三人は雨花のほうをみる。
救われたいんだろうな
雨花は救われたくて
その方法が分からなくて
だから自分を……
雨花「うーん……なんかみんなの視線を感じるな……ふわぁぁ……」
橙・桃時・兎白「げ!?」
桃時「あんた気配だけじゃなくて視線にも敏感なの?」
兎白「俺も見習わないと」
橙「いやこれは修行の成果とかじゃないと想いますけど……」
雨花「なんかおなかすいたなぁ〜橙ちゃ〜ん何か作って〜」
橙「はいはい分かりました。今日は人数も多いですし、すき焼き鍋にしましょうか。」
橙はキッチンに向かう。
雨花「やったぁ!すっき焼き!すっき焼き!」
テンションが上がっている雨花。
桃時「アタシたちもお世話になって悪いわね。」
兎白「俺も手伝うぞ」
兎白もキッチンの方に行った。
雨花「ふわぁぁぁ!まだ眠いなぁ」
桃時「あんたちゃんと寝たのいつなのよ」
雨花「えぇ〜覚えてないなぁ〜」
桃時「……あんたって……本当にもう……はぁ……」
雨花「あれ?そういえば瑠璃くんは?」
桃時「あいつは遅れて来るって」
その後、瑠璃人も橙の家に来た。
瑠璃人「くんくん。なんかすんげぇ美味そうな匂いがする!」
雨花「今夜はすき焼きだって!」
瑠璃人「よっしゃあ!すっき焼き!すっき焼き」
雨花「すっき焼き!すっき焼き!」
瑠璃人も雨花と同じように歌い始めた。
桃時「ふふふっ……なんか大の大人が……こんなことしてるのって……ぷっふふ。」
橙「できましたよ!兎白さんが手伝って下さったおかげでこんなに早く終わりました!」
兎白「いつみても橙のご飯は美味そうだな」
雨花「溶き卵で食べたい!!」
桃時「アタシはもう食べちゃうわよ」
瑠璃人「橙のご飯!写メ撮っとこ!」
「「いただきます!!」」
各々食べ始める。その中を瑠璃人は写真で撮っておく。
桃時「何で写真なんて撮ってんのよ?」
瑠璃人「だって楽しいから!この写真を振り返ってみた時、自分たちは確かに楽しい時間を過ごせてたんだって想えるじゃん?」
「(雨花にだって楽しい瞬間だってあるんだって想って欲しいしね)」
その意志を汲み取ったのか、桃時もそれ以上質問するのはやめて一緒に鍋をつついた。
果たして、その写真を振り返るほど、長く一緒にいられるんだろうか。
雨花「バイバイ!!!!」
橙「さようなら!!」
雨花と橙は、見送りが終わると家に戻って行った。
雨花「うーんお腹いっぱい!」
橙「今日は何事もなくて良かったです。いつもこうだと良いんですが……」
雨花「たまにこんな日がある方がわたしは良いかな。やっぱり刺激欲しいし!」
橙「そうですか?じゃあ特別に今日だけあのからーいスナック菓子食べて良いですよ。」
雨花「ほ。本当に!?!?やったぁぁ!じゃあ早く家戻ろう!」
橙「ふふっ、そうですね」
「この笑顔がずっと続けば良いのに……」と橙は想いながら、家に戻って行った。