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︎︎注意⚠︎︎
・ご本人様方には一切関係がない
・捏造、妄想要素が激しい可能性あり
・特徴を捉えきれていない部分が多々あり
・恋愛要素が今後恐らくきっとほぼない
・868のBOSSたちがロスサントスに入国する以前の物語
※注意事項は今後も増えていくと思います。一旦はこれらをご了承の上、創作物をご堪能ください。
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あけおめことよろです!!
行ってらっしゃいませ〜。
食い入るようにテレビを見ていると、突然チャンネルが変わった。後ろを振り返ると父親がリモコンを持っていて、すまんとでも言いたげな表情と手振りをしている。
(まぁ、大して面白くなかったしいいか。)
そうして見せられた警察ドラマが、俺の人生を大きく揺るがすなんて、この時は思いもしなかった。
警察学校に入学してからは、毎日訓練に明け暮れた。特に銃を扱う演習が楽しくて仕方がなく、バイクより興味を持つものがあったことに心底驚いた。そして、銃の腕前は教官からよく褒められ、卒業後に海外派遣されるカリキュラムを受けてみないか、と勧められるほどだった。自分の実力がどれほどなのか、どこまで行けるのか試したくなった俺は、かなり食い気味に了承する。数日後には、ほぼ全ての手続きが済まされており、あとは寮の部屋を移動するだけだった。空っぽな部屋を軽く見渡して、床に置いてあった荷物を両手で抱える。部屋の鍵を寮長室で交換しに行き、指示された部屋らしき前までやってきた。記憶が曖昧ではあったが、合っているだろうという自信は躊躇いなくドアを開ける。そこには、明らかに着替え途中で上裸の人物がいた。
「あ……、すんません間違えッ。」
「いや〜ん、変態ッッ!」
濡れ衣を着せられる前に素早くドアを閉める。予想外の出来事に、俺の頭が(?)で埋め尽くされた。冷静に対処出来たものの一旦理解を追いつかせよう、と廊下の端に荷物を置く。ポケットに押し込んだ紙切れを取りだし、書かれた部屋番号を見返すが、一切の間違いはなかった。
(鍵を開けずに入れた時点でおかしいと気づくべきだった、相部屋とか嫌だよ……。)
表札とメモを交互に見て現実を鵜呑みに出来ずにいると、内側からドアが開く。
「冗談ですや〜ん、刃弐ランドくんよな?」
「あ、はい。刃弐ランドです。」
「俺は音鳴ミックス、隣人としてよろしく〜。」
「音鳴、隣人……?よろしくお願いします。」
「せや、前ここにおった奴が色々残しっぱなしやってん。さっき綺麗に片付け終えたから、荷解きしてもええで〜。」
「お〜ありがとうございます(?)」
「じゃ、またな〜。」
相部屋じゃなかったことに安堵しつつ、変な名前の人だったなと振り返る。
(隣人とは言ってたけど、あまり関わることは無いだろうな。)
言われた通り荷解きをし、明日からの訓練に備えて早めに寝ることにした。一日中バタバタしていたからか、熟睡するまでにそう時間はかからなかった。しかし、翌朝起きてやっとアラームをかけ忘れていたことに気づく。
(やべっ、寝坊した。)
海外コース(海外派遣カリキュラム)に異動して初日の訓練、さすがに遅刻して行くわけにはいかない。色々犠牲にし何とか時間内までに集合することが出来た俺は、今回行われる合同演習の説明をそしらぬ顔で聞く。
3人1チームに分かれ各々決められたルートで目的地へと向かう、任務はただそれだけらしいのだが、即席チームかつ物資量が決まっているとなるとかなりの技術、個々の能力が重要になってくる。加えて、誰か1人でも欠けたり配置された敵役にやられたりすると、単位は得られない。普通コースとは全然レベルが違うな、と思いつつ教官から指定されたチームへと合流する。そこには見覚えのある顔がいた。
「あれ、お隣さんだ。」
「おと…え?そのイントネーションだと意味が変わってんねん。音鳴や!音鳴ミックス!!」
「あ、そこ知り合いなんだ。」
「いや、昨日会ったばっかっすね。」
「なんだ、じゃあ皆ほぼ初めましてか。私は成瀬タコって言います、よろしく〜。」
「刃弐ランドです、お願いしますっ。」
(多分2人とも俺より先輩だろうな〜。てか成瀬さん、女性なのにこのコースいるの凄いな。)
軽く挨拶を交わすと、成瀬さんは手際よくルートの確認や物資の分配、役割を振分けてくれた。アタシ銃そんな上手くないから男共頼んだ〜、なんて弱音(?)を吐いていたが、俺はその嘘を早々に見破った。
各々の報告をまとめつつ戦略的判断をする音鳴さん、後ろからサポートしつつ着実に敵を倒していく成瀬さん、そしてひたすら敵を倒す俺、というチームの相性はかなり良かったと言える。しかし、演習場所はかなり足場の悪い山で、体力の消耗が激しい。すでに多くの敵を倒してはいるものの、常に人数不利で戦っているので無傷とはいかない。初めて味わうそのキツさに、俺の身体はとうに悲鳴をあげていた。
(というか、さっきからやけに疲れるの朝飯食ってないせいだわ。)
今日限定の心当たりに気づき、そのダサさに自分で呆れてしまう。2人の足を引っ張りたくないという想いが大きかったが、ダサい部分を晒すことにも多少抵抗があった。どうにか耐えるしかない、と意を決して俺は任務に集中する。
目を開けると、見知らぬ部屋の天井があった。
意識を手放したのがいつだったか覚えていないが、合同演習をしていた途中だったのを思い出す。少し見渡してここがー医療室だと分かり、なんとなく状況も読めてくる。
「お、目が覚めたか。」
「音鳴さん、任務は……?」
「ん、目的地にはちゃんと着いたで。刃弐くんが倒れたのはその後やね。」
「じゃあ……。」
「おう、任務は達成出来てる。」
「良かったぁ。」
「なぁーにが”良かったぁ”じゃボケぇー!!」
医療室のドアを派手に開けた成瀬さんは、ズカズカと俺に近づいてくる。そして、思いっきり両頬をつねってきた。
「ったく心配かけさせやがってぇ!!飯食ってなかったんならもっと早く言えよぉぉ!」
「いたひぃ、にゃるへさん。ぎょへんて。」
(痛い、成瀬さん。ごめんて。)
「どーせ、アタシらに幻滅されると思って言わなかったんだろ?ボソッ(──。)」
「いや、うーん(図星)。その……すんませぇん!」
「ハハッまぁその辺でやめたれ〜。まだ入ってきたばかりのバブちゃんなんやし。(頭に手を乗せてくる)」
「(両頬つねられたのは解けた)……はい?」
「ヘハッ。」
「俺より敵倒してないのによく言いますね。」
「はーー!?なんだこのガキぃぃ!!」
しばらく言い合いをしていると、いつの間にか立場が入れ替わったのか、成瀬さんが仲裁に入る。そして、音鳴さんに飲み物を買ってこいと命令していた。最初は不服そうにしていた音鳴さんだが、俺に何が飲みたいかを聞いて出ていく。
(音鳴さん、悪い人ではなんよな。ウザいけど。)
成瀬さんと2人きりになり、沈黙が流れる。さっきまで怒られていたことを思い出し、さらに気まづくなっていると急に話しかけられた。
「刃弐くん。」
「はいっ。」
「別に説教とかじゃないけど、マジで無理はするな。周りの人をちゃんと頼らんと。」
「はい……。」
「あんたはデキる男よ、チームのアタシらをずっと気にしてくれたんだし。よく見てるし。銃も上手いんだから。」
「……。」
「自信持って前に進んで。無理だと思ったら後ろを見な。アタシらがいるから。」
「はい…!」
自分では気付かないうちに、かなり不安を溜め込んでいたのかもしれない。成瀬さんの言葉は凄く温かくて、心強かった。即席チームだから今回限りで解散なのに、また組みたい一緒に働きたい、そう思ってしまう。
「ま、俺らは先に卒業してくけどな。」
「は?めちゃめちゃ良い時に何言ってる?」
「いやいや、本当のこと言っただけですやん。」
「TPOを考えてくれミックスくん。」
「ミックスくんやめろ。」
警察になりたいきっかけが、ふと見たドラマなんて笑われるかもしれない。目標も特になかった俺に、3人でのその時間と成瀬さんの言葉はあまりにも充分過ぎた。2人が卒業してからはあまり覚えていないが、とりあえず頑張らなきゃと思えた。そんな人たちと一緒に働けるなんて、正直この上なく嬉しかった。
「こっちが”刃弐ランド”くんで、もう1人がなんと芹沢(笑)」
「あれ!?芹沢ってここ来て半年以上経ってなかったっけ?」
「いや…、色々あっテ〜。」
(全然変わらない…。これからが楽しみだな。)
2人には絶対言えないこの秘密が、俺の口角を緩めていたのを誰も見ていないと願う。