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色々と思うことが有り過ぎて、太宰に何を聞くのか迷う
『太宰、僕は何で倒れたの?』
今は冴えない頭を回転させて出てきた声が此れだった
すると、太宰は何とも云えない顔で
「それが…疲労からくる眩暈(めまい)だそうです」
『そうか眩暈、か…」
疲労だったのか
はぁ、僕も少しは落ちぶれたかな
「そして、乱歩さんが倒れた所が生憎(あいにく)アスファルトだったので、頭がパックリと…」
「ですけれど、与謝野先生が治療、診察してくれました」
『それで…僕は一体、与謝野先生に何回やられたんだ…?』
「えーっと、耳、貸して下さい?」
太宰は苦虫を噛み潰したような顔で云ってきた
こりゃ、相当やられたな、、
と、覚悟はしていた
案の定、 僕がやられた回数は驚異の八回だった
信じたく無い
しかし、それが真実なのだろう
『そうだったんだ…と、云うか、何で太宰は知ってるの?』
「あー、それはァー…」
”愛の力ですよ”
とは、乱歩さんに云う気は無い
まぁ、そんなのは勿論、建前だけどね
乱歩さんの翡翠の様に澄んだ目が此方を見ている
其れだけでも、天に舞い上がりそうな気持ちだが、その気持ちを押し殺す
「そんな事は、乱歩さんの‘‘超推理”を使えば判る話でしょう」
と、私はわざと冷たく云う
『そうだよね』
乱歩さんは哀しそうな顔をしている
『だったら、何で僕を助けたの…?』
「それだって、異能力を使えば…」
『……………で』
「へ?」
乱歩さんの可愛い目から丸い水滴が落ちてきている
それが涙と認識するのには相当な時間がかかった
『……………しないで』
『僕を一人にしないで…』
『お願い、だざい…』
起きたばかりでまだ少し混乱していたのだろう
泣きながらそう云ってくる顔に私は半端では無い興奮を覚えた
しかし、それも束の間
そう云った後すぐに乱歩さんは寝てしまった
「一人にはしませんよ」
「ただの戯言に聞こえるかもしれませんが大丈夫です」
「だって、貴方は私を絶望の底から救い上げてくれた」
「次は私が助ける番、だから、お互い様です、乱歩さん」
私はそう云い、乱歩さんのおでこに軽い口付けをした
すると、乱歩さんは
『んっ、』
と反応した
この人には勝てないな、、
可愛さと推理力だけは、ね
と改めて思い知った
カラン
そして、何処かでラムネのビー玉が転がる音が聞こえた様な気がした