俺は気づいてしまった。
照はもう、俺を好きじゃないことに。
〈目黒side〉
昨日、初めて照が帰ってこなかった。
今までは、
どれだけ遅くなって終電を逃しても、
タクシーで家に帰ってきていたのに。
心配性な照は、
財布にも携帯にも、
いつも大量にお金を入れている。
タクシー代が無いことなんてなかった。
会社で話した時も、
すぐに嘘をついていると分かった。
信じたくはなかったけど、
照は誰かと2人で一夜を共にしたんだろう。
自らそれを選んで。
目 “ひかるっ、”
岩 “…お、どうした?”
目 “今日は早く帰って来れる?”
岩 “あー…、多分。
すぐに仕事終わらせるから、
一緒に帰れると思う。”
目 “分かった、待ってる。”
どこかよそよそしさを感じた。
俺に後ろめたいことがある証拠だ。
帰り道も、
俺たちはどこか気まずさを感じ、
暗い雰囲気のまま家に着いた。
目 “よし、ご飯作ろっか。”
岩 “……なぁ、蓮。”
目 “…なに……?”
嫌な予感がした。
岩 “その……俺たちさ_”
咄嗟に俺は照にキスをした。
話の続きを聞きたくなかった。
別れ話な気がしたからだ。
目 “早く作ろ?
お腹すいちゃった。”
岩 “……そうだな。”
“別れよう。”
その一言を聞くのが怖かった。
本当は気づいていた。
このままじゃいけない事を。
俺は勇気を振り絞って、
照に聞いた。
目 “照。
昨日、ほんとは誰かと一緒にいたの?”
岩 “…ごめん、
一緒にいた。”
気持ちが暗くなった気がした。
目 “深澤さん、とか?”
岩 “そう。
ふっかが潰れてたんだ。
終電もなくなってて、
置いてくわけには いかなかった。”
目 “そう、なんだ。”
これ以上踏み込めば、
自分が傷つくのは分かっていた。
分かっていたのに。
目 “俺、この間見ちゃったんだよね。
照と深澤さんが抱き合ってるの。
2人、付き合ってたんだね。”
岩 “……ごめん、
言ってなくて_”
目 “深澤さんは、
今でも照が好きなんでしょ?
照は、、どうなの、?”
岩 “どういう……意味、?”
目 “照は今、
誰のことが好きなの?”
岩 “……、それは…。”
照は口をつぐんだ。
照は変わってしまった。
今までなら、
すぐに俺だと言ってくれたのに。
照をこんな風に変えたのは、
深澤さんだ。
あの人のせいで、照は。
俺は家を飛び出した。
岩 “蓮……!!”
あの人の家へと走って向かった。
このまま照を失うぐらいなら。
とことん悪い奴になってやる。
ピーンポーン……
渡 “はい…、?”
ドアを開けたのは、
深澤さんではない誰かだった。
目 “ここ、深澤さんの家じゃ……?”
渡 “あー、、
ここ俺ん家なんすよ。
ふっかは前まで居候してて。
ふっかの、知り合いですか?”
目 “……あの人に、
話がしたいんです_”
深 “翔太、?”
後ろを振り返ると立っていたのは、
俺が憎んだ相手だった。
深 “合鍵返しにきたんだけど……、
…目黒さん、なんで、、”
怒りがふつふつと込み上げるのが分かった。
目 “あんたのせいで……、
照は変わった。
あんたがいなかったら…、!”
俺は近くにあったシャベルを握りしめ、
深澤さんに振りかざした。
深 “……!!”
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