西田Side
「ちょっ!藍!くっつくなって//」
「照れてるん?山内さん可愛いー♡」
嫌がる山内さんにスリスリと頰を寄せ甘える藍‥
「いや‥照れてねぇよ‥てか、えっ!?なに?祐希の顔がめっちゃ怖いんだけど‥」
それもそうだ‥藍にくっつかれて身動きの取れない山内さんの隣で、何故かじーっと様子を見ている祐希さんの表情は‥険しかった‥
「小川さん、なんで祐希さんあんなに怖い顔してるの?」
近くにいた小川さんに声をかけると、催眠術が嫌いなんじゃね?笑、と笑うだけだった。
催眠術が嫌い?
そんな事であんな鬼みたいな顔になるのか‥?
謎だ‥‥。
山内Side
なんだよ、この状況は‥。
催眠術をかけられた藍はずっと俺にベッタリだし‥俺の隣では鬼のような顔した祐希がいるし‥有志も催眠術かけてそのままにしてるし‥小川や智は何故か笑ってるし‥‥。
って、そうだ!有志に催眠術解いてもらえばいいじゃん!
なんで気付かなかったんだろう‥えっと、有志は‥‥??
そう思い探す為、席を立とうとすると‥くっついていた藍が‥
「山内さん、どこ行くん?」
と上目遣いで俺を見上げる‥その顔やめてくれるかな‥ほら、隣の祐希がまた凄い形相になってる‥
「いや、有志に話が‥」
「俺も行く!ええやろ?♡」
俺の一言にニコっと満面の笑顔で話す藍‥いや‥なんだ‥ちょっと可愛いと思ってしまった‥‥
仕方ない‥相変わらずピッタリとくっついて歩く藍の後ろから‥これまた不機嫌そうな祐希までついてくる‥
藍はわかるが‥何故おまえまでついてくるんだよ‥‥
ハァ‥と溜息を零しながら、他の奴らと談笑している有志の元に行き‥
「おいっ!藍の催眠術解いてくれる?」
「えっ?ああ‥笑!山内さん嬉しそうだったからまだ解かなくていいかなって‥」
「俺のドコを見てそう思ったんだよ!」
勘弁してくれ‥‥‥真顔で有志を見つめると、了解と軽い返事が返ってきた‥他人事だと思って‥
「藍!こっち来て‥」
有志に手招きされ俺から離れたくないのか‥ジッと顔を見つめた後‥渋々と有志が指定した椅子に座る‥
「藍‥‥‥俺の顔見て‥‥俺が3つ数え終えると‥好きだった人がどうでもよくなります」
おい‥‥‥それはそれでどうなんだ‥いいのか?
「目を閉じて‥」
「3‥‥‥」
「2‥‥‥」
「1‥‥‥」
そして、有志がパチンと指を鳴らし、藍に目を開けるように指示をする。
かけられた時と同じように‥ゆっくりと目を開けた藍は‥何も言わずにスッと立ち上がった‥
催眠術は解けたのか‥?
ホッ、これで安心だな‥‥‥。
そう思っている俺のそばに藍が静かに近寄り‥
「山内さん‥‥チューしてもええ?///」
「はっ?なに言って‥‥‥‥」
そこまで言ってふと、考える‥‥顔を赤面しながらやってきた藍を見ると‥‥‥
なるほど‥催眠術にかかった振りをして、俺を騙そうとしてるんだな‥‥‥‥。
その手には乗らんよ!
大人の余裕を見せつけるように藍の顔を見ながら‥
「おお!いいよ、別にキスぐらいしたって‥前の飲み会の時もされた‥‥‥‥」
最後まで言えなかった‥‥‥‥
背伸びしながら‥俺の肩に両腕を絡ませてきた藍に、キスをされたからだ‥‥‥‥
「はっ?」
急な事で思わず声が出た瞬間に、あろうことか藍の舌が差し込まれてきた‥
「ちょっと!」
近くで誰かの声がして、俺を引っ張る奴がいる‥祐希だな‥‥。
何故か妙に冷静にそう考える自分がいる‥。
普通焦るだろ?と思う状況なのに‥藍から与えられるキスに身を委ねている自分がいた‥。
キスをする藍の顔をマジマジと見ると‥‥
両目を瞑り、近すぎてぼやける輪郭に‥睫毛が影を落としていて‥
飲み会の時と同じだな‥とぼんやり考えていたら‥
バシッと背中を強く叩かれ引っ張られ‥後ろに倒れ込む!
「ったー!!!」
まぁまぁの痛みに後ろを振り返ると‥やっぱりか‥祐希だった‥
俺に恨みでもあるんか‥
って、そうじゃない!!
慌てて藍の方を向くと、俺が倒れたせいで、心配そうに見つめていた‥
んー‥‥‥これって‥‥‥‥‥
「‥なぁ、有志‥‥‥これって催眠術解けてるの?」
俺の問いに‥じーっと藍を見ていた有志が両手を振りながら‥‥
「あっ、解けてないかも‥ごめーん。まぁ、そのうち解けるっしょ!」
と、笑いながら言い放つ‥。
いやいや、笑い事じゃねーし‥
案の定、また俺の腕にくっついてきた藍がニコニコと笑う‥
「山内さん、大好き♡」
あかん‥‥‥
頭痛くなってきた‥‥‥‥
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