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コメント
1件
おお、第9話読了したわ!いやー、近衛くん、まじで容赦ねえな…(笑)。「俺が」戻るんであって、お前らは置いてくって断言するシーン、鳥肌立ったわ。神条たちが必死にすがりつくのに完全に冷めた目してるところ、溜飲が下がるというか、スカッとするというか。でも白石と佐藤にはちゃんと戦う力を与えて見送る辺り、主人公のメリハリが効いてて好きだわ。最後のヘカーティアとのんびり日常スタートって流れも、異世界復讐劇の締めくくりとして丁度いい塩梅だった。続きが楽しみ!
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二人の奮闘も、足元で醜く泥をすする神条たちの醜態も、最初はそれなりに見ものだった。だが、それも小一時間も眺めていれば、ただの不快で退屈な雑音に変わっていく。覚醒した白石と佐藤は、迫り来る魔獣の群れを必死の連携で押し返し、生存の足場を固めつつあった。
一方で、神条や姫宮たちは二人の背後にすがりつき、自分だけが助かろうと互いの服を引っ張り合い、醜くののしり合っている。
「……はぁ。飽きたな」
俺はぽつりと呟き、深く腰掛けていた特等席のソファから立ち上がった。
『司様? もうお戯れはお気に召しませんか?』
ヘカーティアが、首をかしげながら可憐に問いかけてくる。
「ああ。人間の浅ましさなんて、一度見れば十分だ。いつまでもこんな惨めな連中を眺めていても、時間がもったいない」
俺はポケットに手を突っ込んだまま、眼下で泥をすするクラスメイトたちへ、最後で冷淡な視線を投げかけた。
「おい、お前たち」
俺の声は大きくはなかったが、『森羅万象』の権能によって、戦火の暴風を突き抜け、全員の耳元に直接響き渡った。
逃げ惑う者も、白石たちにすがる者も、一斉に動きを止めて上空の俺を見上げる。
「俺はもう飽きた。だから、地球(もとの世界)へ戻ることにする」
「え……!? 地球に……!?」
神条が狂喜に満ちた顔で叫んだ。
「戻れるのか!? 助かるんだな!? 近衛様、俺たちも連れていってくれ! 頼むからここから出してくれ!!」
姫宮も、黒岩担任も、他の傍観者たちも、手のひらを返したように歓喜の悲鳴を上げ、俺に向かって手を伸ばす。
だが、俺の死んだ魚のような瞳は、一ミリも揺るがなかった。
「勘違いするな。**『俺が』**戻るんだ」
「……は?」
「お前たちはここに置いていく。地球での事件は、全員まとめて『集団失踪』として処理しておくよ。せいぜい、その異世界で一生助け合って生きていけ」
「冗談だろ……!? おい近衛! 待てよ! 置いてかないでくれええええッ!」
パニックを超えた絶望の悲鳴が荒野に響き渡る。
神条たちがなりふり構わず俺の足元へ駆け寄ろうとするが、すでに俺と彼らの間には、決して超えられない次元の亀裂が走り始めていた。
「白石、佐藤」
俺は必死に魔獣の攻撃を凌ぎながら俺を見上げる二人に、視線を送った。
「その力があれば、お前たち二人ならこの世界でも生きていける。あのゴミ共を導くも、見捨てるも、全部お前たちの自由だ。……せいぜい頑張れよ」
白石は唇を強く噛み締め、涙を浮かべながらも、しっかりと頷いた。
「……うん。行っちゃうんだね、近衛くん。……今まで本当にごめんなさい。そして、私たちに戦う力をくれて、ありがとう」
「僕たちの罪は、ここで一生かけて償います。……さようなら、近衛くん」
佐藤も深々と頭を下げた。
『ふふ、あんな者たちは放っておいて、二人で地球での新しい生活を楽しみましょう、司様!』
ヘカーティアが嬉しそうに俺の腕に抱きついてくる。
俺は最後の仕上げとして、思考を巡らせた。
**【対象:地球における1年B組30名および教師2名の存在記録】**
**【象徴:『神隠し・行方不明』としての概念固定。近衛司のみ完全回復のうえ帰還】**
「森羅万象——『次元帰還(リターン)』」
空間がガラスのように割れ、俺とヘカーティアの体を眩い光が包み込む。
「頼む近衛えええええっ! 連れていってくれええええっ!!」
神条の絶叫も、巨獣の地響きのような咆哮も、すべてが遠くへ去っていく。
光が収まった時、俺は静まり返った自分の部屋に立っていた。
窓から差し込む夕日が、部屋を静かに照らしている。
聞こえるのは、風の音と、静かなウチの部屋の静寂だけ。
「……さて」
俺はスマホを取り出し、画面に表示された日付と時間を確認した。
跳んだはずの屋上、救急車のサイレン、騒ぎ立てていたクラスメイトたち——それらの雑音は、もう二度と俺の人生に踏み込んでくることはない。
『司様、今夜のご飯は何にいたしましょうか? 私、地球の料理というものを食べてみたいです!』
隣で目を輝かせる美しき女神の肩を抱き寄せ、俺は静かに口元を緩めた。
「そうだな。美味いものでも食べに行こうか、ヘカーティア」
くだらない復讐劇はこれで終わりだ。
ここからは、神の力を手に入れた俺と、俺を愛する女神だけの、自由な日常が始まる。