テラーノベル
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翌朝。
宿を出た二人は、再び街道を歩いていた。
空は快晴だったが、緋八マナの胸は妙にざわついていた。
「……なんか嫌な感じする」
隣を歩く 小柳ロウ がちらりとこちらを見る。
「勘?」
「うん」
「当たるタイプ?」
「知らん」
ロウが少し笑った。
「まぁ、警戒はしとくか」
その言葉と同時に、彼の視線が鋭くなる。
さっきまでの軽い雰囲気が消えた。
マナは思わず息を呑む。
「……ロウ?」
「静かに」
低い声だった。
次の瞬間。
林の奥から、人影が現れる。
三人。
全員、刀を差していた。
マナの背筋が凍る。
その装束には見覚えがあった。
「……伊波家」
呟いた瞬間、男たちの目が細まる。
「見つけたぞ」
心臓が跳ねた。
追手だ。
本当に来た。
「逃げろ」
ロウが短く言う。
だがマナの足は動かなかった。
もし逃げれば、ロウまで巻き込む。
すると男たちの一人が口を開く。
「農民。大人しく来てもらう」
「……嫌や」
声が震える。
でも、行けば終わりだ。
ライに会えなくなる。
もう二度と。
「若君が随分執着なさるせいで苦労した」
その言葉に、胸が痛む。
ライ。
今も苦しんでいるのだろうか。
「お前さ」
突然、ロウが一歩前へ出る。
空気が変わった。
「嫌がってる奴を無理やり連れてく趣味あんの?」
男たちがロウを睨む。
「部外者は引っ込んでいろ」
「無理」
ロウは笑った。
でも、その目は全く笑っていなかった。
「そいつ、俺の連れなんで」
マナが目を見開く。
ロウは腰の刀へ手をかける。
その動きがあまりにも自然で、息を呑んだ。
「……ロウ?」
「下がってろ」
低い声。
次の瞬間。
金属音が響いた。
速かった。
マナの目では追えないほど。
一人目の刀を弾き飛ばし、ロウが地面を蹴る。
男たちの顔色が変わる。
「こいつ……!」
「思ったより強ぇな」
ロウは軽く笑う。
だが目は真剣だった。
マナは呆然と立ち尽くす。
ただの旅人じゃないとは思っていた。
でも、ここまでとは。
男の一人がマナへ向かってくる。
反射的に体が強張る。
だが、その前へロウが滑り込んだ。
刀がぶつかる音。
「っ……!」
ロウは舌打ちする。
「数多いの面倒だな」
「ロウ!」
「走れ!」
怒鳴る声。
マナは息を呑む。
「でも!」
「いいから行け!!」
その瞬間、ロウの肩が斬られた。
血が飛ぶ。
「っ……!」
マナの顔が青ざめる。
ロウは痛みに顔を歪めながらも、男を蹴り飛ばした。
「はやく!!」
その声で、ようやく足が動く。
マナは山道へ駆け出した。
涙で視界が滲む。
まただ。
また誰かが、自分のせいで傷つく。
ライも。
ロウも。
「っ……!」
苦しい。
怖い。
でも止まれない。
一方その頃。
屋敷では、 伊波ライ が縁談の席を抜け出していた。
「若君!」
従者の声を無視し、廊下を走る。
胸騒ぎが止まらなかった。
嫌な予感がする。
まるで、マナが泣いているみたいな。
「……マナ」
その名を呼んだ瞬間。
屋敷の門の外で、馬を走らせる従者たちの姿が見えた。
ライの顔色が変わる。
「どこへ行く」
捕まえた従者へ問い詰める。
男は苦しそうに目を逸らした。
「……追手です」
世界が止まった気がした。
ライは震える声で問う。
「誰を追っている」
返事を聞く前に、分かってしまった。
そして次の瞬間。
ライは従者を振り払い、厩へ走り出していた。
コメント
1件
うわ、来たか…伊波家の追手。ロウが「そいつ、俺の連れなんで」って言った瞬間の空気感、めっちゃ痺れたわ。肩斬られたときの「走れ!!」からのマナの涙、そしてライが屋敷で胸騒ぎして走り出す対比が熱すぎる。この終わり方、続きが気になりすぎるんだけど!🔥