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#転生
コシ
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耀聖(ようせい)
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『偽りの無能、真の覚醒〜転生皇女はすべてを奪い返す〜』
――ここが、我が帝国の管理下にある最高難度の遺構、
通称『黒鉄の深淵(アイアン・アビス)』だ。
お兄様――アルベルトに連れられてやってきたのは、
帝都の郊外にひっそりと佇む、不気味な黒い岩山だった。
その麓には、禍々しい魔力の霧が渦巻く、巨大な洞窟の入り口がぽっかりと口を開けている。
以前、遠隔魔法を成功させた私に、アルベルトお兄様は
「実戦での魔力運用の経験を積ませてあげたい」
と言って、このダンジョンへの同行を提案してくれたのだ。
「ローゼマリー、ここは本来、国家最高位の魔導騎士団が一一個小隊で挑むような危険な場所だ。
だが、今の君の魔力なら、良い運動になると思ってね。
……もちろん、万が一の時は僕が全てを消し去るから、安心して戦ってごらん」
アルベルトは私の肩に手を置き、過保護なほどに優しい微笑みを浮かべた。
背後では、今回のお出かけに同行を許されたリンが、
お弁当の入った籠を抱えながら
「ローゼマリー様、応援しております!」
と健気に拳を握っている。
「ありがとう、お兄様。リン。……それじゃあ、少し行ってくるわね」
私はドレスの裾を軽く翻し、一人で暗い洞窟の奥へと足を踏み入れた。
洞窟の奥は、ジメジメとした不快な冷気と、血生臭い魔獣の気配で満ちていた。
普通なら恐怖で足がすくむような暗闇。
だが、今の私にとっては、己の力を試すための最高のおもちゃ箱に過ぎない。
グルルルル……ッ!
闇の奥から、無数の赤い眼光が浮かび上がった。
現れたのは、通常の魔導師なら一頭を相手にするだけで命懸けとなる
Aランク魔獣『シャドウ・ウルフ』の群れだ。
それが、二十頭以上も私を取り囲むようにして牙を剥いている。
「前世の私なら、悲鳴を上げて逃げることすら出来なかったわね」
私は冷徹な瞳で狼たちの群れを見据え、そっと右手を前に突き出した。
詠唱はしない。
魔法陣の展開も不要。
ただ、体内の奥底にある膨大な魔力の海から、一搾りの力を指先に集める。(塵になりなさい)
パキィィィン――ッ!!!
一瞬だった。
私が指先を軽く薙ぐと、演習場で放ったものとは比較にならない規模の、
巨大な氷の刃が乱舞した。
凍てつく暴風が洞窟の通路を駆け抜け、凄まじい轟音と共に、
すべての魔獣を一瞬で「生きた氷像」へと変えていく。
ウルフたちは、悲鳴を上げることすら許されなかった。
完全に氷漬けになった魔獣の群れは、私の横を通り過ぎる風の圧力を受けただけで、サラサラとした光の粒子となって砕け散り、消滅した。
「ふふ、お兄様に教わった通りに魔力を編むと、本当に無駄がないわ」
私は歩みを止めない。
そのままダンジョンの最深部へと、優雅に歩みを進めていく。
立ち塞がる罠は、溢れ出る魔力の障壁だけで自動的に弾き飛ばし、
襲いかかる上位魔獣たちも、指先を一度振るうだけで全て氷の塵へと変えていった。
苦戦など、一秒たりとも存在しない。
ただの、静かなる蹂躙だった。
そして、ダンジョンに入ってからわずか十五分。
私は、この最深部に君臨するダンジョンボス――『深淵の骸骨王(スケルトン・キング)』の間へと辿り着いた。
十メートルを超える巨大な骨の巨体が、私を見下ろして禍々しい咆哮を上げる。
大気を震わせるほどの衝撃波。
だが、私はその場から一歩も動かず、ふぅ、と小さく溜息をついた。
「少し、退屈ね」
私は右手を天へと掲げた。
今度は、ほんの少しだけ、本気で魔力を解放してみる。
ドクン、と私の心臓が脈打った瞬間、ダンジョン全体の空気が一変した。
ボスが放っていた禍々しいオーラなど一瞬で掻き消え、
私の身体から溢れ出した圧倒的な紫色の魔力が、
巨大な光の柱となって天井を突き破らんばかりに燃え上がる。
あまりの魔力圧の凄まじさに、十メートルあった骸骨王の巨体が、
攻撃を受ける前だというのに、恐怖でカタカタと骨を鳴らしてその場に膝を屈した。
魔獣ですら、本能で理解したのだ。
目の前にいる少女は、決して挑んではいけない「神の如き怪物」だと。
「消えなさい」
私が掲げた右手を、容赦なく振り下ろす。
ズガガガガガガァァァン――ッ!!!
部屋の天井を埋め尽くすほどの、
超巨大な氷の質量兵器――『絶対零度の氷槍』が、ボスに向かって降り注いだ。
轟音と共に、ダンジョンの最深部が激しく揺れ動く。
視界を埋め尽くした白い冷気が晴れた時、そこにはボスの姿どころか、
彼が座っていた頑丈な石造りの玉座すらも、跡形もなく消滅していた。
ただ、どこまでも深く凍りついた、真っ白なクレーターが広がっているだけだった。
「あら……ちょっとやりすぎちゃったかしら」
私が苦笑いしながら振り返ると、
いつの間にか結界を解いて奥まで入ってきていたアルベルトお兄様が、
見たこともないほど目を見開いて硬直していた。
隣のリンにいたっては、開いた口が塞がらない様子で固まっている。
「……ローゼマリー」
アルベルトはゆっくりと私に近づくと、その震える手で私の両肩を掴んだ。
怒られるのかと思いきや、お兄様の瞳には、狂おしいほどの歓喜と誇らしさが満ち溢れていた。
「最高だ……! 君は、僕の想像を遥かに超えていた!
国家最高難度のダンジョンボスを、無詠唱の一撃で消滅させるなんて……! ああ、愛しい我が妹よ、君のその力があれば、世界を跪かせることだって容易い!」
アルベルトはおののくように私を抱きしめ、その銀髪を私の頬に寄せた。
リンも我に返ったように、
「ローゼマリー様、本当に、本当にかっこいいです……!」
と大興奮で涙ぐんでいる。
「ふふ、ありがとうございます。お兄様、リン」
お兄様の腕の中で、私は南の空を見つめた。
これほどの力を、私は手に入れた。
もう、誰にも虐げられない。
誰の理不尽にも従わない。
前世でただ涙を流すことしかできなかったシャルロットは、もうどこにもいないのだ。
(カイル、エレン……
国に冷遇される程度の生ぬるい地獄で、私を失望させないでね)
今の私なら、あの国を国ごと凍らせることだって容易い。
けれど、私が欲しいのはそんな大雑把な破壊ではない。
かつて私を踏みつけたあの二人を、最も惨めな形で、
私の足元へ這いつくばらせることだ。
アルベルトお兄様の温かい胸に寄り添いながら、私の頭の中では、
あの国をじわじわと干からびさせる冷酷な計画の歯車が、
静かに回り始めていた。
コメント
10件
言わせてくれぇ!! 「るーらは神で、物語も神なのかぁぁぁああ!!!!!」
賞とれるきがする、!!るーちゃんなら!!
いやー、このエピソードめっちゃ刺さったわ! 骸骨王が怯えて膝つくシーンとか、鳥肌立ったし。無詠唱でAランク魔獣を氷像にして塵にする強さ、最高すぎるでしょ。お兄様が「世界を跪かせられる」って誇るのも納得の火力だわ。これからあのクズ二人にどんな復讐を仕掛けるのか、めちゃくちゃ楽しみ🔥