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ナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)が横になって、天井とにらめっこしているとニイナ(殺し屋の中の殺し屋)がとなりにやってきた。
「ナオトー、遊んでー」
「……すまないな。今はそんな気分じゃないんだ」
ニイナは彼の左側に移動すると、彼の左耳に息を吹きかけた。
「……はぁ」
あれ? おかしいな。
全然反応しない。
もしかして、不感症?
ニイナは少し心配になった。
彼女は彼の左耳を甘噛みしたり、舌で舐めたりした。
彼の性感帯である左耳。
いつもなら、そこに触ったり何かしようとするだけで拒絶する。
しかし、今回は違った。
彼は深いため息を吐《つ》く意外、拒絶や離脱をしようとする気配すらなかったからだ。
「ナオトー、大丈夫? さっきから変だよ?」
「変? どこがだ?」
「だって、左耳にいたずらしても、ため息ばっかり吐《つ》いてるもん」
「あー、えーっと、それはだな、ちょっと考え事をしてたからだ」
「本当?」
彼の顔をじっと見つめるニイナ。
彼は気まずそうに彼女から目を逸らす。
「ほ、本当だよ。だから、別にお前が気にする必要はないんだよ」
「つまんない……」
「え?」
「そんなのつまんない。ナオトが構ってくれないと、私悪い娘《こ》になっちゃうよ。それでもいいの?」
「悪い娘《こ》って。具体的にどんな悪いことをするんだ?」
「そ、それは……え、えっと、ナオトが楽しみにしてたお菓子を食べたり、ナオトが寝ている間にいたずらしたりするんだよ」
「……それは困るな。主に俺が」
「どうする? このままだと私、本当に悪い娘《こ》になっちゃうよ」
「……分かったよ。遊び相手になってやるよ」
「本当? 本当にいいの?」
「ああ、本当だ」
ニイナは彼の腕に抱きつくと、ニコニコ笑いながら頬《ほお》擦《ず》りをし始めた。
「ニイナはまだまだ子どもだな。よしよし」
彼が彼女の頭を撫でてやると、彼女は嬉しそうに「えへへ」と言った。
「雨はまだ止まない……か。はぁ……この雨の原因がすぐ近くにあるかもしれないのに、なんで偵察すらやらせてもらえないんだろうな」
「それはきっとナオトがトラブルに巻き込まれやすいからだよ」
「いや、そんなことは……」
彼はこの世界に来る前も来た後も何度かトラブルに巻き込まれていることに気づいた。
それがモンスターチルドレンに深く関わる者《もの》の運命《さだめ》なのか?
いや、違う。ただ単に俺が厄介事に首を突っ込みたがるのが原因だ。
「えっと、トラブルに巻き込まれないことの方が少ないことに気づきました」
「でしょ? だから、しばらく家にいようよ。ね?」
「まあ、そうだな。たまには、ゆっくりするのもいいかもしれないな」
彼は雨が止むまで、少し気持ちを落ち着かせることにした。
雨はまだ……止まない。