テラーノベル
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ya 「お前ってこの世に恨みとかでもあんの?」
放課後、
帰り道のことだった。
学校の傍の並木道を歩いていた時、
後ろから声がして振り返ると
ブレザーに手を突っ込んだyaくんが立っていた。
ur「…恨み?何の事?」
ya「”今日も朝からイライラする。全員消えろ”
“満員電車無理。早く降りたい”
“山本先生の授業クソつまんない。教科書読んでるだけ。
給料泥棒”
“山田彼女の惚気ばっかでうざい。聞いてねぇよ”
ポケットから出した黄色のメモは俺のものだった。
yaくんの口から出た言葉たちも、
俺のものだった。
ur「……えっ、と」
ya「はい 」
何も言わずに黙っている俺にメモを手渡した。
そのまま通り過ぎていく背中に、俺は慌てて問いかける。
ur「…この事、誰かに言った?」
ya「言ってないけど」
ur「誰にも、言わないで」
ちらっと振り返ったyaくんは、俺をじっと見つめたあと
何も言わずに歩き去っていった。
______終わった。
次の日、
学校に行くのが凄く嫌だった。
yaくんに噂を広められてたらどうしよう。
あんな悪口だらけのメモ帳、
絶対広められる。
憂鬱なきもちのまま、
学校へ向かい教室に入る。
jp「お!ur!おはよー!」
明るい声のクラスメイト。
もしかして、誰も知らない?
いつもの雰囲気が流れる教室。
俺はそっと胸を撫で下ろす。
じりじりと痛い視線を感じて、
教室の後ろを見ると
yaくんが俺を見つめていた。
その日の放課後、俺はyaくんの後をつけていた。
人通りがなくなったら、
話しかける。
絶対他の人に言わないと約束してもらいたかった。
でも思っていたよりyaくんは歩くのが早くて
ずんずんと進んでいってしまう。
置いていかれないように
見失わないように
必死に追いかけているときだった。
ya「…何?ストーカー?」
yaくんが、振り返らずに俺に言った。
ur「…バレてた?」
ya「バレバレ。何?」
ur「あの、昨日のメモの事なんだけど」
yaくんはゆっくりと振り返る。
ur「…誰にも、言わないで欲しくて」
昨日のように
何も言おうとしなかった。
ur「……だってyaくんも、読んだ時引いたでしょ?
頭の中、こんなこと考えてるんだって。 」
ya「引いたって言うか、ムカついた」
ur「でしょ?だから、」
ya 「お前が、嘘をついて生きてる事に」
ur「…えっ?」
ya「お前がクラスで使う言葉、友達と話す言葉、
全部真逆じゃん」
yaくんは俺のブレザーのポケットをゆっくりと指さした。
中に入っている、メモ帳。
ずしりとそれが重く感じた。
ya「思ってることあんなら、ちゃんと言えよ。
真逆なことばっか言うな。お前、いつか自分を見失う ぞ。」
ur「…だってッ!」
胸の奥がつっかえる。
気づけばずっと表に出さないようにと押し殺してきた気持ちが溢れていく。
ur「…思ってること全部言って、そのせいで人間関係上手 くいかなかったら?」
ya「嘘つかなきゃ続かない人間関係なんて、いらねぇよ」
胸がドキリ、と音を立てる。
はっきりと言い切るyaくんが
強くて、眩しかった。
ya「誰にも言われたくないんだろ?このこと」
ur「…うん」
ya「なら1個俺と約束して」
ur「何? 」
ya「自分の気持ちに嘘つくのやめろ」
1歩、yaくんが俺へと近づく。
ya「もう、やめろよ」
すーっと、何かが剥がれていくようだった。
ずっとずっと私にまとまりついた。何かが。
ur「…わかった。」
俺が頷けば、
yaくんも無表情のまま頷く。
そのまま俺達は、
ゆっくりと歩き出す。
2人で肩を並べて歩くのが、
不思議だった。
ur「…じゃ、じゃあ言わせてもらうけど」
ya「ん?」
ur「yaくん、自分が思ってるより対してかっこよくない よ…。」
ya「……は?」
ur「学校でちやほや褒められてるけどさ、別に対してかっ こよくないし、いつも偉そうだけど大きいのは身長と 態度だけだよね」
yaくんが目を丸くして俺を見つめていた。
俺もじっと見つめ返す。
ur「スポーツも、スポーツ万能って言われてるけど
足が速いだけじゃん。球技絶望的じゃない?
前に体育でサッカーやってたけどどこがスポーツ万能 なの?」
ya「…はははっ!」
突然吹き出すyaくん。
こんなに笑うyaくんは、
初めてだった。
ya「初めて男からそんなこと言われたわ」
悪口ばかり言ったのに、何故かyaくんは嬉しそうに笑う。
ya「ねぇ、そっちの方がいいよ。」
ur「ああ、そう」
ya「そっちの方が、好きだよ、俺」
サーっと風が吹く。
優しい風だった。
落ち葉が静かに舞っていた。
[完]
この物語はTiktokで見つけたものです。
最後まで見てくれてありがとうございました。
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