テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「行くよ!」
💜の声が、空襲警報のうねりを切り裂いた。
バスの扉が開くと、外の空気は灰と砂の匂いでいっぱいだった。
遠くで爆発音が重なり、地面がわずかに震える。
空は黒い点で埋め尽くされ、それが低くうなるように近づいてくる。
「走れ!頭を下げろ!」
💜が先頭を走り、僕たちは列になってついていく。
🩵は毛布を脱ぎ捨て、必死に足を動かしていた。
🤍が一番後ろで、🩷の背中を押している。
足元でガラスの破片がぱきぱきと割れる音がする。
右の路地で、古い屋根がドン、と崩れ落ちた。
その瞬間、誰かの悲鳴が混じったが、❤は振り返らない。
「止まるな!」
ビルの影が見えてきた。
窓はほとんど割れていて、壁には黒い焼け跡が広がっている。
でも、コンクリートの柱はまだしっかり立っていた。
入口をくぐった瞬間、爆風が背中を叩いた。
砂と灰が渦を巻き、後ろの路地が煙で覆われていく。
「全員、いる?」
💜の声に、みんながうなずく。
肩で息をしながらも、子どもたちは必死に声を殺していた。
上の階は崩れているが、地下への階段がまだ残っている。
「みんな地下へ!!音が収まるまで出ないでね」
💜が先に降り、僕たちはひとりずつ暗がりに消えていった。
頭上では、金属のうなりと爆発の響きがまだ続いている。
その音の合間に、自分の心臓の鼓動だけがやけに大きく聞こえた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!