※イラスト難しい!
「俺は今日の朝、悪夢を視た」
さっと、部屋の空気が冷えたみたいだった。
「え…?それって、まさか…」
「…ああ。“ナイトメア”が、復活した可能性が高い」
ナイトメア。聞いたことのない言葉だ。けれどどうしてか、馴染み深い言葉のようにも思える。ここに来るのも、ポップスターの話を聞くのも初めてのはずなのに、なぜか。
「…やっぱり、そうなんでしょうか…でも、カービィさんから話を聞きましたが、そのナイトメアは一度、倒されたはずですよね。良い夢のチカラを持った、スターロッドによって」
「そうだ。それ以来、俺たちはまた悪夢を視なくなった。…だが、今朝俺が視たのは、間違いなく悪夢だった 」
険しい表情。それは、事の真剣さを伝えるには十分すぎた。先の闘いではあんなにも力強く見えた彼がそんな顔をするなんて想像もできなかったから、余計に。
「あのさ…その、ナイトメア…って、復活したらそんなに大変なの…?たぶん、わたしだけついていけない話題なんだけど… 」
「…そうだな。例えると、お前らを襲ってきた“黒い影”並の脅威であることは間違いない。それは誰よりも、俺が分かってる 」
黒い影。その単語にひゅっと息をのむ。襲われる瞬間まで気がつけず、誰も守れずにたちまち意識を失って――とにかく、悔しい経験だった。そんなレベルの脅威が、まだ存在していただなんて、考えたくもない。しかしまあ、話の流れからして奴らとの交戦経験のある彼らも、それはそれで凄いのだが…
「はあ…しかし、ナイトメアとその“黒い影”を、同時に相手にしなければならないかもしれない、ということですよね?だとしたら、今回はかなりヤバいんじゃないでしょうか…例のごとく、メタナイトさんは修行でどこかへ行ってしまいましたし」
バンダナワドルディが言った。そのメタナイトというひとがいれば、さらに頼もしかったことだろう。バンワドの言葉からも、彼(彼女?)がよく慕われていることが分かる。
それでも、みんな強いと分かっているのに、やっぱり怖いものは恐かった。あんなに一瞬で大切なものが全て離れていくことの恐ろしさを体感してしまうと、どうしようもなかった。四人を探しに行きたいのは当然だけど、でも、それでも――
「――大丈夫」
ささやくような、声が聞こえた。
「今のところはクリスタルも反応してないし、もし現れてもわたしたちは戦える。奇襲されても、今は誰もひとりじゃない」
それは不安を全て打ち払うような、クリアな声だった。それとほんの少しだけ、カリスマにも近い物を感じた。すっと入ってくるトーンは、彼女の持つクリスタル の光にも似ている。
「ありがと、リボン」
「ふふっ、どういたしまして」
ふと見渡すと、話に一区切り付けたらしいみんなが、優しい笑顔を浮かべてこちらを見ていた。少し恥ずかしくなったけど、先の言葉を思い出して安心する。わたしは今、ひとりじゃないんだって。ひとりじゃないから、こわくないって。
「よし、それじゃあ早速行こうか!みんな、忘れ物ないよね?」
「うん、大丈夫っス!…と言いたいところなんですけど…」
「ん、なんだ?」
「大王様…まさかとは思いますが、また城を空にするつもりっスか?前のとき、裏でかなり騒ぎになってたんっスよ?もし不在中に誰か来たら、どうするんっスか?」
「うっ…そ…それは、だな……バンワドぉ!!」
「はいはい、分かってましたよ…今回も留守番ですね?みんなをまとめるのは、任せてください!」
残念そうな顔に釣り合わない誇らしげな声に、内心で笑みを浮かべた。流石に城のワドルディたちをまとめるリーダーと言うべきか、場慣れと安心感が凄い。そしてオイラ口調のワドルディの肩(どこ?)を叩くと、彼は忙しそうに部屋を出ていった。
あらためて、部屋に残った五人の顔を見渡す。かわいい顔して頼もしいカービィ、パラソルを背負ってやる気充分のワドルディ、小さくても信念の強いリボン、きらきらと目を輝かせるアドレーヌ、まだ少し不安げなデデデ大王。なかなか個性的なメンバーぞろいだ。でも、わたしはかつてないほどの頼もしさを感じていた。この六人でなら、きっと友達を見つけだせる。そうしたらまた、“楽園”を目指す旅ができる。
幸せと充足感に満たされながら、わたしは大きく息を吸い込んだ。
第一章-はじまり編 完
Next is…?
あとがき
一章が終わって安心してるフジミヤです!いかがでしたか?
とにかく今回も文字数抑えたぜ!…え?読み応えがない?(幻聴)それならもっと文字数を増やさねば…(おいこら)
…冗談はほどほどにして。次回からは二章がスタートします!64と同じように、星々を巡る冒険が待ち受けています…!ぜひ更新をお楽しみに!
そしていいねしてくださった皆さん…本当にありがとうございます!!めっっっちゃ励みになってます…!これからもご愛読いただければ幸いです!
閲覧ありがとうございました!
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