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りり
つな大福
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風楽奏斗side
友達の質問をされて、
答えたけどなんか気まづくなっちゃって。
沈黙が流れたから、自己紹介。
「⋯あの、僕。風楽です。風楽奏斗」
覚えてもらわなくてもいいけど、
とりあえず⋯なんて思っていれば
「⋯⋯風楽⋯ね」
なんてボソッと言ってくれて、嬉しくなる。
だけどいくら待っても相手から
自己紹介されることはなかったから
「あの⋯名前聞いてもいいですか?」
なんて聞いてみる。
⋯迷惑⋯だったかな⋯なんて思っていれば
「⋯渡会、渡会雲雀」
なんて、小さい声で答えてくれて。
渡会さん。渡会雲雀さん。
先輩⋯なんて馴れ馴れしい気もして
「渡会⋯さん?で大丈夫ですか?」
そう聞けば
「⋯ひばでいいよ」
なんてあだ名呼びのOKが出て
「じゃあ⋯ひばで!」
そんな話をしていれば、
いつの間にか別れ道。
僕は駅だけど、ひばは多分違う。
⋯けど一応確認すれば
駅とは違う方向を指さし。
もう⋯離れる時間か⋯
なんてよく分からない感情になって。
「⋯じゃ」
そう言って歩いていこうとする
ひばを止める訳にも行かなくて
「じゃあ、また!」
僕の中で精一杯の声を出して、
僕も駅に向かった。
僕の世界。
それは多分、
普通じゃんって思われると思う。
確かに普通⋯だから。
でも、違うところがあるんだ僕にも。
それは、僕に紫色が見えなくて、
人より視野が狭い事。
視野が狭い分、耳が人より良い。
他の色は見えにくいけど、
しっかりと認識は出来る。
だけど紫色になると、黒に見える。
これが厄介で。
真っ黒に見えるのは紫だけだけど
それと同じ系統のピンク系はくすんで見える。
だから、この時期に咲く桜も
秋に咲くコスモスも僕には黒。
みんなが猗麗だという色が
僕には綺麗見えない。
それがなによりも僕には辛くて。
「あ!お母さん!桜!猗麗~!」
なんて道路に落ちてる桜を見て、
はしゃいでる子供。
風で舞う桜。
全て僕には、綺麗に見えない。
この症状が無くなるのは、
死ぬ時か運命の人ができた時だけ。
・・まじで残酷すぎ。
死ぬ時とか意味ないし、そもそも。
運命の人とかまずどこ?だし。
調べた時に、酷い人は何も
色が分からない⋯とか。
全部が白黒に見えるらしい。
⋯そんな世界、僕には無理で。
耐えれなさそう⋯
なんて僕も同じ病気なのに同情して。
好きな人⋯そう考えた時、
1番に出てきたのはひばの顔。
⋯なんで?なんでひば?
僕にも分からなくて。
だけど、脳が勝手に反応してるのか
次の日の朝。
無意識にひばを待とうなんて
気持ちになっていた。
⋯タイミングが被るかなんて分からないのに。
昨日、別れた場所でただひたすらに
待っていれば少し慌てたひばが
歩いてきて声をかければ
「・・・へ?なんで?」
なんて可愛い顔をする。
⋯年上なはずなのに可愛くて。
「待ってたんです、ひばのこと」
なんて言えば、固まっちゃう。
⋯ひば、可愛すぎるよね。
だけどそれも数秒で
「⋯遅刻するよ?」
なんて言われて、驚く。
そんなに待ってたことにもだけど、
遅刻しそうなことにも。
初日から遅刻して目立つのは僕も嫌だし、
ひばだって嫌なはず。
とにかく急がなきゃ。
そんな気持ちでひばの腕を握って走る。
「・・ちょ、風楽?」
なんて、後ろで声がするけど
遅刻だけは避けてあげたくて
「⋯遅刻は嫌なんで、頑張ってください!」
そう声をかけて走り続ければ、
余裕ができるくらい時間が余って。
目の前を見れば、
クラス分けの紙があることに気づいて。
「あ!ひば、クラス発表してますよ」
なんて、ひばよりも先に
クラス分けの紙の所まで歩く。
渡会⋯渡会雲雀⋯わた⋯わたらい⋯
なんてさ後がしていれば、
僕と同じB組に名前があって嬉しくなる。
だって、僕と同じだよ?
嬉しい以外の感情ある⋯?
少なくとも僕はない。
3学年でなにかするってことは無いけど
なんか少しだけ近くなった気がして嬉しくて。
ひばにその事を伝えれば
「・・・そっか」
だけ言われて会話が終わっちゃって。
「時間、やばいっすね。教室!行きましょ」
携帯を確認すれば、
もう教室に向かってなくちゃいけない時間。
さすがに手は引けないから、
僕が少し前を歩いて玄関に入っていった。
コメント
1件
みぅです🤍🥀 第10話、読み終わったよ。 風楽くんの視点、すごく良かった…!紫が見えないって設定、切ないね。それでもひばくんのことを意識しちゃう気持ち、すごくわかるなあ。無意識に待ってるところとか、可愛すぎるし…「待ってたんです」って言っちゃうの、ズルいよ(笑) 2人の距離感がじわじわ縮まってる感じが、甘くて苦しい…続きが気になるよ🌙