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コメント
3件
了解<(`・ω・´)
やったー!新作だ〜! 夕葉ちゃん、主人公の子にかなり積極的だね〜😁これからどんな関係性に鳴っていくのかな?楽しみ((o(´∀`)o))ワクワク
今日の気候は暖かい。
俺はいつものように海を眺める。
そう、俺の中学――私立花巻中学では絶景の海が眺められる。
大きな桜の木の下、美しい自然が毎日目に飛び込んでくる。
俺も、1年の登校初日、なんて美しい景色なんだろうと驚いた。
更に、部活終わりに見た 夕焼けに染まる空と海は最高だった。
俺はゆっくり一人で居る時間が好きなのだ。
だけど、そんな俺を毎回邪魔してくる人物がいる。
早乙女夕葉(さおとめゆうは)だ。
今日も、俺の座っているベンチに腰掛けた。
「綺麗だね〜」
「…」
俺は無視し続ける。
いつもの事だった。
「ね、無視しないでよ…?」
「ねえ」
「ねえったら…!」
「………何だよ」
俺が不機嫌気味に声を出すと、夕葉は何故か嬉しそうにした。
「やっと返事してくれた!」
「…」
俺はまた無視した。
話すのは好きじゃない。
―――でも、本当に夕葉と話さない理由はそんなことじゃない。
話したいわけじゃない。
だけど、話したくないわけでもない。
俺は複雑な気持ちになった。
「どうしたの?」
「…何でもない。俺帰る。」
俺が席を立とうとすると、ちょっと待ってと夕葉が呼び止めた。
「もうちょっと見てない?海」
「……見ねーよ」
「だって、海好きじゃん」
「俺は一人で見たい」
「____そっか。ごめん」
「…」
俺はそのまま家に帰ろうとした。
ふと振り返ると、遠くに夕葉のシルエットが浮かび上がっていた。
寂しげに揺れていた。
だけど、俺はいまさら戻れなかった。
俺はまた歩き出した。
もう振り返らないと決めて。
―――翌日の朝
俺は夕葉が居ない事を確認して、ベンチに座った。
今の季節、桜は満開だ。
鮮やかな桃色の桜___。
この桜を見ていると、いつも夕葉が俺の頭をよぎる。
「…(なんでだよ…っ)」
もう嫌なんだ。
こんな風に考えてる自分が。自分自身が。
すると、トコトコと足音が聞こえた。
その音は段々とこちらに近づいてくる。
どうせ夕葉だろう。
いつもみたいにベンチに座って___
と思っていた。
だが、俺の予想は外れた。
確かに夕葉はこちらに来た。
だけど、ベンチには腰掛けなかった。
ひとり、桜の木の下で海の方を見つめている。
「…?」
俺は不思議に思い、ずっと夕葉から目が離せなかった。
それでも振り返ってくれない。
「夕葉…?」
俺は我慢できなくて、名前を呼んだ。
返事は無かった。
こうして名前を呼んだのは初めてなのに。
すると、夕葉が突然走り出した。
校舎の方に一直線で。
俺なんかには目もくれずに―――。
「どうなってんだよ……」
俺が呟いたその言葉は、そのまま地面に落ちていく。
俺はゆっくりと歩き、夕葉のあとをつけた。