テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「そうです。俺のいないところで飲んだ直美が潤んだ目になったり、眠くなったりするのを他人に見せるわけにはいかないんで」
ふむふむ……夫がお肉を食べながら頷いているけれど
あなたは私がどれだけ飲んだら酔うのかなんて知らないんじゃない?
と、もやっとする。
「それで種類とか量とか、いろいろと飲ませてみて、大丈夫なラインが3本。これがわかっていると、親戚の集まりでも安心です」
「親戚?親戚の中で眠くなったら、寝ればいいんじゃないの?」
「無理。親戚でも男」
「あ……そういう感覚なんだね、中西さんは。ハイボール、まだある?」
「ありますよ。ウォッカ、スコッチ、モルト、どれがいいですか?」
「たくさん揃えてくれたんだね。モルト、お願いします」
調子よく夫がビールからハイボールへと進んだタイミングで
「私もリンゴサワー、もらっていいですか?」
と、初めてのサワーをもらう。
さっと缶をくれた中西さんは、直美さんのお皿を見て
「まだ食べられるか?」
と聞いている。
どこまでお世話をするのだろう……うちの夫は一旦網をずらして、せっせと炭を触っている。
「それは…何を?もう消すの?」
「火力調整。もう少しゆっくりと焼けた方がいいでしょ?」
「ああ……お腹がふくれてきたから」
納得顔の直美さんからすれば、マメな隣人よね。
でも本当はそうではないの……
私がゴクゴクとリンゴサワーを半分ほど飲む間に
「このまま触らないで。失礼……トイレへ」
と夫が家の中に入って行った。
触らないで、ね……やってられない……ゴクゴク……
「ジュースみたいで飲みやすいですよね、それ」
「ほんと。これアルコール?」
「アルコールですよ。子どもの手の届かないところへ、って書いてあります」
「あ、書いてあるわね」
「ママ、千愛たちに飲み物が置いてないってどういうことだ?室内でも熱中症に気を付けないと。さっきはここであれだけの汗もかいていたんだし」
夫が不機嫌に言いながら戻って来た。
「あ、私も気づかなくてすみません。ここに……えっと、スポーツドリンクを凍らせたのを入れていたのが半分くらい溶けてるはず……」
慌てて直美さんが立ってクーラーボックスを開けると、スポーツドリンクのペットボトル2本を手にして
「これ、千愛ちゃんも飲んでいいですか?500は甘いのが摂りすぎだと思って300なんですけど……」
夫に、そっとお伺いを立てた。
そうなるわよね……夫の千愛への言動を見れば。