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「令和ちゃんと昭和ちゃん、掃除で揉める」
「なんでこんなに汚れるの……」
放課後。
教室には、ほこりと紙くずと謎の消しゴムカスが散らばっていた。
「使ったら汚れるのは当然だよ!」
昭和ちゃんは、すでにホウキを持ってやる気満々だった。
「発生源を断てばいいのに」
「なにそれ怖い」
「じゃあ分担ね!」
「はい」
「私、床やる!」
「じゃあ私、机」
「逆じゃない?」
「机のほうが効率いい」
「効率で選ばないで!」
令和ちゃんは、机を一列ずつ揃え始める。
ガタガタしている脚を直し、ズレをミリ単位で合わせる。
「……なにしてるの?」
「最適化」
「掃除だよ!?」
「環境整備」
「同じようで違う!」
一方。
「ふんっ!ふんっ!」
昭和ちゃんは、ものすごい勢いでホウキを動かしていた。
ほこりが舞う。
「ちょっと」
「なに!?」
「舞ってる」
「勢い大事だから!」
「空中に逃げてる」
「え」
「こう」
令和ちゃんは、ゆっくりホウキを動かす。
「逃げ場を作らない」
「おお……!」
「で、ここに集める」
「すごい!」
「効率」
「またそれ!」
「でもさ!」
昭和ちゃんは、再び勢いをつける。
「ふんっ!」
バサァッ!!
「だから舞ってるって!」
「気合いが足りないから!」
「物理の問題」
「ねえ、これどうする?」
昭和ちゃんが持ち上げたのは、ぐちゃぐちゃのプリントの山。
「全部捨てる」
「だめ!!」
「なんで」
「誰かのかもしれない!」
「期限切れ」
「思い出かも!」
「ゴミ」
「ゴミじゃない!!」
「じゃあ分類する?」
「する!」
「いる・いらない」
「全部いる!」
「終わらないけど」
「終わらせるの!」
「非効率」
「やるの!!」
三分後。
「……これ、いらないかも」
「でしょ」
「これは?」
「いらない」
「これは?」
「いらない」
「ほぼ全部いらない!!」
「最初から言ってる」
「ねえ」
「なに」
「この机の中、やばい」
「どれ」
開ける。
「……化石?」
「パンだね」
「いつの」
「わかんない」
「触らないで」
「触ってない!」
「はい、袋」
「ありがとう」
「即廃棄」
「供養は!?」
「いらない」
「だいぶ綺麗になったね!」
「まあね」
「やっぱ掃除は気持ちいい!」
「整ってるほうがいい」
「でしょ!」
「効率上がるし」
「そこ!?」
「ねえ」
「なに」
「最初、全然合ってなかったね」
「今もそんなに合ってないけど」
「ええ!?」
「でも」
「でも?」
「ちょっとだけ、マシ」
「ほんと!?」
「ホウキの使い方はね」
「そこだけ!?」
「令和ちゃんもさ」
「なに」
「たまには勢いでやってみなよ!」
「失敗するじゃん」
「するね!」
「するんだ」
「でも楽しいよ!」
「……まあ」
最後に、黒板を拭く。
「これ私やる!」
「どうぞ」
昭和ちゃんが一気に拭く。
ムラだらけ。
「……」
「どう!?」
「もう一回」
「ええ!?」
「こう」
令和ちゃんが均一に拭く。
「おお……!」
「はい、完成」
「すごい……職人だ」
「普通」
「じゃあ終わり!」
「うん」
「ねえ、また一緒にやろうね!」
「掃除?」
「掃除!」
「……まあいいけど」
教室を出るとき、
少しだけ振り返る。
さっきより綺麗な教室。
「……悪くない」
「でしょ!」
足並みはまだ揃わない。
でも、前よりは少しだけ、同じ方向を向いていた。
コメント
1件
昭和ちゃんと令和ちゃんの掃除をめぐる衝突、すごく微笑ましかったです!「効率」vs「気合い」って対比がもう、お互いの価値観ががっつり見えて面白い。令和ちゃんの「ミリ単位で合わせる」ってところとか、ホウキの使い方の実演まで入ってきて、ちょっとした職人技みたいで好きです。最後の「ちょっとだけマシ」って言い方、令和ちゃんらしい不器用な歩み寄りで、じんわりきました。2人の距離が少しずつ縮まっていく感じ、また見たいです!