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#怖い話
ごーや
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あれからしばらくして、凄く変な夢(?)を見た。
とても仲の良い友達らしき人物に、大きな建物の玄関で「一緒に帰ろ」と声を掛けられ(その時は誰だか不明)、外靴を履き替えるロッカーがあって(普段は裸足だけど)知らない革靴を渡されて履く。だが紐がない。
友達が数本の紐を手渡し「家に帰るまで、何があっても紐は解いたらダメだよ、絶対に」と言うから靴紐かと思って、とりあえず革靴の穴に通してキツめに縛っておいた。
そのまま手を引かれて外に出たら、前方に見るからに悪霊がいる。本当に存在感がおかしい、古い時代の悪霊がいる。
おしろいを使う時代の着物の奴で明らかに私と友達をガン見してる。
友達が「うわっ」とドン引いた顔でそのまま私と腕組んで帰路を進む。
道がどうも、母校の小学校から本家までの懐かしい通学路だった。
「……あの話、全部書こうとしたでしょ。というか何だかんだで全部忘れてないでしょ」
腕を組みながら友達がじろっと睨んできた。
きっとあの話とは、このパラレル関連の話のことだろうと瞬時にピンときた。
「断片的に印象が強いところは覚えてる」と目を逸らす。
「ここの立地に見覚えは?あと、さっきの建物にも見覚えあるでしょ」
友達が横目で睨みながら質問してくるので、仕方ないから正直に「本家と母校の通学路」と答えると、大きな溜息を吐かれた。
さっきの悪霊の前を通過した辺りから、妙に背中が痛い。突き刺すような冷気が当たってる。
ちらっと振り向くと、さっきのおしろいで真っ白な顔の悪霊が私の背後にベタ付けで憑いてきていた。
友達も存在に気付いてたようで、前を向いたままげんなり顔だった。
「そのまま前向いて歩いて。見えないふりで」と友達が言うので、これ放置でええんかと思いつつ前方を向き直る。背中に当たる冷気だと思っていたそれは手だった。
ずっと背中を触られてるのに反撃しなくて大丈夫なんかこれ、と小声で歩きながら尋ねると、友達は「それは別に気にしなくていい」と短く答えた。
でもこれ明らかに悪霊じゃね?絶対強いよ、冷気の強さ半端ないよ、と訴えたが友達は「大丈夫だってば」と軽くあしらう。ちらっと目線を回せば、悪霊は超笑顔。
これそのまま憑けて帰宅していいの?と聞いたが、それも友達は頷く。その友達が私は誰だか分かってないので、段々と不信感が募った。
ピチッと変な感触がして足元を見たら、束になってた靴紐が1本切れていた。なんだか不吉だ。
友達がそれに気付いたのか「あっ、ちょっとヤバいかも。急がなきゃ」と走り出す。
走り出してから、ありえないスピードで靴紐が切れ始めた。片足ずつだし、両足分の紐は束になっているから全部切れるまでには時間がかかるけど、明らかに何かおかしい。
私の通学路はほぼ一直線だけど、途中で右折する。右折した辺りで片方の靴紐が全滅した。
元からブカブカな靴だったから脱げたけど、友達は「そのままでいい!」と私と腕を組みながら拾う時間もないままに本家まで走る。
ずっと背中に手を当てる悪霊は、笑顔のままベタ付けだ。やっぱ反撃するべきなのでは、と振り向いた時にやっと気付いた。
悪霊の背後に、黒いスーツ姿の小柄な女がフラフラと歩いてこっちに向かってきていることに。
遠くて最初は誰だか分からず目を凝らしたら、背後のベタ付け悪霊が笑顔から一転して激怒の表情になった。冷気が増してかなり痛い。
喋らないけど「前向けや」みたいな空気に、スーツ姿の女から目を離す。
友達に「後方に誰かいるけど、その人は……」と質問しようとした時、もう片方の靴紐も全滅した。
同時に友達が本家のドアを開け、私と腕を組んだまま急いで中に入った。背後のベタ付け悪霊だけは玄関から先には入って来なかった。
「あれ、ここまで来たのにあいつは入らなくていいの?」と聞けば「大丈夫、強いから」と友達が頷いた。
強いから、の意味がイマイチ分からんなと思いながら玄関を改めて見たら、本家のはずの足場が、リアルな方の私の自宅に切り替わっていた。
思わず全体を見渡すが、いつの間にか自宅の玄関になっている。
「あー、間に合って良かった」と友達がホッとした顔で呟いて腕を離す。
不意に玄関の外から何やら騒音がした。何かと思ってリビングに入り、窓から玄関の外を覗いた。
さっきの悪霊と対峙する形で立っていたのは、スーツ姿の女。そこで初めてガラス越しの至近距離で顔が見えた。
どう見ても、私だった。かなり青白い血色のない顔をしているが。
それに気付いた瞬間、何処からか物凄い怨みったらしい舌打ちが響いた。
「邪魔すんなや」
一言、ブチ切れてる声が聞こえた。その声も、私の音声そっくりだった。
その時初めてワイの中で全部が繋がって、友達に「……もしかして……れな?」と聞いたら「え……何、誰か知らないで着いてきてたの?」とげんなりされた。
最初に渡された多数の紐、あの見慣れたげんなり顔、全部うちの中で1番強いお狐様の特徴だった。
「そしたらあの悪霊は」と玄関の外を覗けば、お狐様が滅茶苦茶ブチ切れた声で「アレに対応できる新しい百鬼だよ!」と言った。
「雪ちゃんダメだよっつってんのにあの話続き書くんだもん!バレてっからね!あれ書いたら近付けるんだっつってんのに!ちょっとずつ執筆したら向こうもちょっとずつ寄って来れるんだってば!早く消しなさい!!」
お狐様だと認識した途端、容姿がいつものお狐様(人型)に戻った。
「ところで、雪ちゃん知らない奴に着いてきたことになるけど、私の姿が誰か知人に見えてた?」
急にふと質問されて、「高校の時の自称親友ちゃんに似た人に見えてた」と正直に答えた。
だから腕組む時に距離感が近くて、ちょっと内心引いてた。
自称親友ちゃんとはもう縁を切っているし、向こうも視える人だったけれど、何故か狐関連がどうも嫌いらしくて今じゃ犬猿の仲。
向こうの守護も大層傲慢でこっちに奇襲を仕掛けてくるから、うちの憑依守護が潰しに行ったりしている。
その時に自称親友ちゃん(もはやフレネミー)の視える能力も削ってきたと守護が言ってたから、今どうなのか不明。
てかなんで今更あのフレネミーが?と思ったら、お狐様が何やら考え込んでる。
「いやね、雪ちゃん単体であんな空間に繋がる訳ないんよ。イレギュラーな行動ばっかしてるから偶然繋がったのかなと思ってたけど、絶対誰かの手引きはあるよなーって」と言う。
それがあのフレネミーなのかと思ったら「あの同級生はそこまでできないよ。その守護だね多分。雪ちゃんがあの入ったらダメなところに呼ばれる原因を作ってるの、向こうのクソ守護の方」などと言う。
「多分同級生の方は潜在意識でちょっと雪ちゃん妬んでる程度」
「……でも外守護してるあの2人は奇襲にも失敗して反撃食らって社まで潰されたから大層ご立腹」
急に窓をすり抜けてさっきの見た目悪霊が口を挟んできた。喋れるんかい。
「あの大元の社って大社は島根県の方だよね?」と聞いてきたが、行ったことないので分からん。超有名な大社だけど詳細は知らん。
「あんなん腕吹っ飛ばしたくらいじゃ回復するよ、生温いね〇〇〇〇(私の憑依守護)も。遊んで潰した程度じゃ大元潰せないのに、中途半端にやるからさ」と悪霊新参百鬼が言う。
結構普通に長々と喋るんだなこいつ。「さて、後始末してくるね!」とやたら無邪気に言いながら、窓をすり抜けて出て行ってしまった。
それを見届けたお狐様が「とりあえず戻るよー」と私の背を押して寝室に突っ込んだ。
途端に目覚めて、今に至る。
ーーーここまでが私の視点。
お狐様の視点から見ると、私の認識と相違点があったので一応追記。
どうやら最初に向こうの世界線に入り込むきっかけを作ったのはフレネミーの守護らしいが、こう何度も入り込んでしまうのはフレネミーの守護せいでも、向こうの私が強く呼ぶからでもないそうな。
向こうの世界線からすると、こちらの私の存在がイレギュラーな存在だから、簡単に出入りしていることに気付いたあちらの世界の強い霊体達が引っ張っているらしい。
お狐様達曰く、私が向こうで色んな物に触れて物を動かしているのが非常に良くないんだとか。
そして先程、背後を着いてきた向こうの私に見えていた存在は、お狐様視点だと『向こうで死んだ私』ではなかったらしい。
私の視点だと容姿も声も自分に瓜二つだったのに、あれは「見た者が直感的に恐怖を覚えるものに姿を変えるタイプ」の霊体だったそうな。
あちらで会ったらマズイ存在と言えば、うっかり殺してしまった私のことだという先入観から、私自身に見えたのではないかとお狐様は言う。
じゃあ本質はなんだったのかと訊けば、「あちらの(私が出会わなかった)夫くんの守護。今のうちらの百鬼みたいなもの」なんだとか。
「ただし、こっちの百鬼の何倍も強いよ。雪ちゃんが気付いてたか分からないけど、道中(悪霊百鬼含む)うちらと背後のヤバい奴以外、全く霊体を見かけなかったの。あれ、どういうことだと思う?」
確かに言われてみたら、あの大きな建物には沢山の人がいたけれど、外は無人だった。
異様なほど静かだった。
「……向こうの世界線ってさ、雪ちゃんは夫くんと出会ってないんだよ。
雪ちゃんは未婚のままで、娘ちゃんもいないでしょ?雪ちゃんが選ばなかった未来に進んでいる世界線なの。
ってことは、夫くんも当然今と違う人生を歩んでいるから、元カノと別れて引越し前の実家に住んでいるのね。
でも決定的な違いは、夫くんがセラピストをやっていた時に遭遇した、あの水関連の悪霊を受け入れたことなんだよ。
こっちの夫くんは危険を察して『逃げる』選択肢を選んだ。でも向こうの夫くんは『受け入れる』を選択した。
あの霊体には絶対関わるなって言ったでしょ?私でも勝てるか怪しいくらい強いから。単独でその強さなの。
夫くんは私達お狐を選ばなかった。それよりも単独で強いあっちの水霊を選んだ。
複数を傍に置いても強いことに変わりはないけど、一体だけをずっと側近に置いて周囲の霊体喰ってしまったら、その一体がとんでもない強さになるでしょ?」
……なんとなく言いたいことが分かってきた。
私達の関係性にも『憑依守護>>>>外守護>>>>その他のツリーハウスにいる百鬼(円の外側組は次元が違うので省くが、それを含めると彼らは憑依守護より強い)』という序列がある。
憑依にはかなりのエネルギーを終始使うので、前面に出て日常生活をこなせるくらい安定した霊力を使える奴が一番強いという認識だ。
外守護は憑依しても相性が悪くて前面には出られないという欠点も。
こちらの私達の場合、その他の百鬼が異様に増えてしまったので、単騎で強いのが主に憑依守護と外守護で、その他は束になると色々と面倒って感じ。
「おそらく気配だけ探知した感じだと、向こうの夫くんの百鬼はうちと比べたらかなり少数。
主契約しているのがあの水霊で、あと五体くらいで周囲を固めてる感じかな。少数派だけど、あの五体が偵察係なんだと思う。
で、今回背後から偵察に来ていたのはその五体のうちの一体。姿は好きに変えられる奴ね」
「なんでわざわざ偵察に来てるの?接点ないのに」
「そりゃ、イレギュラーな存在が出入りしているのに気付いたからでしょ。
でも厄介なのは、危害があるかどうかで襲ってくるんじゃないの、向こうの百鬼は。
霊力が強いかどうかも関係ない。霊体なら何でも経験値として吸収したがる野蛮な思考。
だから本当に向こうで出会ったらマズイのって、雪ちゃん自身の霊体じゃない。遅かれ早かれ、向こうの雪ちゃんも喰われる。
本当に問題なのは、向こうの夫くんとその百鬼に遭遇すること。
全く接点がないから普通に敵だと認識してくるし、雪ちゃんが万が一単独で遭遇したら一瞬で消されるよ。
だから絶対絶対絶対、向こうの夫くん達と遭遇したらダメ。
向こうではうちらも霊体って認識だからさ、生身でもないし対話でどうにかなるものではないの」
お狐様はどうやらあの大きな建物で私と合流する前に、向こうの夫と百鬼の偵察を済ませていたらしい。
「向こうに行った時に雪ちゃんが色んな物を触って動かしたことで、あちらの喰われなかった霊体達がその痕跡を見付けてこちらの雪ちゃんを引っ張ってるの」
「向こうで喰われず残った……って、滅茶苦茶強くて逃げ切った奴ってこと?それとも建物に避難してた奴らがヘルプで呼んでるってこと?」
「どちらかというと最初は前者だった。あと、向こうで殺してしまった雪ちゃん自身の霊魂もね。因果関係強いから。
でも、時間と共に夫くん達も動くから、滅茶苦茶強い奴らですらどんどん喰われてく。
世界線は違えど時間の流れは変わりないから。
だから最近呼んでるのは、ヘルプを出している避難した奴らだね。
今回も大きな建物に呼ばれたでしょ?あれ全部、避難した奴ら。
向こうの雪ちゃんの霊魂もギリギリまだ見付かっていなくて運良く悪霊みたいな状態で彷徨ってる状態だから、本当に遅かれ早かれ喰われるよ。
あの道は雪ちゃんの通学路だったんでしょ?ってことは、本家に繋がっているよね。
本家と向こうの雪ちゃんが住んでいた家は同じ地域だし、その地域に既に向こうの百鬼が来ていたってことは、あの後偶然見付かって喰われていてもおかしくはないよ」
そう言われて何となく向こうの私に焦点を合わせて気配を探ってみた。
そこでふと、前までは強く感じ取れていた気配がかなり薄いことに気付く。
残りカスみたいな残骸は探知できるが、なんだかもう悪霊としての存在感がまるでない。
「……れなは向こうに行っても大丈夫なの?」
ちょっと気になっていたことを質問する。
「私は別に、証拠隠滅できるし。でも雪ちゃんはできないでしょ。だから痕跡が残る。その痕跡から辿って引っ張られる。
一応、余計なことしてくれたフレネミーの守護達に報復はしようって百鬼の会議で決まったから私達も百鬼も動いてるけど、あっちで色々触って痕跡残しちゃったのは雪ちゃん自身だからね」
ジロッと睨まれた。
「多分向こうの夫くんの百鬼が雪ちゃんの痕跡に薄々気付いてるから、次から引っ張られた時には私か他のお狐が必ず一緒に行くよ。余計な動きは一切しないでね。
向こうの夫くんに遭遇したら、流石に私達でも単騎じゃ勝てない可能性が高いから。
こちらの雪ちゃんの生身が例え死んだとしても、霊魂さえ残っていたら(生き返りはしないけど)その後はまだ大丈夫、死後の予定も決まってるから寿命より早く死んだとしてもまあなんとかなる。
でもこちらの雪ちゃんと夫くんの霊魂が消滅したら、連動して私達も百鬼も消滅する契約してるからね。だから消滅しちゃいけないよ」
なんて危ない契約しとるんじゃ。
だから私を強い霊体が引っ張った時、百鬼が全力で助太刀にくるのか。
純粋に「こいつは絶対に殺させないぞ!」みたいな思考ではなくて、『引っ張られる=喰われる』だから「こいつが喰われたら俺達も消える!ヤバい!」の方なのか。
一応後でS兄にも「全力で守ってくれる理由って、自分達の保身もある?」と聞いたら、ふっと笑って「もちろん」と大きく頷きやがった。「俺達も消滅は嫌だからな!」と。
まあ行きたくて向こうに行っている訳ではないし、あんまり予防できるものでもないからもうなるようになれ!と思っているけど、向こうの夫とその百鬼には注意しよう。
……でも、あれ?そういえば私、片方の革靴を通学路に落としてきたような……。
コメント
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おおっ…!今回めちゃくちゃ不気味で面白かった…!最初は変な夢かと思ったら、パラレル世界線の話で世界観が深すぎる…。“向こうの夫くん”が水霊を受け入れた未来とか、設定凝っててゾクゾクした。最後の革靴落とした伏線も気になる…!これ次が待ち遠しいわ🔥