テラーノベル
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私の住んでいる街では、男は男、女は女というルールがあった。女の人は服装どころか、性格まで女らしくしないといけない。
はっきり言ってクソだ。男だから女だからとかくだらない。
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「はあ…。 」
月曜日、憂鬱だ。唯一いつもと違うところは今日が入学式が終わって初めての学校だということだ。
朝ごはんを食べ、歯を磨き、制服を着る。このくだらないクソルールのためにスカートを履く。
「本当はズボンが履きたかったのに…。」
このルールが定着しないように私は女の子でもズボンOKの学校に進学したのだ。ただルールは守らなきゃ行けないからズボンは履けない。お金を払い制服を受け取るのも母だから買ったらすぐにバレてしまう。
なれない満員電車を乗り、学校まで真っ直ぐ歩いていく。今日もうすぐに部活を決めるらしく、放課後に部活動体験に行くことになっている。私は演劇部志望だ。短いようで長い学校を終わらせ、演劇部へ行く。
「失礼しまーす。」
扉を開けた瞬間私は目の前の光景に目を疑った。
「いらっしゃ〜い!」
なんと目の前に短髪、ズボンの先輩が居た。困惑していると先輩が話しかけてくれた。
「ようこそ!演劇部へ!僕は穴井さなえって言うんだ!よろしくね!」
女の人なのに僕…?うちの町では絶対ありえないことだな。私の微妙な顔を見て先輩がさらに話す。
「女の人なのに僕って変だよね…💦」
「い、いえ!そんなこと…」
ないなんて言えない。…町のことを貶していた私も結局考えは同じなんだなと思ったらすごく複雑だ。
だが私には演劇部しかないので私は演劇部に入ることにした。
部活の時間になった。発声練習をして軽く台本を読み、その後特にやることもないのでゆっくりしていた。その時…
「届け!この思い!」
声の先に目をやると先輩がペンギンのぬいぐるみでキャッチボールをしている。…何をしているのだろう、うちでは絶対に考えられない事だ。
ただ、先輩の投げたボール(ペンギンのぬいぐるみ)が部長の顔にクリティカルヒットして不覚にも笑ってしまった。
…ちょっと楽しいかもな。
それから数ヶ月。季節は夏になった。先輩は相変わらずだ。私は夏でも同じ制服を着る。夏でも冬服なのでとても暑い。だがちゃんと理由がある。
━━━━━大会前
あと少しで大会がある。大会の前に先輩にどうしても聞きたいことがある。なので今日、先輩を呼び出した。
「どうしたの?急に呼び出して…」
「先輩…。」
緊張してきた。いざ本人を前にすると聞けない。けど聞かなければならない。そうじゃないと一生後悔するかもしれない。
…私は覚悟を決めた。
「先輩…どうして女の人なのに髪の毛が短いんですか?どうして女の人なのにズボンを履いているんですか?どうして一人称が僕なんですか?」
「…それが好きだからかな。」
そう笑う先輩の目は真っ直ぐで綺麗だった。私には無いものを先輩は持っている。だから……好きになるのに時間はかからなかった。
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決めた。大会が終わったら、髪の毛を切る。それもバッサリだ。制服も今まで貯めてきた貯金でズボンを買う。私…いや、俺は自分の好きな格好で生きていく。ルールなんて知ったこっちゃないあんなクソみたいなルール別に守らなくたっていい。俺は俺なんだから。
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「ただいま、母さん」
「おかえり…ってどうしたのその髪型!?」
「俺はもうルールなんて守らない。」
「はぁ!?何言ってるのよ!」
「明日からズボンで行くから。」
「あんた、またそんなわがまま言って…!」
「母さんには分からないかもね。俺が今までどんだけ苦しんできたか、本当はズボンが履きたかったし髪の毛も短くしたかった。料理や裁縫なんて不器用な俺には出来なかった。」
「…!」
「これ以上口出しするなら、俺は家を出ていく。」
「…わかったわ。」
「けどこの町でそんな格好をしてたら目をつけられるからもういっその事引っ越しましょう。その方がいいわ。」
「わかった」
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「髪の毛切ったの?イメチェン?」
「あぁはいそうなんです。」
「いいね!僕そっちの方が君らしくて好きだよ!」
「…!ありがとうございます!」
先輩のおかげで変われた。感謝してもしきれない。告白はだいぶあとになりそうだけど、俺はこの人生を人目なんて気にせずルールになんてとらわれずに好きな格好をする。それが…俺なんだから。
コメント
3件
読み終わりました……「俺は俺なんだから」って締め、すごく力強かったです。主人公がずっと「女らしさ」というルールに押し潰されそうになりながら、先輩の自由な姿に触れて変わっていく流れが丁寧で、特に大会前の問いかけシーンの緊張感が伝わってきました。短い中に「好きになるのに時間はかからなかった」という一文が効いていて、これからの告白編も気になります! 藍さん、素敵な物語をありがとうございます。