テラーノベル
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「ようこそ、黒羽館へ」
二人がたどり着いたのは、山奥にひっそりと建つ大正時代の旅館。
外観は美しく整えられていたが、どこか“現実感”が薄い。時間が止まっているような空気。
案内役の若い男性スタッフは、終始笑顔だった。
が、その手元の名札には──名前が書かれていない。
「お客様の泊まる部屋は“弐の間”です。どうぞ、ごゆっくり」
部屋は、予想以上に綺麗だった。
でも、入ってすぐに二人は気づく。
「……この部屋、冷房入ってないよね? なんでこんなに冷たいの……?」
しかも、部屋の一角には大きな姿見の鏡が置かれていた。
鏡には、二人しかいないはずなのに──三人映っていた。
コメント
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こっっっわ...