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焼き立てのおまんじゅう



色とりどりの美しい和菓子と



白くて真ん丸な大福に、



三色の色が可愛らしい三団子。


そして、店の入り口には、

金平糖が入った瓶が何本も並んでお客様をお出迎えする。



お菓子のほのかに甘い香りと、

温かい店の雰囲気が店の中からふんわりとそよ風が運んで外に伝わる。


「ふふっ、よし!今日も頑張るぞ!!」



店から出てきた国の名は日本。


この老舗和菓子屋を営んでいる。


「…この店は私のお父さん、おじいちゃん、ひいおじいちゃん、ひいひいおじいちゃん…達が続けてくれた大切な和菓子とお店なんです。 ..だから私はどんなに売り上げが赤字でもちゃんと後世に伝えていくつもりですよ??」






「取り敢えず本日も老舗和菓子開店です!」







日本はそう言うと店の中に戻って椅子に座って頬杖をつき、店の入口をぼぅーっと眺める。


「……と言っても朝はあんまりお客様来ないからなぁー…」



お客様の出入りが多いのは大体お昼辺りから夕方なのだ。


なので開店している朝方はあまりお客様が来ないのでいつも日本は暇そうに頬杖をつく。



だが早朝はとても忙しい。


朝起きたら直ぐに一人で和菓子の仕込みに取り掛からないといけないからだ。



「出来たてが一番美味しいのに勿体ないなぁ…」


そう独り言をブツブツと言っていると、



「ナイチーーー!!!!」



と元気な声で日本を呼ぶ子どもの声が店の中に響き渡る。


「!!!」


日本はその声を聞くと直ぐに立ち上がり、

お店の外に出る。


「パラオいらっしゃい!」


「ナイチ!!!おはよぉ!!!」


パラオが日本に抱きつく。


…パラオは頑張ってプルプルしながら背伸びをして抱きついているので 日本はしゃがんでパラオの頭を愛おしそうに撫でる。



「日本ッッ…!!!ハァ…ハァ…」



「あら台湾も!」


「台湾おそーい!!」


「パラオが速いんだよ…もう…」


息切れをしている男の子が台湾。


(…いつ見ても可愛らしい顔してるなぁ…

男の子なのに…)


と毎日思ってしまうのも日常茶番だ。


ふふっ…と小さく笑うと、パラオと台湾が少し顔を見合わせてから二人も微笑んだ。


「ナイチ……笑ってる!あはは!」


「あぁごめんなさい、」


「ふふふ日本は笑ってる姿が小鳥みたいて可愛いね!(ニコッ」


「そーだね!!」



……ん?



「そういえばお二人共今日はどうしたんですか?」


…と日本が二人に聞くと、台湾は忘れていた事を思い出したのか、あ!!!っと叫んだ。


「そうだそうだ、今日はお菓子を買いに来たんだよねぇ!何かオススメある?」


台湾が目をキラキラと輝かせながら日本に質問すると、


「そうだった!!パラオお砂糖いっぱいのあま~いお菓子が食べたかったからナイチのとこに来たの!!!」


パラオは両腕をわぁーっと広げて満面の笑みで此処に来た経緯を伝えてくれた。


お砂糖いっぱい…ですか、と日本は目を閉じて頬に手を当てて考えていると、あ、と何か思いついた途端台湾とパラオに此処じゃなんですからお入り下さいと手招きをした。





「わぁあ、..!!!」


「やっぱり此処は相変わらず子供心をくすぐるねぇ…」


パラオと台湾が楽しそうにお菓子を眺めていると、日本は二人の会話を面白そうに聞きながら干菓子を取り出し、二人に持っていく。




「お待たせしました、お砂糖がたっぷりと入っているお菓子ならこの和三盆とかどうでしょうか?」


二人はドキドキしながら日本が持っているお盆の方に目を向けると、


パステルカラーの色彩に、牡丹の形をした干菓子が二つ、お盆に並べられていた。


「わぁ……可愛い!!!!✨✨」


「流石日本の和菓子…✨」


二人がキャッキャと嬉しそうに和三盆を眺めているのを見て日本は笑みが溢れる。


「じゃあこの和菓子?とあ、和三盆…?を頂こうかな!」


「はい!ありがとうございます!」


「わくわく!!!」






「お買い上げありがとうございます!」


「こちらこそありがとう!」


「パラオよかったね!」


「うん!!!」


お会計を済ますと二人がほんっっとうに嬉しそうで早く食べたそうに和三盆が入っている箱を眺めている。



日本が和菓子屋を営んでいる理由は、

色々あるが、その中の一つとしての理由は、

お客様が早く食べたそうにしている顔や、とっても嬉しそうに喜んでいる顔、目を輝かせている顔を見たい、ほのかな幸せをお裾分けしたいかららしいが、この理由は他の国には知らせずにずっと本人だけの秘密にしてきたらしい。



「…今日のノルマはもう達成しちゃいましたね。」


日本の口元が自然に綻ぶ。



「二人共、ちょっと手を出して頂いても宜しいですか?」


「え?うん」


「ん!!こう?」


じゃあまずはパラオからねと日本は優しく笑うとパラオの手を優しく握ってパラオの手の平に綺麗なハンカチで包んだ物を渡し

日本が手を離すと、

ハンカチの中には黄金色に輝く飴玉がコロコロと光っていた。


「わぁあぁあ!!!きれい〜!!!日本ありがとう!!!」


パラオは嬉しくなって日本に抱きつくと、日本は可愛いぃ、と癒されたのだった。


「………待って僕は?」


「あ、ごめんなさい!!!」


台湾の事を忘れかけてしまっていたと日本は急いでパラオから離れようとするとパラオはずっと日本を強く抱きしめたまま離れようとしなかった。


「パ………パラオ……?」


「ちょっとパラオ!日本が困ってるでしょ!」


「………」


「「…………」」


台湾と日本は顔を見合わせて困ったなぁと腕を組んだ。


「……それなら日本がパラオを抱っこすれば良いんじゃない?」


「…その手がありましたか!!」


そう言うと日本はパラオを抱きしめたまま軽々と持ち上げた。


「わぁっ!!!!?」


「……凄…凄い力持ちだね…日本…!!

すっごい!!!いやホントに!!!!凄い!!!」


「……ムッ…褒めてるんですかそれ」


「褒めてるよ〜!笑」


あははと笑う台湾の事をじーっと見つめながら日本は 台湾の手を優しく握り、被せる。


「!?!?!?どッ…どうしたの!?!?」


「……ごめんなさい台湾…おまけが…」


「…え?」


「おまけの飴ちゃんがなくなっちゃったんです……」


「え、あー!!

僕は全然大丈夫だよ気にしないで💦」


「………すみません…」


「………だから…

おまけと言っちゃあなんですが……」


ふと台湾の手の平に日本の手じゃない何かが置かれた感触を感じたと思ったら、日本はそっと手を離す。


台湾の手のひらの上には、一匹の 折り紙の鶴が置かれていた。


「……鶴……だ……。」


その鶴は綺麗に折られていて、

とても美しかった。


「………どう……ですか……?」


日本は眉を顰めながら首を傾げる。


「……ありがとう。大切にするね」


台湾は本当に嬉しそうに頬を赤らめながらニコッと微笑むと、日本とパラオも自然に微笑んだ。





「じゃあ日本、

今日は本当にありがとうね!」


「明日も来るね!!!」


「はい、こちらこそありがとうございました!」


二人は日本に感謝を伝えて、じゃあまたね!と笑顔で手を振りながら帰っていった。







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