あれから黒川くんは屋上に来るようになった。
そこでは何気ない世間話や、黒川くんの話。
それから帰路について、別れる。
これの繰り返しだった。
けど今日は違った。
「そろそろ寒くなってきたな」
「…そうだね。」
「…今日のお前変。」
「え?」
「なんかあった?」
そんなに分かりやすかったのかな…。
「…何もないよ。
ただホントに、寒くなってきたなぁって思っただけ」
「…ふぅん」
信じてなさそうな、納得いってないような返事。
「そういえば、日記 いつになったら見せてくれんの?」
「そんなにみたいの?」
私は笑いながら言う。
「気になるし。」
「…見る?」
「見る」
即答笑
私は︎︎"︎︎︎︎もう見せてもいいや"︎︎って思った。
どうせもう、無くなるし。
イザナside.
見せてくれなかった日記を見せてくれるようになった。
何書いてんだろ。
そう思いながら、1ページ目を捲る。
4月20日。(水)
学校が始まってはや1週間。周りはそれぞれグループが出来てきたり、
笑い合ったりと穏やかな空気が流れている。
その中で私がいるのは小中高と同じで私の親友の︎︎"︎︎︎︎未羽"︎︎と
今年同じクラスになって仲良くしてくれる"︎︎︎︎花乃"︎︎と一緒にいた。
学校が始まってまだ1週間にも関わらず、私は早くクラス替えがしたいと思っている。
私の嫌いな"︎︎︎︎紗南"︎︎︎︎ ︎︎も一緒だから。
4月27日。(水)
最近はストレスがすごく溜まる。
家にいても暇だし、学校にいたら紗南がずっといる。
紗南はすぐくっ付いてくるからめっちゃ嫌だ。花乃や未波はくっ付いてくることもなく、
未波に関しては私がベタベタされるのが嫌いと知っているから親友で、
ある程度距離をとってくれる、私にとって大切な子。
紗南が嫌でも私は笑う。どれだけ嫌でも口にしない。私の中での決まり事。
相手を傷つけない。
5月9日。(月)
また1週間が始まった。
また紗南がくっ付いてくるのを我慢しないといけない。
早く人生終わらないかなー。
まだまだやってない事あるけどもういいや。
早く死にたい。
日記にはたくさんの愚痴や、時々出てくる“死にたい”と言う言葉で溢れてる。
コイツにはこんな感情、ないんだと思ってた。
6月2日。(木)
今日は私の誕生日。万次郎くんたちと遊んで、ケーキを食べて、楽しい1日だったかな。
今日で私は18歳。
頑張れ私。
もうすぐだよ"︎︎︎︎月"︎︎。
そしてたまに出てくる『月』。
月の一人称は“私”のはず。
ページを捲る手を止め、月を見る。
「ごめんね。イメージの私壊しちゃった?」
少し笑った感じでそう言う月。
「…いや、寧ろ安心したわ。」
「なんでよ」
また笑う。
「…なぁ、なんでたまに“月呼び”になってんの?」
聞いてみた。
返答は
「あぁ、それは…“月”に言ってるから。」
「…は…?」
意味がわからない。
そう思ってると、
「…私、“月じゃない”んだぁ…。」
は……?
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コメント
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遅れだあ! 1000~2100 月ちゃんが月ちゃんじゃないってじゃあ、誰だよ((( まぁ、でもどの月ちゃんでも僕は愛すよ! 続きみてくる!
月ちゃんじゃない?