Lime 様より、イギリス洗脳
※R-18、微シリアス、アメイギ
昔っから親父のことは嫌いだった。
すぐ殴るし、気難しいし、偉そうだし、そのくせに料理は下手だし、人の限度を知らないし、自分から俺たちのことを養子にしたというのに、虐待されてばかりの日々。
子供が嫌いなのか好きなのかもわからない。
きっとバカな子供は嫌いなんだろう。
だからカナダは可愛がられてた。
きっと、それだけ。
アメリカは自身のスマホ片手に、入れた覚えのない不思議なアプリを眺めていた。
『brainwashing app』と書いてあるのだが、検索してもエロ本しか出てこないような妙なもの。
ジョーク系かと思って、イタズラしそうな相手に片っ端から連絡したが、それらしい反応もなかった。
てっきりオーストラリアやニュージーランド、または最近会ったばかりのにゃぽんか、いつもつっかかってくるロシアのせいだとばかり思っていたのに。
「Hmm〜…一回試してみるか」
軽い気持ちでアプリを開き、ぐるぐる模様が画面全体に広がる。
『Show this screen to your partner and give them commands』
「画面を相手に見せて、命令を下す…それだけで本当に効くのか?」
くるくると回る白黒画面にくらっとした。
確かに、不思議と頭がぼーっとなる。
「…まあいいや、これなんか気持ち悪いし。嫌がらせくらいにはなるだろ」
手始めにカナダをと思い、アメリカはだらだらと寝転んでいたベッドから床へ足をつけた。
「カナダー!」
ドタドタと階段を降りる音と共に、やかましい兄の声が響く。
「どうしたの、兄さん。まだご飯の時間じゃないよ」
「俺を要介護者みたいに言うな!認知症は親父だけで十分だっての!」
「父さんも認知症じゃないけどね…それで、何か用?」
丁寧に手入れしていた斧を置き、ぽちぽちスマホを操作しているアメリカに近寄った。
「俺に跪け」
それ、と見せられたスマホ画面と目が合う。
ぐるぐるぐるぐる…視界が回り、ぼーっとしてきた。
「カナダ、ご主人様は俺だ。跪け」
「…はい…」
いつもなら鼻で笑うはずのカナダが、大人しくアメリカの前で跪く。
目は虚で生気がなく、心ここに在らずといった風だ。
「…ふーん。面白え、本当に効くんだな、これ」
跪くカナダの頭を軽くこづいたり、ぺちぺちと頰に触れる。
カナダは一切の抵抗もなく受け入れ、跪き続けた。
なるほど、簡単な刺激で効果が切れるなんてこともないみたいだ。
「おいカナダ、もういいぞ。洗脳もおしまいだ」
スマホの画面を閉じ、カナダを声をかける。
「…っは。え、あれ…?に、兄さん、今何したの?」
マリオネットの糸が切れたように意識を戻したカナダは、立ち上がって困惑した顔を見せていた。
不安気に揺れる瞳は兄を見つめており、些か可哀想なことをしたろうか、と少しばかりの罪悪感を抱く。
「洗脳アプリってやつ試した。まさか効くとは思わなかったけど!」
「ひ、ひどいよ兄さん…でも、すごいねそれ。どこで見つけたの?」
「なんか知らないうちにダウンロードされてた」
アメリカの返事は素っ気なく、カナダは何が何だかといった様子で小首を傾げた。
「…よくわからないけど、あんまり悪用しちゃダメだよ?」
「…まさか!世界のヒーローがそんなことするわけないだろ?」
「今の間は何?本当にやめてね?身内から犯罪者なんてごめんだよ?」
「犯罪すること前提かよ!ひっでぇなぁ。安心しろって、ちゃぁんとした使い方するから」
猜疑の目を向けるカナダの帽子を被った頭をわしゃわしゃ撫でて、アメリカは意気揚々と家を出る。
「大丈夫かなぁ…」
本当に無邪気な子供のような顔をしていた。
昔から少し異常性があったアメリカだが、カナダや兄弟たちはそれでも兄だと慕っている。
けれど、歪んだ価値観と行動理念には共感したことはなかった。
これでようやく、親父にあいしてもらえる!
愛を貰えなかった子供は、歪む。
赤子であれば死に至り、子供であれば感情を押しつぶすほどに。
そしてなにより、愛に歪んだ大人は。
元気良く家から飛び出して走り出したアメリカ。
晴れ渡る空の下で、うるさい車のエンジン音すら気にならないほどにわくわくしている。
観光客っぽい美人な女性に声をかけることもなく、チャラそうな男性たちが蔓延るクラブにも寄らず、一目散に駆けて行く。
目指すはヨーロッパの実家。
空港に駆け込み、1番早く出る便のチケットを買って、ろくな荷物も持たずに飛行機に乗り込んだ。
案外、着いたのはすぐだった。
わくわくしていたからか、それとも寝ていたからか。
飛行機から降りてまた外を駆け抜け…る前に、降り続く雨のために傘を買った。
たまたま手に取っただけの青い傘を差し、ばちゃばちゃと音を立てて全力疾走。
ジーンズの裾もブーツも濡れているが、もはや不快感すらもなかった。
「相変わらずでっけぇ屋敷。こんなに広くったって意味ねえだろ。住んでるのは数人だけのくせに」
悪態をつきながらチャイムを鳴らし、鼻歌を歌いながら門が開くのを待つ。
まるで漫画に出てくるような豪華な屋敷だが、アメリカの言う通り、住んでいるのはたった数人。
今は10人にも満たないけれど、元はアメリカ含むたくさんの子供たちがいた。
その頃は大変賑やかであったが、子供にしては大人しすぎたアメリカは、 周りの騒ぐ子供がバカに見えていたような覚えもある。
「お久しぶりですね、アメリカ坊ちゃん」
「おー、ここ開けてくんね」
「かしこまりました」
過去の思い出し懐かしんでいたいたところ、気がつけば門の向こう側には傘を差した北アイルランドが佇んでいた。
こくりと頷いて門に鍵を差し込み、そのままギギギ…という音を立てながら開いていく門は、実家のものとは言え中々壮大な雰囲気だ。
「お帰りなさいませ」
「たでーま。親父どこ?」
門を閉めている北アイルランドに問うと、予想通り執務室にいると返答された。
目的はイギリスただ1人なので、その答えを聞くや否や屋敷へとズカズカ入る。
北アイルランドは特に何も言わず、門の鍵を閉めていた。
「親父ぃー!」
紅茶を淹れに行った北アイルランドと別れ、アメリカはそのままの勢いでイギリスの執務室へ突撃。
バーン!と開けられた音に驚いたのか、目を丸くするイギリスがデスクの向こうに見える。
「…はぁ、バカ息子でしたか。連絡もノックもなしに何のご用ですか?暇つぶしならとっとと帰ってくださいます?」
久々の再会だというのに、不機嫌そうに眉を顰めるイギリスは鋭い言葉を投げかけてきた。
アメリカは泣き真似をしながらイギリスの元へ近づくと、スマホを取り出しアプリを開く。
「はあ?何ですかそれ…」
「俺の言うことを聞け」
訝しげにイギリスが画面を覗いたところで、アメリカは低い声でそう呟いた。
スゥ…とイギリスの青い瞳から光が消え、苛立った顔も無表情に変わる。
「立て」
「…」
文句一つ言わずに起立し、イギリスに完璧な催眠がかかった。
「Good boy…ついて来い」
普段なら命令口調に対してキレるであろうイギリスは、素直にアメリカの後をついて行く。
気分は爽快、なんと晴々しい気持ちだ。
イギリスを連れて歩く廊下は実に気分が良かった。
「おい親父、もし誰かに会っても誤魔化せよ。お前は自分の意思で俺について来て、そして俺の家にしばらく泊まるんだ。いいな?」
「畏まりました、アメリカ様」
棒読みと言うのだろうか、声に感情が籠っていない無機質な声だ。
「うんうん、いい子だ。素直な親父ってのもたまにはありだな」
連れ帰ったら何をしようか、それはもう決めている。
散々嬲られてきたのだから仕返しをしよう。
その後なら可愛がってやってもいい。
「おい、どこに行くんだ」
「あ?」
背後から声をかけられて、アメリカはぴたりと足を止める。
ほぼ同時にイギリスも足を止め、アメリカは振り返った。
「なんだスコットランドかよ」
「まさかお前が帰ってくるとはな。で、質問に答えろ。こんな雨の中でどこに行くってんだ 」
ウイスキー片手に、スコットランドは鋭い声で繰り返す。
この屋敷に閉じ込められているうちの一人であり、その中で最も独立を望んでいるスコットランドとは相性が悪く、そこまで仲良くしようと思ったことはない。
インドアなイギリスが外へ出ること自体珍しいのに、わざわざドラ息子と出かけるらしいのだ。
怪しく見えるのは当然だろう。
「雨なのはいつもだろ〜?俺は親父とデートしに行くんだよ」
「気色悪い言い方しやがって、ファザコンなのはカナダだけかと思ってたぜ」
「HAHAHA!カナダと一緒にされるとは心外だな?まあいいや、俺こいつのこと連れて帰るから」
「はぁ?なんだってまたそんなことを」
「なんだっていいだろ?親父だって賛成してるし。な?」
「はい」
「ほら!」
「……ふん」
スコットランドはまだ疑っているようだが、ひとまず納得してもらえたらしい。
ふんとそっぽを向いて、自室に戻っていった。
「あー、めんどくせぇ奴。無愛想だし威圧的だし苦手なんだよな〜。まあいいや…イギリス、行くぞ」
「畏まりました」
自宅に帰ったアメリカは、乱暴に自宅の鍵を閉め、未だに洗脳状態のイギリスを地下へ引きずる。
大人しく命令を聞くため、本来なら無理矢理引き摺って連れて行く必要はないのだが、アメリカはイギリスに優位を示したいという動物のような欲求があった。
「そこのベッドに座れ」
「はい」
高価な蜜蝋燭で照らされた薄暗い地下室。
その雰囲気は現代のそれとはかけ離れており、光源の蝋燭、ベッドの細工に、アンティークな調度品の数々は中世ヨーロッパの絵画そのままだ。
所々に子供部屋のような幼さの見える物品といい、ここはアメリカのかつての自室に限りなく近かった。
「これつけろ。つけたら服を脱げ」
ぽいとイギリスに投げ渡したのは首輪である。
深い青の落ち着いた色で、「AMERICA」と書かれたタグがついているものだ。
イギリスは言葉一つ発さないまま、自身の細い首にそれを取り付けた。
そして命令通りに服を脱ぎ始め、徐々に素肌を晒していく。
普段から偉ぶって高圧的な態度ばかり取るイギリスだが、その体はなんとも貧相だ。
細くしなやかで、どこもかしこも肉がない。
モデル体型というのか、胸もないからただただ貧相なのか。
兎にも角にもイギリスは命令を遂行し、恥ずかしそうな素振りもなく、全裸でただアメリカの言葉を待っている。
「こっちに来い」
中世風のアンティーク調になっている部屋で、一際異彩を放つ金属の扉の方へと招かれた。
アメリカは全裸に首輪だけというなんとも変態チックな格好のイギリスに舌舐めずりをして、部屋の中に引き寄せる。
扉一枚で打って変わって、拷問部屋のような狭く暗い場所だった。
イギリスはアメリカになされるがまま、鎖のついた手錠を取り付けられている。
そして背中を向けさせて、アメリカは大きく鞭を振り上げた。
バチンッッ!!!
大きな音が鳴り、イギリスの背には傷がつく。
洗脳は解けいない、悲鳴一つすらあげなかった。
「昔よくやってくれたよなぁ、イギリス。あれ痛かったんだぜ?仲良くなるためにも、まずは罪を清算しようじゃないか♡」
「はい」
パックリと切れた大きな傷口から、だらだらと血が流れ始める。
アメリカは気にする様子もなく、また鞭を振るう。
バシィンッッ!!!!
深い鞭傷から溢れる血が、イギリスの柔い肌を伝っていった。
ぽたりぽたりと、コンクリートを赤い花が染め上げる。
「良い音鳴るなぁ!まだまだこんなもんじゃないからな、頑張れよ!」
重傷を負っても眉一つ動かさないイギリスに向かって、アメリカは平然と言い切った。
いくらそんな調子だとしても痛いのか、子犬のように身を震わせている。
拷問とも言うべきそれは、三日三晩続いた。
「………」
ボロ雑巾のようになっても鞭で打たれ、イギリスは洗脳にかかったまま動けず、ただただ静かだ。
何度も何度も打たれて、肉が削げてしまった部分もある。
動くたびに血が吹き出してくるほどの大怪我だ。
国であるから、きっとすぐに回復するかもしれないが。
それでも、体に刻み込まれた痛みは本物である。
ひりつく傷口、身を凍らせる風、アメリカの冷たい視線、それに反する熱い声。
キーンと耳鳴りが走り抜け、体の自由はなくとも、あまりの激痛で意識を飛ばしかけていた。
触るとビクッと体を震わせ、貧血で青くなった顔を向けてくる。
アメリカは満足気に頷き、ようやくイギリスを休ませたのだった。
「…は、あ゛ッ!?!?」
次に目が覚めた時、イギリスはまず背中に走る激痛に気がつき、悲鳴を一つ。
「い゛、ぎッぅ…はッ、は…ッ」
洗脳が解けたようだ。
「いた、ぃッ…!」
鼓動が早くなり、整った顔には冷や汗が滲む。
よく見れば、自身が寝かされていたベッドは赤い。
包帯から染みているようで、まともな処置もされていなかった。
「ぐ、ぅぅ…ッッ」
なんとか寝返りを打ち、背を上に向ける。
被らされていた布団やシャツが擦れ、また少し痛んだ。
ベッドに染み込んだ血から発せられる鉄の臭いが鼻腔を突き抜け、吐き気と痛みを我慢するように唇を噛み締めた。
何も覚えていない。
ここはどこなのか、なぜこんな怪我をしているのか、誰がやったのか、なぜ記憶が曖昧なのか、どうしてこんなことをされたのか。
イギリスが覚えているのは、直前にアメリカが押し入って来たことだけ。
ではアメリカが犯人か?と言われれば、それはまあ否めない。
しかしながら、ここまでする理由が見当たらなかった。
いくら息子だとしても、アメリカとは何年もプライベートな言葉を交わさなかったし、顔を合わせたのは国の代表として出席した会議でのみ。
恨みを買う要因なんて、見当もつかない。
昔から虫や小動物を実験的に殺す残虐性はあった。
けれども、彼はもう大人だ。
欲望の赴くまま、興味本位に誰かに暴力を振るうようなことはしなくなっているはず。
それに、自分はどうしようもない孤児だったアメリカを拾い育てた父親だ。
感謝しこそすれ、危害を加えるなんてどうしてできようか。
「くっ…ただでは済ましませんよ…っ!」
犯人に強い怒りを抱いていたところ、何やらガチャリと扉を開く音が聞こえた。
「Goodmoning 親父〜!!生きてっか〜!」
どうやら、アメリカという推察で合っていたようだ。
「はぁ…ッ…はぁ…ッ…」
イギリスはこんな弱った姿を見せてたまるかと言わんばかりに、強がって背後から迫り来るアメリカを睨む。
まるで子猫の威嚇のようだ。
「うんうん、元気そうでなにより!鞭に打たれた気分はどうだ?痛いよなあ?そんなに顔歪めてさ!」
「やはり貴方ですか…ッ!ふーッ…絶対に、許しませんからね…!」
「俺も許してないから、それは別にいいよ。催眠解けるの待ってたんだよね!」
鋭い眼光に射抜かれ、イギリスは身を凍らせる。
ただでさえ動けないこの体を、目の前のこいつはどうする気なのか。
鞭打ちだけでは飽き足らず、どれだけ苦しめさせたら気が済むのだろう?
貧血か恐怖か、顔色の悪いイギリスの頬を撫で、アメリカは舌なめずりをしながらゆっくりと押し倒してきた。
「や、やめなさいっ!わ、私を誰だとっ…」
「俺のパパでしょ?」
「わ、わかっているのであれば、はぁッ、尚のことです!やめなさいっ!やめなさいってばっ!」
「やーだね。あのアプリは1日しか保たないのかぁ…じゃあ教え込まないとだな」
「何言ってるんですか…?早く離しなさい…ッ離してぇ…ッ」
かろうじて着せられていた服を破られて身を剥かれ、包帯だらけの体を心底愛おしそうに、見定めるようにじっくり見られる。
ねっとりした視線が気持ち悪くて仕方なく、けれど抵抗しようにも力では敵わない。
イギリスにできるのは、せいぜい顔を隠して羞恥に耐えることだけであった。
「大丈夫大丈夫。そんなに怯えなくたって、俺はただ親子愛を深めようとしてるだけさ」
「こんなの…こんなの、おかしいですッ…」
すべすべでもっちりとしたイギリスの柔らかな肌を、アメリカはなぞるように触る。
その度にビクッと体を震わせ、痛みに呻く。
「兄様とだけって…決めてたのにッ…」
「…は?」
心底楽しそうにイギリスをいじめていたアメリカの動きが、ぴたりと止まった。
「…?」
「おい」
「な、なんですかっ…?」
閉じていた目を恐る恐る開き、少し上擦った声でアメリカを見やる。
バチンッッ!!
途端、アメリカはイギリスをビンタした。
「…へッ…?」
頰がヒリヒリする。
「なぁ、俺がハジメテじゃないの?」
「へ、えぅ…」
ベッドに押し倒されたまま、ぐっと顔を近づけられて問い詰められた。
既に恐怖しきっていたイギリスは、ただ目に涙を溜めて、耐えることしかできない。
「はぁ…まさかイングランドのやつに先越されてたとか…腹立つ」
バチッ!
「いたいッ!」
涙目になって訴えかけたが、怒った様子のアメリカに止まる様子もなく、そのうち低い声で文句を言い始めた。
「はぁ〜本当うざいなあいつ。親父は俺だけのものなのに、自分が所有者ですって顔しちゃってさぁ」
「わ、私は、物じゃ…」
「物だろ。口答えするな」
「ひッ…」
いつになく低いアメリカの声は怒気を孕んでおり、何か準備をしながらイギリスを威圧する。
「で、イングランドとはナニやってたんだよ」
どうやらカメラを取り出していたらしい。
動画を撮るつもりなのか、セットされたカメラはイギリスの目の前に突き出されている。
「い、言いたくな…」
「言わないとお仕置きだからな」
「お仕置きッ…や、いやですッ!言いますッ!ごめんなさいッ!」
お仕置きといえば、イギリスが過去アメリカを含む自身の子らにしていた鞭打ちのことだ。
昔はする側だったはずなのに、一度その身に受け、すっかりされる側として恐怖に震えていた。
「に、兄様と、してたこと…」
「そうだよ。処女奪われたのはいつ?」
録画を始めたカメラに顔を映されながら、イギリスは顔を赤くしたり青くしたりしながら答える。
「わ、私が、10歳の、とき…」
「うわキッショ…あいつペドかよ。じゃあ次、他に親父とシてたやつは?」
「い、いません…わ、私のことを、犯す…のは、兄様だけでした……約束したのに…」
思わず漏れてしまった小さな声もアメリカは聞き漏らさず、恥辱を与えるような質問を重ねた。
「ふーん…約束って?」
「…兄様は私を愛しているから、行為の相手も自分だけにしろ 、と言われて…」
「なんでそんな約束したの?」
「……愛されたかったから…約束をちゃんと守っていたら、その分愛してくれたんです…例え私の体目当てでも、兄様はきちんと愛してくれるって、言ったから…」
「愛されたい、ね…体売ってまで愛されたいんだ?俺たちを愛することはしなかったのに」
「わ、私はちゃんと愛していましたっ!あなたたちのことを、いつも愛していました…本当です…」
「じゃあなんで褒めてくれなかったの?なんで撫でてくれなかったの?慰めてくれなかったの?笑わせてくれなかったの?お仕置きばっかりしたの?酷いこと言ったの?酷いことしたの?」
「かは…ッ」
片手で首輪ごとギュッとその細い首を絞められ、イギリスは必死にもがいて抵抗する。
大怪我を負った丸腰の状態で、アメリカに勝てるはずもないのだが。
「親父っていっつもそうだ。自分はああ思ってた、こう思ってた、悪気はなかった、だから許して、別にいいでしょ、って」
「…が…は…ッ」
ベッドサイドにカメラを置いて、アメリカは両手でイギリスの首を握る。
「だったら警察なんかいらねえんだよ!」
「ぁ゛ッ」
ぎゅぅぅ…と力いっぱい首を絞められ、イギリスは抵抗の余地もなく痙攣して苦しそうに呻くばかり。
「なぁ親父…俺はただ親父に愛して欲しいだけなんだよ、わかる?」
顔を青くして意識が朦朧としているイギリスの首から手を離し、改めて問いかけた。
「けほッ…は…ッ…はぁ…ッ…ゎ、わらし、ひ、ひとの、愛し方なんかッ…教わってない…ッ!無茶いわないでッ!」
目を丸くして驚くアメリカへ、イギリスは更に言葉を綴る。
「私なりに、頑張ったのに!ちゃんと、愛しました…兄様にされたことくらいしか、方法がわからなかったけど…ッ愛し方なんか知らない!知らないことを求められても…こ、困りますッ!」
そうきっぱり言い切り、イギリスはとうとう泣き出した。
声をあげているわけではなかったが、押さえつけて泣いている痛々しい姿で、監禁したり急にキレたりと情緒不安定なアメリカとて、流石にどうしようかと唸っている。
「…じゃあ、俺が親父に教えてやるよ。その代わり、俺のこといっぱい愛して?」
「…で、でも、兄様が…」
「あいつは親父の体しか見てないよ、俺はちゃんと全部丸ごと愛してあげるから」
アメリカははだけたままのイギリスをぎゅっと抱きしめ、耳元で囁く。
「ね?俺のこと愛して?」
いつかの“僕”がして欲しかったように。
スマホの光を見つめ、イギリスはこくんと頷いた。
「ただいま、親父♡」
「アメリカ!おかえりなさい、待ってましたよ」
「ごめんごめん、ちょっと仕事が長引いちゃった」
「もう、無理しちゃダメって言ってるでしょう?ふふ、いい子のアメリカはパパが甘やかしてあげます、こっちにおいで? 」
いつかの部屋を再現した中にある、大きなベッド。
その上で微笑み、手招きをするイギリスは天女のよう。
愛し方なんて知らない、虐待することしかできなかった彼が、今となっては立派に親になっている。
例えアメリカに養われながらでも、2人は幸せに暮らしていた。
「どうぞ♡」
自ら服のボタンを外し、包帯の巻かれた生身を晒す。
初日に鞭打ちされた傷はまだ癒えていないが、アメリカとお揃いの傷跡は少し特別感があった。
「じゃあ、いただきまーす♡」
小柄なイギリスに覆い被さるようにして、アメリカはちゅっちゅっとイギリスの乳首を吸う。
母乳なんて出るはずもないけれど。
間違った親子愛を、彼らは本物だと勘違いしたまま楽しんでいた。
「んッ…あッ♡」
「ちゅッ♡ぢゅ〜ッ♡」
夢中になって自身の乳首を吸っているアメリカの頭を撫で、イギリスは恍惚と頬を赤らめる。
「ちゅッ♡ん、あむッ♡」
「ひゃあッ♡か、噛んではいけませんよ、アメリカ!」
ダメとは言うものの、その表情はえらく気持ちよさそうだ。
感じているイギリスがあまりに可愛いものだから、アメリカは舌の上で小さなそれを舐めたり吸ったりと遊ぶ。
ビクビクと純粋で愛らしい反応を楽しみつつ、舐めしゃぶるのをやめた。
「ぁ…」
名残惜しそうにするイギリスの素肌をすりすりと撫でて、アメリカは胡座の上に乗せてやる。
噛み跡だらけの肩を抱き、ここ数週間で使い込まれた後孔をゆっくり解し始めた。
「んッ♡ふーッ…♡」
「声我慢しないで」
「はぃ…♡んッ、あぁッ♡」
指を動かすたびにくちゅくちゅ♡と淫らな音が鳴り、くぱぁ…♡と開いてやると、ナカからローションが溢れてくる。
全身が熱い。
溶けてしまいそうなくらいに。
垂れてきたローションがシーツにシミを作り、下半身の熱に身を悶えさせ、完全に出来上がっていた。
「気持ちいい?」
「きもちぃ、ですッ♡も、もっと♡」
「素直だね、かわいい♡」
「あぁんッ♡まだ、だめですか?♡」
「まだ♡早く欲しいなら、コッチよしよししてよ」
アメリカが指したのは、足の上に乗せたイギリスとの間に聳え立つ陰茎。
一般のそれより余程大きく、先ほどからイギリスの腹をつついている。
「お、おっきいですね…♡んッ♡♡」
アメリカの肩にちょこんと頭を乗せ、赤黒く腫れ上がったそれを小さな手でおずおずと触れた。
「よし、よし…♡あッ♡」
すべすべの手でアメリカの大きなそれを上下に擦り、後ろを愛撫されながら愛し合う。
これが自分の中に、と考えるたび、イギリスは下腹部がきゅんきゅん疼いた。
「親父、こっち向いて」
「はい♡…んむッ♡」
お揃いの青い瞳がギラリとイギリスを捉え、柔らかい唇を貪るようにキスをする。
小さな口を開け、それに応えて長い舌を捩じ込んだ。
喉奥まで蹂躙するくらいに舌を絡め、そろそろ準備が整った。
「んぁ…♡」
銀色の糸が切れ、蕩けた瞳には涙が浮かんでいる。
「はぁ…♡挿れるよ♡」
「はい♡」
限界に近づいてきたアメリカは、イギリスの尻たぶを掴んでぐぱっ♡と開き、よしよしされた陰茎をイギリスのナカに納めていく。
長い間愛撫されたそこはすんなりと受け入れ、むしろ自ら飲み込むように蠢いていた。
「あ゛ッ♡ひ、んぁ〜〜ッッ…♡♡♡」
イギリスは挿れただけで甘イキし、押し出されるように白濁がじわじわ漏れ出てくる。
ベタベタした精液に腹を汚しながら、その生温かさが心地良いとすら感じた。
ずっぷりとナカを埋め尽くすアメリカに肩で息をしつつ、イギリスは小さく腰を揺らす。
もう我慢できないとでも言いたげなその仕草は、アメリカの理性を弾き飛ばした。
「はぁ゛…いちいちエロいんだよっ!!」
「んお゛ッッッ♡♡♡♡♡」
肌を重ね合う音が響き渡り、欲のままに抱かれる。
奥までガンガン突いてくるアメリカに抱きついて、直腸にもめり込むように挿入ってきた。
気持ち良いところを全部擦られ、ぐちゃぐちゃと粘液が泡立つくらい激しくされ、もはや親子と呼べる関係ではない。
でも、アメリカがこれで満足ならそれでよかった。
命令されたことには従わなくてはならないし、自分も“親子”の定義なんてろくに知らない。
幼少期からイングランドに犯されたり暴力的な躾をされたり、そうして過ごしてきたから。
子供達から反感を買っていたとは知らなくて、きちんと愛せていたと思っていた。
アメリカにこれが正しいと言われたら、もうよくわからないけど、きっと正しいのだろう。
「親父…ッ♡親父…ッ♡」
「あ゛〜ッッッ♡♡♡そこら゛めッ♡♡また゛イ゛く゛ッ…んぉ゛〜〜〜ッッッ♡♡♡ 」
「やば…でるッ…♡」
「ら゛ひて゛ッ♡ナカ゛くらさ゛いッ♡♡♡」
筋肉の衰えた足を必死にアメリカに巻き付け、ゆるゆるになっている後ろを締め、射精を促している。
「お゛ごッ♡♡♡」
「ッは…♡♡♡」
お望み通り射精寸前のパンパンに腫れたそれは深く深く突っ込まれ、びゅるるるるるッ♡と大量に中出しされた。
「う゛ぅうう゛ぅぅッッッ♡♡♡♡」
同時にイギリスの陰茎からもぶしゃっ♡と潮が吹き出て、背を反らせて見事な深イキをキメている。
痙攣絶頂するイギリスの体を抱き込み、アメリカは抜かずにまた律動した。
「あ゛ぁああ゛ぁあッッ♡♡♡」
絶叫するように喘ぐイギリスの腹をナカから押して、ぽっこり形が浮き出たそれをごりゅごりゅする。
内側から擦り、内臓を抉るような激しい行為は、イギリスには負担が大きかった。
紳士とか父親とか自称していた綺麗な顔は汗やら涙やら涎やらで汚れまくり、舌を突き出して白目をむいている。
だいしゅきホールドをしたまま、アメリカにガンガン犯され続けた。
簡単に潮吹きをするメスになったイギリスを抱き、孕むわけのない腹の中に射精を繰り返す。
疲れ果ててアメリカが飽きるまで、その行為は続く。
ようやく終わった朝方、アメリカは気絶するイギリスに気付薬を飲ませて起こした。
「う…ぁ…?」
「おはよ、親父。これ見て?」
「あぅ…?」
焦点の合わない瞳に映る、ぐるぐる模様のスマホ画面。
「今日も“いつも通り”でいてね、親父」
「はひ…」
ぱたんと倒れて眠り始めたイギリスの頭を撫で、アメリカは出勤の準備を始めた。
色々なモノでぐちゃぐちゃのベッドに眠るイギリスは、到底父親には見えなかったが。
それはアメリカなりの、親子愛であった。
コメント
6件
リクエスト失礼します! 第二次世界大戦の🇫🇷🇬🇧で、🪓🇫🇷とか卍とかの…なんというか。この歪で複雑な関係を書いて欲しいです! 語彙力がなくてごめんなさい! わからないところがあれば答えますので…。時間がある時で構いません、お願いします…!
性癖ど真ん中ぁ、、、!射抜かれたぁ、、、!!!新作の小説凄く楽しみにしてました!!毎度毎度最高です👍️ありがとう、アメイギで救われた命がここに、、、! 何気に催眠系初めて読んだかもしれない、そして傑作!行為の描写も凄いけど、その前のスコットランドとかカナダの人物描写が上手すぎてそこですでに悶えてました、、、!あぁ、タヒねる、語彙力がお蔵入りしてる、、、代々英家では子供を◯待する事でしか愛情表現出来なかったの最高に最悪だし、それが復讐とか憂さ晴らしという形でしっかり遺伝してるのまた、、、👍️☆⤴️?⤴️🤗 あとシンプルに行為がエロ過ぎます。天才ですか??レ◯プも良いけど、個人的にこういう慰め合いながらの前戯好き過ぎるんで助かりましたありがとうございます🙇🙇🙇 これからもずっと応援してます!!!