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「さて…どうしたものか…」
キノが小さくつぶやきます
「どうしたのさ?」
エルメスが聞きました
「まさかこんなにも料理が美味しいだなんて…」
「だと思った」
そう言いながらキノはおおよそ3人前の料理を平らげてしまいました
「ふぅ…料理が美味しいとは聞いていたけどこれは…」
「これは?」
エルメスが聞きキノが答える前に
「旅人さん!」
およそ5人ほどの男がキノの席に来ました
「この国の料理はいかがですか?」
その中でおそらく最年長の男が聞きました
「とても満足しています」
「そーそー」
キノとエルメスが答えました
「それは何よりで」
「ただ…」
キノが続けます
「一つ気になることが」
それに男は
「何でしょう?」
と聞きます
「この国の人を見てきましたが誰一人として女性がいませんでした」
「….」
男は黙って聞きます
「しかし、男の子がいたのでどうなのかと…」
キノが聞き終える前に5人の内4人がキノに飛びかかってきました
ババババン
ドサッドサッドサッドサッ
4発の銃声が1秒もせずに鳴り響き、飛びかかってきた男が海に落ちるトビウオのように力無く落ちました
「あららー、キノを襲うから..」
エルメスが緊張感が全く無い声色が店に響きます
「なんと…強い女だ…」
最年長の男が傍観しながら言います
「なんの騒ぎだ!」
店の入口から入ってきたいかにも警察の格好をした男の声が店内に響きます
「誰の仕業だ!?」
「この女じゃ…」
1人残された最年長の男が言いました
「….旅の方か」
警察の男が眉間に皺を寄せた顔のままキノに言います
「ええ、そうですが」
「先にやってきたのはこいつらだからね!!」
キノが答えエルメスが抗議しました
「では、ここの法や過去については?」
「しらなーい!」
「知りません」
警察の男はさっきとは打って変わって優しい顔で
「では、本官について来て下さい、この国の歴史博物館に案内しましょう」
「ねぇ、キノ?」
「なんだい?エルメス」
「なんだか、仕組まれているように感じるのは気のせいかなぁ?」
「まぁ、取り敢えずついて行ってみようか」
「ま、キノは強いからね!」
警官の男に案内されたのはいかにも博物館と言う建物でした。
そこにはそれぞれの時代の風刺画とその時代の説明が書かれていた。
「建国162年、この国で初めてとなる奴隷商売が始まったんだ。その時の奴隷の扱いは悲惨なものだったそうだよ」
警察の男は淡々と話を続けました
「そこで、建国234年に初めての奴隷保護制度が導入されて、その制度は今も続いているんだ」
「旅人さんは、奴隷が何と取引されるか知っているかい?」
「その国に足りないもの…でしょうか」
キノが言いました
「だったら、この国には女の人が足りないんじゃない?」
エルメスも言います
「当時、この国がなんて呼ばれてたか知っているかい?」
「いいえ」
「まったくー」
「この国は、女の国と呼ばれていたんだ」