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こはるさん、第16話読みました。 ハンナの「守れない無能」って言葉、すごく刺さりました。ああいう自傷的なセリフ、リアルで苦しい……。でも黒猫が自分を重ねて「じゃあ俺たちはどうなるんだ」ってぶつけたのも、わかる気がして。お互い傷を抱えてて、それでも支え合いたいって気持ちがにじんでて切なかったです。 教皇様との会話、今後の鍵になりそうですね。続き、静かに待ってます🤍🥀
第16話
「気の所為、では無い」
俺は、血迷いながらもはっきりと断言した。
「じゃあ、なぜこんなにも血の匂いがプンプンするのか、聞かせてほしい」
マリアは少し食い気味だった。
……ハンナの事が大切になったのか……
「……ミヒャエルが、最近、大怪我を負ったのは知ってるだろ? あれは……元は、コイツが狙われてたんだ」
「え?」
呆けた声が、行き場を失っている。
だよな。そうなるよな。
「まぁ、刺客に襲われたんだ。確か……『雷撃の賢者』って名乗ってたよ……」と言いかけた所で「雷撃の賢者っ!!」とマリアに叫ばれた。
ハンナも、「うぅっ……」と唸った。苦しいのだろう。
「あ、ごめんなさい。でも、『電撃の賢者』を倒せたの?」
「倒せなければ、今は既に死んでいる」
ため息交じりに言うと、ポカンとされてしまった。
だよな。最初は、コイツのテンポが……狂ってて、ついけ行けなかった。
「そ、そうだよね。でも、『雷撃の賢者』は誰もが知ってるような、強い人なんだよ」
「えっ……?」
だ、誰もが知ってる……? 知らなかったし、ハンナも無双してた場面なんか無いって言ってたし……え?
「……確かに、今まで会った中では……三十位か……」
「えぇっ……」
「私の中では、上から数えて二千人目位だったけど」
いつの間にか、起きたハンナが、そんなバケモンみたいな事を、ボソリと言っていた。
「バケモンかよ……」
「いや、黒猫も言えたもんじゃないよ」
そう、突っ込まれたが、あのくらいなら上はいくらでもいるだろう。というか、ハンナがまず五位だったし。
……二人で挑まないと、一匹に勝てないって事があったり……というか、一番上は顔を覚えられたまま、逃げてきてしまった。
ハンナと出逢う前にだ。俺の流れ弾がハンナに当たる気がして……
「まぁ……マリア。私は前世を持ってるの。前世ではね、『笛吹の賢者』って呼ばれるトンデモ話がてんこ盛りの人だったんだ」
ハンナは、苦笑しながらマリアの頭を撫でていた。
「ふ、笛吹の賢者……? 前世? ありえないけど、ハンナなら、ありえてしまう気がする……」
「一番強かったのは、私の先生だけどね。その次にお姉ちゃんで、色々な人が間に挟まれて、次は前世の私で、その下も、色々と挟んで私の弟みたいな存在の子。強い魔物とかを挟んで千九百人目位に今世の私と黒猫がいる」
……そんなに、その間がいるのか……
「何千、何万と殺してきたんだよ。だから、私の手は血濡れてる。でも、何も守れない、クソみたいな無能人間。本当に、守れない無能。守らないといけない人間も、守りたい人間も守れない無能。くそくらえだよ」
ハンナは、自傷的にそう言った。
涙ぐんでいて……もう、心は保てないくらいまでボロボロだ。
「無能って……ハンナは、無能じゃないよ。だから、そんな事、言わないで」
ハンナは、作り笑いのまま首を横に振った。
もう、涙は頬を流れて川のようになっている。
「うぅん。弱虫だった私が更に何百分の一くらいに弱くなって……守られて、守られて……結局、何も返せなくて……」
俺は、聞いてる内に、苛立ってきた。
昔――九年前。国王の側室の護衛をしていて……魚曲折あって、逃げて……
「じゃあ、俺たちはどうなるんだ? 俺は、逃げてきた。守るべき人を、守れたはずなのに逃げ出した。それは、人として底辺。そんな言葉で表せばいいのか?!」
「っ……!」
勢いで口にしてしまった。
ハンナは、身構えている。
やってしまったっ……
「わりぃ。久しぶりに頭に血がのぼった。頭、冷やしてくる」
こんな口調、自分らしく無いことくらいは分かってる。でも、そのくらい、追い込まれてしまった。
「黒猫っ……」
俺は、ハンナに背を向けて、ベランダに出た。
夜風が熱くなりきった体を冷ましてくれる。
……熱がある子供に、こんな事をっ……
俺が一番、分かってるじゃないか。
こんな事を、言ってはいけないし、ハンナが苦しんでる事くらい。
「あ〜ぁ。また、捨てられるな。何度目だろう……」
思わず、声に出てしまった。
こんな事、誰かに聞かれたらたまったもんじゃ無いな。
「ウィザードの使い魔かい?」
隣のベランダから話しかけてきたのは……教皇様だった。
え? 聞かれた……?
俺は動揺を隠して「はい」と頷いた。
「何を気負ってるんだ?」
「……あいつに、酷い言葉をぶつけたんです。ボロボロだったのが治ってきたような気がしたのに……また、崩してしまった。ちゃんと支えて直してやらないといけなかったのにっ……」
「そう、か……」
何拍か間が空いた。
「それは、ミヒが関係してるのか?」
「え?」