テラーノベル
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少し歩いて辿り着いたのは、”ヴォックステック社”と看板を掲げたビルの入り口だった。
ラジオスターでテレビやビデオを嫌っているはずのアラスターが、こんな所に何の用があるのだろうか。
アラスター『テレビだのなんだの、流行り物にはあいにく一欠片も興味が湧かないのですよ』
そんな風にビデオカメラを忌々しげに見下ろしていた姿を見たことがある。
それなのに、わざわざこんな会社に・・・??
首を傾げながらヴァレンティノに続き、乗っていたエレベーターから降りる。
薄暗くて広々としたロビーはシンと静まりかえっていて、私たち2人の靴音だけが響く。
〇〇「・・・あの、本当にここにアラスターが・・・?」
ヴァレンティノ「ああ、この目で見たから間違いない。・・・・・・なんで聞く?」
〇〇「あ・・・疑っているわけじゃないの」
〇〇「ただ・・・彼があまり好きそうな場所ではないから・・・」
「―――ええ、まったくその通り」
〇〇「!!」
ヴァレンティノ「!?」
聞き慣れた声がすぐ側で聞こえ、思わずびくりと肩が跳ねる。
いつからそこにいたのか、足下の影からアラスターが姿を現した。
アラスター「この私がこ~んなくだらない会社に好きで近づくわけがない・・・よく分かってるじゃないですか」
〇〇「アラスター!ねぇ一体どこに行ってたの?」
ヴァレンティノ「あらら。見つかっちゃったか?」
アラスター「・・・私をダシに使われるのは、あまり気分が良くありませんねぇ」
口元こそ笑っているものの、アラスターは鋭い目でヴァレンティノを捉える。
元々から知った顔同士なのか、ヴァレンティノも私たちと少し距離を取ってアラスターを見据えている。
どこからどう見ても互いの表情には敵意が滲んでいて、私はいよいよ状況が理解できなくなった。
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