「…色ってなんだっけ」
そう、私、艿兎は小さく呟いた。
私は小説家。
読者のイメージを膨らませるため、色を出すことは必須だといえるだろう。
けど、今では空がどんな色なのかでさえ分からない。
“私の目からは色が失われてしまったから”
「私の目に色を返して…」
そんなことを呟いた時、
『ねぇ君!今なんて?』
そんな元気な声。
きっと気のせいだろう。
『君だよ!!ほら!私に似たおb…お姉さん!!』
そう言って肩を叩かれた。
流石に気の所為とは思えず振り向いた。
そこには、自信満々な顔をした私に似ている少女がいた。
ショートで私とほぼ同じ濃さの灰色。
そして横髪が私と同じ濃さの灰色なのできっと同じくらいの…確か緑色だろう。
だが完全に違う所が1つあった。
彼女には背中に羽がついているのだ。
「え…?」
『やっと気づいてくれた!絶対気の所為だとか思ってたでしょ』
「何故バレた…、!?」
『いや流石にわかるよ、w』
そう言った彼女は言葉を続ける。
『私、天羽!見ての通り天使だよ!お姉さんは?』
「えっと…私は陸海艿兎だけど…」
『艿兎さん、は違うな…艿兎ちゃん、?いやこれも違う…あ、艿兎姉!艿兎姉って呼ぶね!』
「なんで!?w」
『いやまぁまぁまぁ、それは置いて置いてさ』
そう言うと天羽は白黒の筆とパレットを取り出した。
パレットには色は1色しか乗っておらず何色かやはりわからない。
『艿兎姉ってさ、色、見えないでしょ?』
「まって…なんで知ってるの?他の人から見たら私は色が見えてるって思われてる人なのに?」
『…天使だからね!』
話を戻すけど、と天羽は付け足して一言。
『艿兎姉はもう一度、色を見たいって思わない?』
「いや…、見たいけど…、見れないし…」
そう言うと天羽は口角を上げた。
『なら、見ようよ。彩りの世界をもう一度。』
「……」
『手を取ってごらん。そうすれば私は艿兎姉のお手伝いをすることが出来る。』
そう言われ天羽が差し出した手を、私は戸惑いつつも、手を取ってしまった。
『そうしてくれるって信じてたよ』
そう言った天羽は片手で持っていた筆とパレットを私に押し付けた。
「何これ、?」
『使う道具だよ。この筆にこのパレットにのってる絵の具をつけて手に入れたい色を空中で塗るの。そうすれば必ず望んでいるものは手に入るから』
「本当だよね、天羽」
『もっちろん!私は嘘をつかない”天使”だからね!』
そう言って天羽は私に背を向けた。
『これをどう使うかは艿兎姉の自由!それは艿兎姉にあげるから思うように使ってね』
言いたいことは言いきったのか天羽は私の前から消えていった。
私は…色を…手に入れることが出来るって事…?
これはうにくれそん様主催のノベコン参加作です
コメント
3件
絶対面白いやつに今日気づいてしまった...
𝑫𝑨𝑰𝑺𝑼𝑲𝑰______( ᷄ᾥ ᷅ )
おまっ…!人が好きな設定で書きやがって…!!