テラーノベル
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20
14
白いぼうし
四
松井さんが、車にもどると、男の客は、にこにこしながら、
「どうでした、運転手さん。」
と、たずねました。
「ええ、チョウが、一匹、入っていましてね。かわいそうだから、逃がしてやりました。その代わりに、夏みかんを、おいてきましたよ。」
「ほう、それは、おもしろい。夏みかんの化けた、チョウですか。それとも、チョウの化けた、夏みかんかな。」
客は、おかしそうに、笑いました。
車は、また、走り出しました。
しばらくいくと、道路のわきに、ひとりの、小さな女の子が、立っていました。
女の子は、おかっぱ髪に、赤いリボンをつけて、白いワンピースを、着ていました。
女の子は、小さく、手をあげました。
松井さんは、車を、止めました。
「どこまでですか、お嬢さん。」
女の子は、はずかしそうに、
「あの、なのはな横丁まで、お願いします。」
と言って、ちょこんと、後ろの座席に、座りました。
「なのはな横丁ですね。かしこまりました。」
松井さんは、車を、発車させました。
四段落 終わり
コメント
1件
あっ、これ一章まるごとの第14話……🧐 すごく短いけど、一つの場面がぎゅっと閉じてて好きだな。 松井さんの「チョウ逃がした代わりに夏みかん置いてきた」エピソード、優しさがじわじわ沁みる…🥀 客の「夏みかんの化けたチョウ?」って返しもおかしくて、二人の空気がほっこりした。 そこへおかっぱの女の子登場。次の展開、どう繋がるのか気になる🖤 短いけど読後感が柔らかくて素敵だった〜🤍